【2023年1月】有効求人倍率は1.35倍 – 2年5か月振りにわずかに下降も完全失業率は改善
2023年3月3日、厚生労働省から「一般職業紹介状況(令和5年1月分)」が発表。2023年1月の有効求人倍率が公表されました。
2023年1月の有効求人倍率は1.35倍。前月に比べて0.01ポイント低下し、2年5か月ぶりに減少に転じました。有効求人倍率は10ヶ月連続で上昇してきたものの、1月は減少した形。とはいえ、2020年3月以来、2年4か月ぶりに1倍を超えた7月から引き続き、継続的に「1倍」を上回っています。
なお、2023年1月の新規求人倍率は2.38倍で、前月と同水準でした。最新の有効求人倍率を1つ1つ紹介します。
2023年1月最新有効求人倍率及び一般職業紹介の概況
2023年1月の有効求人倍率は1.35倍。前月に比べて0.01ポイント低下しました。正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.03倍で、こちらも前月から0.01ポイント下回りました。
一方、企業からハローワークに出された新規求人数は引き続き増加傾向。2023年1月は前年同月比で4.2%増加。有効求人(季節調整値)は前月に比べ0.1%減、有効求職者(季節調整値)は前月に比べ0.6%増です。
景気の先行指標「新規求人数」は前年比4.2%増
前述の通り、「新規求人」の数は2022年1月と比較し、4.2%増。
産業別に2023年1月と比較すると、宿泊業・飲食サービス業(+27.0%)、運輸業・郵便業(+4.0%)、卸売業・小売業(+3.8%)で大きな改善が見られました。
宿泊業や飲食業で継続的な新規求人数の大幅増加がみられる一因には、政府による「全国旅行支援」が支持を集めていることが挙げられるでしょう。
一方で情報通信業(-7.3%)、建設業(-5.4%)、製造業(-4.0%)などで減少が見られました。これらの業種では、新規求人数や職種別の有効求人倍率が少し不安定な状況が続くかもしれません。
完全失業者数は下降 | 完全失業率は前月から0.1ポイント改善
完全失業者数は前月から0.1ポイント改善。就業者数(季節調整値)が18万人増加した一方、完全失業者数(同)が4万人減少しています。
なお月によって若干のバラつきこそありますが、2022年8月から求職者数は「減少」トレンドにあります。1月は誤差の範囲内で若干求職者数の増加が求人増加を上回り、有効求人倍率が下降しましたが、前述の通り新規求人数も前年比で伸びています。
基本的には求職者数の減少が求人倍率を高めている傾向が見受けられ、完全失業者数も減少しています。ハローワークに登録していた求職者や完全失業者が、アフターコロナに移行する中で数多く就職が決定したと見られます。
正社員有効求人倍率は1.03倍
2022年10月のパートやアルバイトを除いた正社員有効求人倍率は、1.03倍。前月より0.01ポイント下降したものの、引き続き「1倍」越えの水準をキープしています。正社員有効求人倍率の推移は以下の通りです。
・2022年1月 0.91倍
・2022年2月 0.93倍
・2022年3月 0.94倍
・2022年4月 0.97倍
・2022年5月 0.98倍
・2022年6月 0.99倍
・2022年7月 1.01倍
・2022年8月 1.02倍
・2022年9月 1.03倍
・2022年10月 1.03倍
・2022年11月 1.04倍
・2022年12月 1.04倍
基本的に2022年以降、正社員有効求人倍率は右肩上がりで回復。コロナ前と遜色がない水準まで伸びつつあると言えます。そのため特に「ITエンジニア」など、売り手市場のマーケットでは一層「求職者(個人)」が優位な状況。企業側にはたとえば「地域ごとの有効求人倍率の差」などに着目した採用戦略が求められます。
産業別求人状況の考察と雇用調整助成金のコロナ特例終了について
2023年1月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると4.2%増となりました。産業別にみると、宿泊業、飲食サービス業(27.0%増)、運輸業、郵便業(4.0%増)、卸売業、小売業(3.8%増)などで増加となり、やはり宿泊業・飲食業の回復が顕著です。
一方で2023年3月には、コロナ特例が適用されていた雇用調整助成金が正常化予定。3月末には受給要件の緩和策も撤廃される予定です。
雇用調整助成金の受給を前提に休業していた層が、徐々に失業者へと転換される可能性があります。よって2020年以降、多くの休業者が生まれた宿泊業、飲食サービス業などで「4月以降に失業者が再び増加するのか」は慎重なウォッチが必要です。コロナ規制の大幅緩和に伴う求人増加が、休業者や失業者の再雇用へと結びつくことが期待されます。
まとめ
2023年1月の有効求人倍率は1.35倍で、求職者数は減少傾向にあります。とはいえ一部産業では求人が増加しているものの、他の産業では減少しており、コロナの影響も部分的にまだ残っていると言えます。3月の雇用調整助成金の正常化以後の数値の変化は要注目です。
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