先義後利を貫き、求職者集客は知人紹介100％！利益率90％の極意に迫る

プロフィール　

真鍋 計
株式会社SPACE JOB 代表取締役社長。大手人材会社にて、11年勤務し2,522人の求職者、1,427社の企業を支援。どうしても売上>人の構造に寄ってしまう人材紹介事業を変えたいという想いで、2017年4月に株式会社SPACE JOBを創業。　事業開始後3か月目で黒字転換してから現在(2018年3月)まで黒字を継続しており、2018年2月には最高益を更新。また、事業開始6か月後に求職者集客のほぼ100％が求職者からの紹介となる。人材紹介事業の利益率は90％を誇る。

大切にするのは先義後利。求職者を第一に考えた人材紹介事業への挑戦

Q.前職の大手人材会社でも圧倒的な成果を残されていた中で、なぜ人材紹介会社を創業されようと思ったんですか？

今の人材紹介事業の在り方に違和感を持ったことが大きいです。

前職の環境には満足していました。結果も残せていましたし、新規事業立ち上げや社員のマネジメントなど多くの経験をさせていただいていた上に、給与も十分な額をもらっていました。そして会社のミッション/ビジョン/バリューへの共感も確かなものでした。

しかし、どうしても毎月の売上を追い求めていく中で、会社そして私自身が大切なものを忘れつつあることを危惧するようになりました。売上重視になってしまっている人材会社が多い中で、”求職者様をなによりも第一に優先する”という、ある意味既存の人材会社とは正反対の会社を創ることにチャレンジしたいと思い、創業を決意しました。

Q.求職者を大切にする上で、実践されていることを教えてください。

求職者様を理解し、信頼関係を築くことには、時間を惜しまないということです。
求職者様との面談は、最低でも3回から4回は行います。また、その人のことを理解できるまでは求人紹介は一切行いません。もし理解度が浅い状態の時に、求職者様に求人紹介を求められたとしても、本質的な転職支援ができないため、丁寧にお断りしています。

人材紹介事業の本質は、単なる求人マッチングだとは思っていません。その人のことを本当に理解した上での人生相談であり、人生相談のうちの1つが転職相談だと考えているからです。

Q.このような面談スタイルを取り入れていると、求職者はどのような反応をされますか？

とても驚かれる求職者様が多いです。「求人は紹介してくれないんですか？」と(笑)

しかし、現状に悩み転職相談をしにきた求職者様が、2,3回の面談を繰り返した後に、自信を取り戻し晴れやかな顔になって行く姿を見ると、本当に嬉しいです。また、事業的な視点で見た時のポイントは、いくつかの紹介会社と面談をしている求職者様の期待を、いい意味で大きく裏切ることができる点です。転職相談に来たはずが、いつの間にか人生相談をしており、その人自身の深い部分まで理解してくれようとしている。

最近では「ここまでしてくれてお金をお支払いしなくていいのでしょうか？」「コーヒー代くらい出させてください！」と言われることも増えてきました(笑)求職者様の人生を豊かにするべく、先義後利で親身に相談に乗ってあげるだけで、信頼関係を築くことができます。

急ぐ気持ちを抑えれば、後に大きなリターンとなって返ってくる

Q.売上最大化という観点では、一見遠回りをしているかのように見えますが、どのような結果に繋がるのでしょうか？

すべての求職者様を大切にし続けることで、結果的に事業利益も最大化されています。

その1つ目の理由は、応募承諾率がほぼ100％になることです。その人の本質的な部分まで理解した上で求人を紹介できるので、マッチングの精度にも自信がありますし、求職者様との信頼関係もできあがっているので、「真鍋さんがオススメする求人なら全て受けます」と言われることがほとんどですね。内定承諾率なども同様です。

2つ目の理由は、求職者様の集客を知人紹介に移行できるということです。集客費用がかからないというメリットもありますが、信頼関係がある方からの紹介なので、信頼関係の構築もスムーズです。また、入社が決まった方からの紹介なので、人材の”質”という意味でも、素敵な方からは素敵な方の紹介が多いんです。

つまり、求職者様を最も大切にすることに注力していけば、自然と信用は蓄積されていき、数値的にも精神的にも余裕を持つことで、より長期的な視点で求職者様のために時間を使えるようになっていくのです。

Q.知人紹介を推奨されている会社は増えてきていますね。紹介キャンペーンなどの施策を実施されているのでしょうか？

知人紹介を金銭を持って働きかけていることは一切していません。先義後利を貫いた結果、面談の内容や転職活動に満足した求職者様が、”善意で”ご紹介してくれており、とても嬉しいです。

また、求職者とエージェントという関係よりも、友人知人家族以上のその人の深い部分まで共有するため、転職後も相談を受けることも多いです。さらに、転職ニーズが弱いときに面談した方も半年後に再度ご相談をいただき、1年越しに入社が決まるようなケースも増えてきました。

入社してからもご飯に行って相談に乗ったり時には遊びに行ったりと今後も仲間として長いお付き合いが続いていく方たちばかりです。ここまで自分を頼ってくれることはエージェントとしての価値提供ができている証でもあると思うので、僕自身の幸福度も高く仕事を楽しめていて求職者様に日々感謝です。

Q.そこまでの関係値構築は簡単ではなさそうですが、面談の際に気をつけられていることなどはありますか？

よく人材紹介事業で話に出てくるような、「求職者をグリップする」ということは考えないようにしています。その時点でこちら側の事業視点が強すぎると考えているからです。

求職者様はあくまで悩みがあるから相談に来ているので、そこにどれだけ真摯に解決に向けて相談に乗れるかだと思っています。求職者様は、商品ではなくお客様（仲間）であるという視点を持っているかが、他社との圧倒的な差別化にもなっていると考えています。

多くの求職者様が私との転職相談のみに絞ってくれるので、他社と競合することはほとんどないですね。一般的には転職支援会社が人生相談まで乗る必要はないですからね(笑)

創業3か月以降黒字継続、利益率90％、集客は紹介経由がほぼ100％

Q.創業から1年未満だと信じられないくらいの成果を残されています。他に意識されていることはありますか？

当たり前のことかもしれませんが、入社までしっかりサポートし続けるということです。

求人紹介後にも、面接対策なども含めて3,4回はお会いしたりしますので、多い方だと入社するまでに10回近くお会いしています。また面接対策時にも、求職者理解が深ければ深いほど、選考で求職者様の良さを引き出しやすいということもあると思います。

結果的に内定率も高くなっていますし、求職者様が決まらないと諦めていた会社からも内定が出るので、結果的に満足度はどんどん上がっていきます。

Q.1人の求職者に時間をかけすぎると、月間の新規面談数を担保できなさそうですが、事業として回るのでしょうか？

新規の面談数は多くても10名です。しかし、ほとんどがご紹介経由であることにより、素敵な方が多い上に、離脱することが少ないので、充分な入社実績が定期的に出せるようになってきました。なによりも求職者様を大切にすることで、すべて歯車が綺麗に回るようになってきたという感覚があります。

もちろん初期は焦りも多少はありましたが、このやり方が正しいんだという想いで突き進んできましたが、今ではこのやり方が最も正しいと証明できつつあると思います。税理士に初年度の決算書を報告する機会がありましたが、「これはすごい」と驚愕されました(笑)

2020年以降も景気が変動してもやることは変わらない

Q.東京五輪後の景気変動を恐れている人材紹介会社の経営者が多いですが、真鍋さんはいかがでしょうか？

本質的な提供価値は変わらないですし、今では大手転職サイトのデータベースはほとんど利用しないでも大丈夫になりつつあるので、集客においては一切心配はしていません。転職に満足して、今後も関係が続いていく求職者様はどんどん増えていきますし、そこからのご紹介も安定的に続いているからです。

また不景気になろうとも、世の中から採用が0になるわけでもありませんし、良い人材を採用する企業があることは変わりません。良い人材のネットワークがどんどん大きくなっている弊社はそこに対しての不安が一切ありません。

そういう意味では、今後も求職者様を第一に考え続け、転職成功だけではない本質的な価値提供に集中して、事業運営をしていくだけです。

Q.最後に、今後の御社の展望を聞かせてください。

顕在的な悩みのある求職者様に加えて、潜在的な人生の悩みのある人への本質的な価値提供をするために、新規事業として教育事業を立ち上げます。

それ以外にも、人材業界を良くする試みにもどんどんチャレンジしていきたいと思っています。今のアプローチは、求職者様を大切にし続けることですが、今後は同じようなスタイルで求職者様に接するような紹介会社が増えていくような働きかけもしていきたいと思っています。

このように、弊社のミッションである、”人々が明るい未来をきり拓き、より豊かで幸せな人生を送る手助けをする”ことを推進する事業であれば、どんどん新たな事業も展開していきたいと思っています。

このように成功しているエージェントは、圧倒的な業界知識とノウハウだけでなく、求職者のことを考える時間を大切にしています。