

今回は人材派遣業を運営する事業者の方に向け、人材派遣向けの管理システムの選び方と代表的なサービスを紹介します。
管理システムを導入するメリットなども併せて紹介します。
人材派遣管理システムとは、派遣先企業に派遣するスタッフの情報管理や勤怠管理を行うためのシステムです。
派遣会社の基本的な収益構造は「人月単価」に比例します。派遣スタッフの数を増やし、より多くのクライアント企業に派遣することが派遣企業の売上増大に貢献します。
一方で、派遣スタッフの数を増やすことはシフト管理や給与計算、面談の実施など管理コストの増大を招きます。
よって人材派遣管理システムを導入し、可能な限り、管理のコストを押し下げることは重要です。
派遣業の管理コストを押し下げることは、派遣業の収益性の向上に役立ちます。なお派遣業の利益率は1.2%と言われています。
派遣業の将来性については、こちらの記事で解説しています。
人材派遣管理システムを選ぶ際に、注意すべきポイントを7個に分けて紹介します。
人材派遣の管理業務は「派遣スタッフの管理」「派遣先企業の管理」「シフト管理」「給与計算」「面談の設定」など多岐に渡ります。
これらの管理は「効率性」のみを重視するのではなく、自社の社内規定に沿った厳重な取り扱いが必要な場面もあるでしょう。
自社の社内規定や運用ルール、管理を担当するスタッフのスキルと照らし合わせた上で「自社の派遣業務一式をシステム上でカバーできるか」を見積もる必要があります。
人材派遣管理システムにはクラウド経由で使用する月額課金制(サブスクリプション)のものと、ローカル環境でセットアップして使用する買い切り型のものがあります。
クラウド経由で使用するアプリケーションは継続的なバージョンアップが行われる傾向にあるほか、サポートが迅速。また自社でセットアップをする必要がないため、スムーズに運用をスタートできます。ただし初期費用が安い反面で、ややランニングコストが高くなりやすい傾向があります。
買い切り型は、初期費用が高く、自社でセットアップが必要ですがランニングコストを抑えることがしやすいです。
労働者派遣法は度々、改訂が行われています。近年では2012年に日雇い派遣が禁止、2015年には同じ組織単位での3年以上の派遣労働を禁止する「3年ルール」の導入がスタート。2020年4月からは大企業を対象に「同一労働同一賃金」制も始まりました。
派遣事業に関わる法改正が行われると、社内での派遣管理も見直す必要が出てくるでしょう。
法令の改正に併せたアップデートが行われる人材派遣管理システムは、大掛かりな運用見直しなどが必要となった際に自社の強い味方となってくれるでしょう。
既に自社で導入している給与計算システムとの連携機能の有無を確認しましょう。
人材派遣管理システム上で派遣スタッフごとに勤怠や面談の記録を管理。管理データと紐付けて自動で給与計算を行うことができれば、経理業務の負担が大きく軽減されます。
給与計算システムとの連携と同様に、勤怠管理システムも人材派遣管理システムと連動させることができると大きく管理コストが抑えられます。
派遣スタッフの勤怠記録の確認や、派遣先企業への確認作業をシステム上で完結しつつ、給与計算システムとの紐付けが1つのツール上でできるようになります。
派遣スタッフや派遣先企業の管理を担当するスタッフが、ITスキルにも長けているとは限りません。
導入時のサポートや対面でのコンサルティングなどが充実しているサービスを選ぶと、安心感がより高まるでしょう。
人材派遣管理システムにアップロードする情報には、厳重な管理が必要な個人情報や法人のリストも含まれるでしょう。
高度なIP制限や外部からのアクセス遮断、二段階認証などの導入が簡単なシステムが望ましいです。
ここからは代表的な人材派遣管理システムを4つ紹介します。
CROSS STAFFはクラウド型の人材派遣管理システム。スタッフ管理、派遣先情報管理、スタッフ向けマイページ、マイナンバー管理、給与管理などをクラウド上で一括で行うことが可能。
登録している派遣スタッフ向けの機能が充実していることもポイント。派遣スタッフは派遣会社からの連絡や給与明細の確認を、CROSS STAFF上で行うことができます。
クラウド型のため低コストでの導入ができ、月々3万円〜の費用で利用可能です。
公式サイト:https://cross-staff.net/
スタッフエクスプレスは、人材派遣、人材紹介、業務請負など人材ビジネス全般のスタッフ管理に対応した管理システム。
人材派遣の多種多様な形態に対応しており、一般派遣から日雇い、技術者派遣、無期雇用派遣まで幅広く管理できます。
社内のローカル環境で利用するプランにも、クラウド型にも対応しています。高度なセキュリティを重視する環境であればローカル環境、管理の円滑さを重視する場合はクラウド型といった使い分けが検討できます。
公式サイト:https://www.staffexpress.jp/
派遣canは、株式会社BEAM.Iが提供する派遣業向けクラウドサービス。
特に、派遣スタッフの働き方の多様さを踏まえた「複雑な給与計算」に強みを持ちます。
所得税計算や年末調整、「日雇い」「月払い」など個々のスタッフの契約形態などを踏まえた給与計算は複雑かつ作業量が膨大です。派遣canでは有給や残業、雇用形態、社会保険料の計算などを自動で盛り込むことができるため、給与計算を大きく簡素化することができます。
また派遣canの大きな特徴は基本機能に加えて「必要な機能を選択し、使用できる」こと。
用意されている機能の中からユーザー側で必要なものだけを選ぶことで、費用を抑えることが可能です。
公式サイト:https://www.hakencan.com/
日雇いやスポットでの業務が多い派遣業者におすすめの人材派遣管理システムです。
派遣会社側ではプラスナビを通じて、派遣スタッフの出勤状況をリアルタイムに把握可能。スタッフは端末から、自分の隙間時間や空き時間に稼働可能な派遣案件を検索し、予約を入れることができます。
柔軟なシフト管理や急な欠勤対応がしやすいことが最大のメリット。例えば急な欠員が出た場合は、派遣会社側からスケジュールに空きがあるスタッフに対してスカウトを送ることが可能です。
公式サイト:https://www.uts-navi.com/plusnavi/
先に紹介した4つの人材派遣管理システム以外の、おすすめサービスを6つ表にまとめました。上の4つ以外の候補も含めて、導入するシステムを検討したい方は参考にしてください。
サービス名 | URL | 主な機能 | 特徴 |
オービックOA | https://www.oa.obic.co.jp/ | 派遣業・請負業・紹介業・直接雇用向け管理機能。作業予約、キャスティング、勤怠入力など | 奉行シリーズの開発会社が提供するシステムのため信頼性が高く、法改正にも随時アップデートで対応 |
クオリード人材派遣クラウド | https://www.quo-haken.com/ | スタッフ管理から収支まで一貫した管理が可能。オプションによるカスタマイズも可 | クラウド対応のほか、自社設置も可能。またAIが登録された派遣人材の中から案件にマッチする人材をピックアップ |
HRstation | https://www.k-evolva.com/services/haken-system/ | 派遣社員の一元管理及び業務の進捗や勤怠の管理が可能。必要な派遣先管理台帳、個別契約書、管理表などの管理に役立つ | 派遣人材の一元管理と各種指標の抽出と分析。コンプライアンス対応の強化に有効 |
アスペックス | https://www.aspex.co.jp/ | 勤怠の入力作業や承認作業をクラウド上で実施可能で、給与明細の発行も可能 | デジタルでの人材管理に特化し、派遣社員のテレワーク対応に強み |
スタッフナビゲーター | https://www.uts-navi.com/staffnavi/ | スタッフ管理機能や引合管理・受注管理機能。買い切りのほか「リースプラン」があり月1万円代からの利用も可 | 2001年からサービス提供を開始。20年の歴史があり、様々な業種への導入実績がある |
MA-EYES | https://www.bbreak.co.jp/maeyes/ | プロジェクト管理や勤怠管理など派遣管理システムに必要な機能がオールインワン。ERPのため派遣以外の業務にも対応 | ERPパッケージの一環として派遣管理システムが提供されている。会社システムのリニューアルとセットでの導入検討が望ましい |
最後に人材派遣管理システムに管理するよくある質問に答えます。
派遣スタッフの勤怠管理が簡易化し、給与計算システムと紐づけることで経理作業が大きく軽減されます。
また派遣スタッフと派遣先企業をそれぞれリスト化し、長期間稼働していないスタッフを洗い出したり、担当者とのやりとり頻度が低下している派遣先企業を見つけることも可能です。
派遣スタッフにとっても、スマートフォンなどから勤怠を記録することが可能になります。勤怠管理の抜け漏れが発生しづらくなったり、スタッフとのコミュニケーションの活性化に繋がる効果が期待できます。
派遣業の利益率は1.2%とも言われており、同じ人材ビジネスでも人材紹介業と比較すると収益性で大きく劣ります。
コストカットを進め、派遣管理システムによる業務効率化を推進してもなお管理コストが高止まりしている場合、ビジネスモデルそのものの見直しに着手する必要があるかもしれません。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
あります。
近年は人材派遣業者が、事業の多角化を目的として人材紹介業に参入するケースも増えています。人材派遣業と人材紹介業をどちらも管理できるツールの導入は、多角化を検討している企業では価値がある施策でしょう。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
人材派遣管理システムの選び方のコツや、代表的なツール。よくある質問をまとめました。派遣業の運営にぜひ役立ててください!
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