

今回は転職エージェントの内定率について解説します。
マイナビエージェントが公表している内定率によると、1つの企業に100名の応募があった場合、最終面接を突破して内定を獲得する人数の目安は4人〜5人。内定率の目安はおよそ4%〜5%です。(※1)
一方、転職サイトの「doda」が公表している内定率によると、転職成功者の平均的な書類応募数は23社です(※2)。内定率の目安は4.3%。
よって、転職エージェントと転職サイトの内定率には実はそれほど大きな差がないことが分かります。
しかし、内定率がさほど転職サイトと変わらないとしても「転職エージェントが求職者と求人者に、転職サイトにはない独自の価値を提供している」こともまた事実です。では、その価値とはどのようなものでしょうか。1つ1つ見ていきましょう。
また記事の後半では、転職エージェントの担当者向けに内定率を上げるための工夫も紹介します。
まずはマイナビエージェントとリクルートエージェントが公開しているデータを元に、転職エージェントの内定率を紹介します。
マイナビエージェントの公式サイトでは、書類選考〜内定までの通過率・内定率について以下のように公表しています。
マイナビエージェントで転職活動を行い、内定を得た方たちのデータによると、応募して書類選考を通過し、一次面接に進む確率は約30%。そして、一次面接から最終面接へ進む確率はそのうちの約30%。さらに、最終面接を通過して内定を獲得する確率は、そのうちの約50%でした。
たとえば、1つの企業に100人の応募があったとします。その中で、書類選考を通過するのは30人。一次面接を通過し、最終面接に進むことができるのは9人。そして、最終面接を突破して内定を得られるのは、4~5人ということになります。
引用元:転職エージェントの利用で選考通過率・内定率がアップする秘密とは
マイナビエージェント経由の転職活動の内定率は、応募数に対して4%〜5%と言えます。
マイナビエージェントの内定率を、リクルートエージェントの内定率の推定値と比較してみましょう。
リクルートエージェントでは正式な内定率は公表していないものの、2019年度の登録者数と転職決定者数の概算を公表しています。転職決定者数を登録者数で割ることで、大まかな内定率を算出可能です。
■取引社数 :約2万8000社(2019年度実績)
■登録者数 :約125万2000名(2019年度実績)
■転職決定者数 :約5万2000名(2019年度実績)引用元:リクルートエージェント
転職決定者数を登録者数で割ることで算出される、大まかな内定率は4.15%。
リクルートエージェントの内定率は、ほぼマイナビエージェントと同等と考えられます。
マイナビエージェントとリクルートエージェントの内定率は、約4%~5%です。
4%~5%という数値に対して「内定率が低すぎる」と感じる方もいるでしょう。上記2社の内定率を分析する際に留意しておくべきことは、どちらも「国内最大級の総合型転職エージェント」であることです。サービスの知名度が高く、20代〜60代まで幅広い層が登録していることが特徴。
しかし、書類選考の通過率と内定率は一般的に「20代〜30代」が高くなりやすく、年代が高くなるほどパーセンテージが下がっていきます。
例えばリクルートエージェントの登録者は、全体の34%を30代後半より上の世代が占めています。
つまり、世代別で転職決定者数と登録者数の割合を見ることで内定率は大きく底上げされる可能性が非常に高いです。
遊技機開発業界の転職エージェントである「さんななキャリア」では、世代別の書類選考通過率と内定率を公表しています。
たとえば20代後半の書類選考通過率は39.5%。書類選考内定率は16.3%です。
この数値は、20代後半であれば100件の書類選考のうち39.5件が通過。100件の書類選考のうち16.3件が内定することを示しています。
20代後半の書類選考内定率が16.3%と高い水準を記録しているのに対し、40代では7.9%。50代では7.8%。数値に倍以上の開きがあることが分かります。
先にも記した通り、さんななキャリアが公開しているデータはあくまで「遊技機開発」業界のものです。
とは言え、他の業種でも世代間の内定率に同等の開きがある可能性は小さくないでしょう。
転職エージェントに対し、自力で企業の求人に応募する「転職サイト」の内定率はどれくらいでしょう。dodaのデータを引用して、紹介します。
dodaでは、職種別に転職成功者の平均応募社数を公開しています。
たとえば営業職の場合、平均応募社数は29.6社。応募社数に対する内定率は、約3.37%です。
一方で技術職や専門職は内定率が高く、医療専門職の場合は平均応募者数が14.4社。内定率は約6.9%です。
平均するとおおよそ23社程度に応募しているケースが多く、内定率の目安は4.3%です。
転職エージェントと転職サイトの内定率は、以下の通りです。
なおあくまでデータは「平均値」であり、世代別や業種別に内定率を算出すると大きく傾向が変わる点にご注意ください。
・マイナビエージェント:4%〜5%
・リクルートエージェント:4.15%
・doda(転職サイト):4.3%
転職エージェントと転職サイトは、平均値で見ると「内定率にほぼ差がない」ことがわかります。
「内定率に差がないのであれば、転職エージェントが求職者と求人者に提供している価値は何か?」と気になる方も多いでしょう。
求職者と求人者に提供している価値には、次のようなものが挙げられます。
・専任キャリアアドバイザーによるキャリアコンサルティング
・本人の希望条件や希望職種を踏まえた最適な求人案件の紹介
・求人者への紹介
・書類添削サポート
・面接サポート
・無料でサービスを受けることが可能
転職サイト経由で内定を獲得するためには、およそ20社程度の求人に応募する必要があります。
20社分の応募書類を作成し、企業研究を重ね、面接対策を行うことは求職者にとって非常に大きな負担です。
一方で、エージェント経由の転職活動では専任キャリアアドバイザーが転職活動をサポートしてくれます。各業界の最新情報や求人動向の情報収集もでき、自分一人で情報を集めるよりも正確な業界知識に基づいた転職活動が可能。入社前と入社後のイメージのギャップを小さくすることもできるでしょう。
また本人の希望に合った求人案件があると、キャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーが連携して求人者に連絡をします。
書類を自分で1から作成し、応募し、連絡が来たら返信するという手間を最小限に抑えることができる点も大きなメリットです。
なおかつ、これらのサポートを求職者は無料で受けることが可能です。
・企業の人事部の負担を軽減
・労働意欲が高い人材への適切なアプローチ
・ヘッドハンティングにも対応
・成果報酬型のサービス提供のため、成果が出ない場合は支出がゼロ
転職エージェントは「企業の人事部の負担を軽減する」役割を持ちます。
通常は転職サイト経由で求人募集を行うため、書類の確認や応募者への連絡、面接のセッティングなどは全て自社で行う必要があります。
一方で転職エージェント経由での採用では、自社が求める人材像とマッチする人材のみを選定した上での紹介が受けられます。
採用活動に対して、社内で多くのリソースを割くことはできないものの「即戦力人材は採用したい」という場合、自社の大きな味方となるでしょう。
ヘッドハンティングなど様々な採用手法にも対応するほか、人材紹介が採用に結びつかない場合は費用は発生しません。こちらの記事でも、人材紹介会社の価値について詳しく解説しています。
最後に、エージェント担当者向けに「内定率を高める方法」も解説します。
4%~5%の内定率ではなく、より高い内定率を安定的に実現するために意識するべきことは「ポジショニング戦略」です。
たとえば記事の前半でも解説した通り、20代後半と40代では書類選考内定率に倍近くの開きがあります。
書類選考内定率が下がりやすい40代以上はサービスの対象外とし、20代〜30代前半までの人材のみを対象に紹介事業を展開するというのは1つの戦略でしょう。
こちらの記事では、より詳しくエージェントのポジショニング戦略について解説しています。
転職エージェントの内定率について解説しました。人材紹介事業の立ち上げ時に、目標とする紹介実績数を達成するときのシミュレーション策定などに参考にしてください
(※1)マイナビエージェント
(※2)doda
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