目先の数値ではなく信用の蓄積を!エンジニア領域でも選ばれ続けるノウハウに迫る
株式会社LUXAS 代表取締役社長 川瀬
20代はいくつかの営業会社などを転々としながら、営業力を培う。多くのブラック企業で苦労を重ねてきた経験から、転職希望者にデメリットも含めた情報を提供できる人材紹介会社を作りたいと、2011年にIT/web系に特化したサーチ型人材紹介会社を創業。現在は、IT/web系の人材紹介のみならず、介護、建築など幅広い業界の人材紹介を運営しており、2016年度からは人材派遣事業を開始している。
求職者には企業の悪い部分も含めて知った上で転職して欲しい
Q.求職者に悪い部分も含めてすべて伝えることをポリシーとされていると伺いましたが、そのようなスタイルになった背景には、何かきっかけがあったんですか?
自分自身の経験が大きいです。
ファーストキャリアに選んだ会社はドブ板の営業会社でした。ある時、転職を決意したのですが、入社前に企業からは良い話しかされることがなく、実際に入社してからは入社前に聞いていた実情とはかけ離れていました。その後、転職に何度も失敗し、20代のうち10回近く転職を繰り返してしまいました。企業からも入社させるためにいい情報しか出てこない、エージェントに行っても売上最大化のためにいい情報しか出てこないのはなぜなんだと個人的に転職のあり方に課題に持っていました。そこで、求職者にデメリットも含めて企業の全てを知った上で意思決定ができたほうがいいという想いから、自分での人材紹介会社の創業を決意しました。
Q.創業後はどのような状況だったんですか?
創業直後から多くの問題が起こりました。
人材紹介の経験がほぼ無い状態で創業したのですが、初期に契約した転職者DBにスカウトメールを送信しても全く返事がきませんでした。人材紹介について詳しく知らなかったので、最初は「なんて非効率的な…」と絶望しました。周りの同業界の人に色々と聞いてみると、多くのエージェントが同じ転職者DBを使っていることが判明し、小さな池でたくさんの釣り人が釣りをしている絵が思い浮かびました。
このままではいけないと、自社で保有している求人ありきで要件にマッチする求職者を探す、サーチ型に変えてやっていこうと決意しました。転職をしようとしている人を奪い合うのではなく、転職は考えていないが、求人にマッチする人に声をかけていくスタイルです。
Q.潜在層にアプローチすると、面談数に対しての選考数が少なくなりそうですが、なにか工夫されていることはありますか?
1番大切にしているのは、信用を蓄積するということです。
悪い面も含めて求職者にはすべてお伝えすること、短期で転職を決めようとするのではなく、中長期的なお付き合いになると考えて、無理におすすめしないことは意識しています。信用してもらえるようになると、1年以上経過してからでも転職したいタイミングで連絡をいただけるので、中長期でみると選考数が減ることはありません。
また、少し違った視点でいうと、潜在層でも選考に進みやすいように、カジュアル面談を企業に打診していることや、市場価値診断として選考を受けてもらうなど、企業の紹介の仕方における細かい工夫も重ねています。
KPIは設定しない、本質的なPDCAが回る仕組みを作る
Q.引く手あまたのエンジニア領域に特化されている中で、御社が求職者に選ばれる理由はなんなのでしょうか?
IT/web業界の現場のリアルな情報をたくさん持っているからだと思います。
領域を特化したことで、企業からも多くの情報が入ってくるようになりました。それだけでなく、求職者の方と面談している中でも、リアルな企業情報を得ることができます。そういった情報をもとに、キャリアカウンセリングを実施するため、面談の室には自信があります。つまり、領域を特化したことで、求人企業だけでなく、求職者からもWeb上には掲載されていない濃い情報が集まってきます。その情報をもとに、裏表なく情報を伝達しているので、信頼構築が上手くいっているのだと思います。
そして、目先の転職先だけでなく今後のキャリアを見据えた上で、次はどの選択肢を選ぶべきなのかという視点を大切にしています。これは多くの企業に求められるエンジニアだからこそ大事な視点だと考えており、その視点を常に提示しています。中長期的なキャリアを提示しながら、次のステップとしてどこか相応しいのかを提案する面談スタイルを評価いただいているのかもしれません。
Q.多くのエージェントと違い、KPIや目標も設定されていないと伺いましたが、特別な理由があるのですか?
人材紹介には不確定要素が多く、下手にKPIを設定すると、求職者の意思を尊重しない対応をとってしまったり、信頼にかける言動をしてしまったりと、弊害が多いと考えています。求職者を騙すようなことにならないように、KPIの設定や管理をする時間があるなら、1人でも多くの業界関係者に会い、リアルな濃い情報を得ているほうが、求職者に提供できる価値も多くなると考えています。
Q.KPIを設定しなくても、改善が回る仕組みなどがあるのでしょうか?
本質的なPDCAが回るようにすることは常に意識しています。
求人企業からいただく落選理由をしっかりと分析し、リサーチャーがアプローチするターゲットをリアルタイムで変えています。面接の落選理由もそうですが、応募承諾が取れなかった理由など、各方面からくるフィードバックは、必ず次のアクションにいかしています。小規模のチームだからこそできることかもしれませんが、定性情報から次のアクションを変えるということを、細かく修正しながら事業を運営しています。
転職決定で終わりじゃない、入社後活躍を見据える
Q.ずばり、レッドオーシャンと言われるエンジニアの集客方法を教えてください(笑)
ここは長年いろいろな方法を試して結果培ったノウハウなので、企業秘密とさせてください(笑) お話できる範囲で申し上げると、LinkedInやFacebookも一部活用しています。エンジニアにリーチする手段はたくさんあるにもかかわらず、既存の方法にとらわれて実施していない企業が多いように感じます。他の会社では実施していないが、試してみると効果が出ることも多かったりするので、固定観念にとらわれず多くの施策を試してみることは重要です。
とても地道な作業でしたが、根気よくいろいろな方法を試した結果、今のスタイルに行き着きました。
Q.その他、御社ならではの独自提供価値があれば教えてください。
業界特化で多くの情報が集まるからこそできることですが、求人企業に対して、入社後どのようなフローを踏めば、紹介した人材が活躍できるのかという部分まで、アドバイスをしています。
求職者側でいうと、年収交渉なども含めて、入社後にどんな働き方になるのか、配属部署はどんなところなのかというような部分は、丁寧にサポートしています。内定が決まってから入社するまでだけでなく、入社後にも細かいフォローを重ねています。
本来転職エージェントがやらない部分にも、どんどん介入して価値提供することを意識しています。そうすることで、入社後に実際どうなのかという情報を得ることができ、その情報を活かすことでキャリア面談の質が向上したり、関係が深くなることで知り合いを紹介してくれたりと、良い効果が必ず返ってきます。
Q.最後に今後の抱負を教えてください。
私自身の転職の経験で大きな負だと感じた部分を解消していくことが、私にとってのミッションだと考えています。
まずは自分のスタイルとして、とにかく業界を健全にしていくこと、曲がったことではなく、素直さというか真っ直ぐさ、のようなものを追求していければと思っています。その上で、求職者と企業双方に価値を提供しているからこそ、転職エージェントとしてしっかり評価されていくと考えています。また、今の状態に慢心せず、今後も求職者や求人企業にとって、どんな価値提供ができるのかを追求していきたいと思っています。
そんな求職者価値の最大化をされているLUXASさんが利用されているのが、下記の求人データベースサービスです。法人営業に時間をかけていては、求職者への価値提供において差別化を測ることはなかなか難しいです。
※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
編集部では、人材紹介に関する様々な情報を無料で提供しています。お気軽にご登録ください!