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人材派遣
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人材派遣会社の利益率と「儲かるのか」を解説。マージン率は取りすぎ?妥当?

    人材派遣会社のマージン率は、労働者の給与に対して3割が目安。一方で利益率は1.2%程度です。 つまり、人材派遣業は「巨大産業」であると同時に非常に利益率が低い業種でもあります。人材派遣業の利益率とマージン率の内訳などについて、1つ1つ見ていきましょう。

    人材派遣会社のマージン率(ピンハネ率)と利益率について解説します。

    人材派遣会社のマージン率は、労働者の給与に対して3割が目安。一方で利益率は1.2%程度です。

    つまり、人材派遣業は「巨大産業」であると同時に非常に利益率が低い業種でもあります。人材派遣業の利益率とマージン率の内訳などについて、1つ1つ見ていきましょう。

    【人材派遣会社の利益率は1.2%】派遣会社は儲かる?

    人材派遣会社の「マージン率(ピンハネ率)」と「利益率」は一致しません。

    派遣会社はマージンによって得た売上から、経費や社会保険料の支払いを行うためです。

    一般社団法人 日本人材派遣業界のデータによると人材派遣会社の利益率は、派遣社員の給与に対しておおよそ1.2%です。

    引用元:一般社団法人 日本人材派遣業界

    人材派遣会社の売上と利益率については、こちらの記事でも触れています。

    総じて国内市場では、10%以上の利益を生んでいる派遣会社は存在しない状況といっても過言ではないでしょう。

    人材派遣会社の「派遣料金」とは

    privacy

    先にも書いた通り、派遣会社のマージン率と利益率は一致するものではありません。

    このことについてより詳しく知るために「派遣料金」の定義について解説します。

    派遣料金とは、派遣会社が派遣先企業に対して請求する「費用の総額」のことです。派遣スタッフの給与や派遣会社のマージンなど、全ての費用が「派遣料金」に含まれます。

    人材会社に支払われる「派遣料金」の7割は派遣スタッフの賃金に充てられ、残りの3割弱は経費などに充てられます。

    人材派遣会社のマージン率(ピンハネ率)の内訳

    memo

    派遣料金の総額から、派遣スタッフの賃金を支払うと「3割」のお金が残ります。

    派遣会社は3割のマージンをどのように使用しているのでしょうか。マージン率の内訳を見ていきましょう。

    まずは「派遣社員の管理・教育に関するコスト」です。主に以下のような用途で用いられます。

    派遣社員の社会保険料、有休消化に関する費用の割合が比較的高め。派遣料金の総額に対して、2項目でおよそ15%を占めます。

    ・派遣社員への教育訓練費
    ・派遣社員への福利厚生費
    ・派遣社員の有休消化に関する負担費用
    ・社会保険料
    ・雇用保険料、労災保険料

    続いて、派遣会社の諸経費です。主に以下のような項目が含まれます。派遣会社の諸経費は、派遣料金の総額に対して13パーセント〜14パーセント前後を占めます。

    ・派遣会社の内勤社員の人件費や社会保険、雇用保険
    ・広告宣伝費
    ・オフィス賃料、水道光熱費
    ・営業経費

    人材派遣会社は儲からない?利益率はなぜ低い?

    人材派遣会社は30%のマージンを得ながらも、実際の利益率は1.2%程度です。

    社会保険料が年々値上がりする傾向にあることや、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり「派遣切り」が危惧されること。

    また営業経費や人件費のカットにも限度があることを踏まえると、利益率は今後さらなる低下も危惧されます。

    では、人材派遣会社の利益率は何故これほどまでに低いのでしょうか。

    派遣社員の賃金水準の上昇と社会保険料

    派遣社員の社会保険料や有給取得費用は、派遣料金の総額に対して15%前後です。

    派遣社員の労働環境が改善され、賃金水準が上昇。有給取得率も上昇したことが、派遣会社の経営面においてはある意味「重荷」になっているという見方もできるでしょう。

    2020年4月からは大企業で「同一労働同一賃金」制も導入。同制度は正規雇用社員と非正規雇用社員の間で、同じ労働内容にも関わらず不合理な待遇差を設けることを禁じるものです。

    今後も派遣社員のさらなる待遇改善を求める声は、強まっていくでしょう。

    派遣会社にとっては事業の多角化も含め、安価な派遣スタッフの労働力に依存するビジネスモデルからの脱却を検討すべきタイミングかもしれません。

    教育コスト

    平成27年9月30日の労働者派遣法改正により、派遣会社には派遣スタッフへの教育訓練等の機会の提供が義務付けられました。教育訓練の内容は「年に一回の研修受講」や「eラーニングコースの修了」などが主流です。

    研修カリキュラムの準備やスタッフのアサイン、eラーニングシステムの導入費用なども人材派遣会社の利益率を押し下げる要因の1つではあります。

    オフィス賃料

    オフィス環境の見直しなどを通じ、固定費を削減していく試みも求められるでしょう。

    経済への影響

    例えば人材派遣大手「パソナ」は、2020年9月に淡路島への本社移転計画を発表。2024年5月までに本社機能を移転し、1200人の社員を東京から淡路島へと段階的に移していくプランを明らかにしました。

    南部靖之・パソナグループ代表は、日経ビジネスのインタビューに次のように答えています。

    これまでは都心の高いオフィスの賃料を払って、従業員の交通費を払って仕事をしてもらっていました。しかし、淡路島であればオフィスの賃料を場合によっては10分の1に抑えられる。住居も東京のオフィスから30km圏の相場の5分の1くらいで借りられます。さらに交通費もそこまでかからない。

    自然豊かな環境で通勤ラッシュから解放されて働くという、心の豊かさにもつながります。

    引用元:日経ビジネス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/090300156/

    コロナ禍でのテレワークへの取り組みを「オフィスの賃料をカットしつつ、社員の働き方を見直す機会」として捉えていることが伺い知れます。

    オフィス賃料のカットによる経費削減は、利益率の低さに喘ぐ派遣会社にとっては前向きに検討すべき事柄です。今後も同様の取り組みが続く可能性はあります。

    派遣会社のマージンは「低ければ低いほど良い」とは限らない

    派遣会社のマージンは、現場の派遣スタッフの目線からは「低ければ低いほど望ましい」と映りやすいです。

    しかし、派遣会社が受け取る30%のマージンのほとんどは「派遣スタッフの社会保険料」や「派遣会社の人件費」などに充てられており、利益率自体は非常に低いです。

    では、派遣会社のビジネスモデルは今後どのような形が望ましいのでしょうか。

    派遣会社の今後

    人材派遣業は国内の人材業界の主要職種であり、すぐに「なくなる」ことは考えづらいです。

    一方で利益率の低さは大きな懸念事項。

    コロナ禍で各社の景気が悪化する中で、2021年4月からは「同一労働同一賃金制」の中小企業への導入が始まります。派遣切りが危惧される状況下では、多くの派遣会社は手元に多くのキャッシュを置いておきたいと考えるでしょう。

    パソナグループと同様に、高価な都心部のオフィスを手放して地方に移転する動きは続くかもしれません。

    こちらの記事でも派遣会社の今後についてまとめています。

    【事業の多角化】人材派遣と人材紹介はどちらが儲かる?

    派遣会社の今後について考える際、繰り返しにはなりますが「利益率の低さ」は課題です。売り上げは大きいものの、利益率は低く派遣は「儲かりづらい」職種になりつつあると言えるでしょう。よって事業の多角化が求められるフェーズにあります。

    新たな収益源として、派遣会社の多くが着目しているビジネスモデルが「人材紹介」です。派遣会社による人材紹介事業への参入増加のトレンドについては、以下の記事にてまとめています。

    まとめ

    人材派遣会社の利益率とマージン率についてまとめました。人材派遣業はおよそ30%のマージン率が相場ながら、利益率は1.2%前後。利益率が低い業態です。コロナ禍で景気の悪化が懸念される中、パソナグループのように地方に本社を移転。固定費を削減することで、利益幅を確保することを狙う企業は今後増えるかもしれません。

    ※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

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