2022年9月　有効求人倍率は1.34倍 – 9カ月連続回復で正社員有効求人倍率も1倍越え維持

2022年10月28日、厚生労働省から「一般職業紹介状況（令和4年9月分）」が発表。2022年9月の有効求人倍率が公表されました。

2022年9月の有効求人倍率は1.34倍。前月に比べて0.02ポイント上がりました。
有効求人倍率は9ヶ月連続で上昇しており、正社員有効求人倍率も堅調です

2020年3月以来、2年4か月ぶりに1倍を超えた7月以来、継続的に「1倍」を上回っています。

最新の有効求人倍率を1つ1つ紹介します。

2022年9月最新有効求人倍率及び一般職業紹介の概況

2022年9月の有効求人倍率は1.34倍。前月から0.02ポイント上昇し、引き続き大きな上昇幅を記録。正社員有効求人倍率（季節調整値）は1.03倍で、こちらも前月を0.01ポイント上回っています。

企業からハローワークに出された新規求人数も引き続き増加傾向。今年9月は去年9月より9.8％増加し、前年同月を18か月連続で上回っています。

景気の先行指標「新規求人数」は前年比9.8%増

前述の通り、「新規求人」の数は昨年9月と比較し、9.8%増。
産業別に去年9月と比較すると、▽宿泊業・飲食サービス業はプラス29.5％　▽生活関連サービス業・娯楽業はプラス22.3でした。

一方で、建設業ではマイナス0.8％。1年10か月ぶりにマイナスとなりました。「ウッドショック」と呼ばれる資材価格の高騰や原油価格の値上がりによって企業の収益が圧迫され、採用を控える動きが鮮明に見えた形となります。

有効求職者数は下降 | 前年同月比1.7%の減少

有効求人倍率が引き続き伸びる一方で、仕事を探す「有効求職者数」は前年同月比で引き続き下降しました。

企業側の有効求人数約250万人（前年同月比13.6％増）に対して、有効求職者数は約190万人（同1.7％減）

2022年8月と同様に、求職者数の減少が求人倍率を高めている傾向が明らかになりました。ハローワークに登録していた求職者が、コロナの規制緩和を受けて飲食業や宿泊業、娯楽業といった職種で就職したケースが一定数あると見られます、

正社員有効求人倍率は1.03倍

2022年9月のパートやアルバイトを除いた正社員有効求人倍率は、1.03倍。引き続き「1倍」越えの水準をキープしています。正社員有効求人倍率の推移は以下の通りです。

・2021年3月　0.84倍
・2021年4月　0.88倍
・2021年5月　0.90倍
・2021年6月　0.94倍
・2021年7月　0.94倍
・2021年8月　0.92倍
・2021年9月　0.91倍
・2021年10月 0.89倍
・2021年11月 0.87倍
・2021年12月 0.86倍
・2022年1月　0.91倍
・2022年2月　0.93倍
・2022年3月　0.94倍
・2022年4月　0.97倍
・2022年5月　0.98倍
・2022年6月　0.99倍
・2022年7月　1.01倍
・2022年8月　1.02倍

正社員有効求人倍率も、各地域で伸長しています。
たとえば、青森県の2022年9月の正社員有効求人倍率は、1.03倍（前月比0.01ポイント増）。実は青森県の正社員有効求人倍率が「1倍」を超えるのは、2022年8月が初めて（※2004年11月の統計開始以降）。2か月連続で1倍を超えた形となります。

その他の地域でも全国的な改善傾向にあり、コロナの規制が緩和されたことや全国旅行支援の発表がポジティブな影響を与えていることが分かります。

完全失業率は2.6%でやや上昇も誤差の範囲内

有効求人倍率と並んで、国内の雇用情勢を把握するうえで有効な数値が「完全失業率」です。総務省が発表した2022年9月の「完全失業率」は2.6％（前月：2.5％）。

前月から0.1％上昇したとはいえ、ほぼ前月と同水準であり、失業者数の際立った増加/減少などは見られません。

ただし「雇用形態の変化」には注意が必要です。形態別雇用者数では役員を除く雇用者5722万人のうち、正規従業員は3589万人（※前年同月：22万人減少）。非正規従業員は2133万人（※前年同月：63万人増加）。

「失業」には至っていなくとも、正規雇用から非正規雇用に変わった人がこの1年間で増えている可能性が高いです。

まとめ

有効求人倍率の最新数値について紹介しました。2022年9月の数値感は前月に引き続き、正社員有効求人倍率が「1倍越え」をキープ。感染拡大前の水準に有効求人倍率は戻りつつあります。
ただし完全失業率に目を向けると、コロナ前は正規雇用だった方が、アフターコロナで非正規雇用に変わったという側面も見えてきます。望まずして非正規雇用となった方々の求職支援や、あるいは「非正規だとしても安定して働ける環境づくり」は重要トピックスだと言えるでしょう。