人材紹介の免許は個人事業主も取得可能!開業&独立&許認可申請マニュアル
2023年最新版の、人材紹介業の免許取得・許認可申請の方法を「個人事業主として免許取得を検討している方」に向けて解説します。
人材紹介業の許認可申請や免許取得は、個人事業主でも可能です。許認可申請の基本的な流れは、法人・個人で共通しています。
ただし、個人事業主での起業・独立に特有の注意点もあります。1つ1つ解説いたします。
人材紹介の免許は個人事業主でも取得可能!
人材紹介の免許は、個人事業主でも取得可能です。
個人事業でも、高いマッチング精度や魅力的な求人を取り揃えることができれば十分にチャンスのある市場です。
人材紹介業(有料職業紹介)は、求職者(個人)と求人者(法人)を仲介。採用が決定した場合に求人者(法人)から人材紹介会社に対して手数料が支払われる成果報酬型のビジネスモデルです。
人材業界のビジネスモデルの中でももっとも利益率が高い業態の1つで、2009年度以降右肩上がりで市場規模が拡大。全国の事業所数も、2012年度以来増加を続けています。
人材紹介業で個人事業主として独立すべき?
詳細は後述しますが、個人の預貯金で資産要件を満たすことができ、職業紹介責任者の選定が可能であれば開業が視野に入ります。
一方で「住宅ローンやカーローンなど、個人名義での借り入れがある方」や「他の起業で代表取締役を務めている方」の場合は、個人事業主として人材紹介業の許認可を受けることは残念ながら難しいです。
この場合は、法人名義で起業することをおすすめします。
こちらの記事でも詳しく解説しています。
人材紹介業で独立する際は法人化すべき?
結論から言えば、特段の理由がなければ法人化することがおすすめです。
「住宅ローンやカーローンなど、個人名義での借り入れがある方」や「他の起業で代表取締役を務めている方」は法人で起業することがおすすめと書きました。特にローンに関しては、少なくない数の方が条件として当てはまるでしょう。
借り入れがある場合、個人での免許取得が難しい理由は「負債」と「財産要件」。人材紹介業の許可要件を満たす財産要件をクリアすることが難しくなるためです。
法人名義での開業であれば、個人名義の負債は「法人のもの」とは見なされません。
他の企業の代表取締役を務めている場合は、個人では職業紹介責任者の要件をクリアすることが難しくなります。法人での開業であれば、自身以外の社員を職業紹介責任者に選任することで条件をクリアできます。
このように法人化することで、個人の資産と法人の資産を切り分けることができるなど様々なメリットがあります。よって法人化することの恩恵は大きいです。
こちらの記事では、法人としての人材紹介業の免許取得について解説しています。
人材紹介業の利益率
人材紹介業の利益率は、マッチングした求職者の理論年収に対して30%前後が目安です。
たとえばマッチングする人材を第二新卒・フリーターなどの未経験者層に定め、理論年収の目安を「300万円」とした場合、1名のマッチング成立で発生する紹介手数料は90万円〜100万円程度となります。
またマッチングする人材を年収900万円前後のハイクラス人材とした場合、紹介手数料の目安は270万円〜300万円。
このように紹介する人材の「質」や「スキルセット」によっても、大きく収益性は変わってきます。
こちらの記事では「人材紹介業は儲かるのか」を解説しています。
また、こちらの記事では「年商1000万円を達成するために必要な行動量」を紐解いています。
特に個人事業主として独立することを検討している方は、こちらの記事で解説している行動量を参考に「独立後の自分の働き方」をイメージしてみることをおすすめします。
個人事業主として人材紹介業で独立するために必要な手続き
続いて、個人事業主として人材紹介業で独立するために必要な手続きを解説していきます。
多くの手続きは、法人での開業と共通していますが「個人事業主ならではのポイント」もあるため1つ1つ見ていきましょう。
許認可申請の流れ
上にも記載した通り、許認可申請の流れは基本的に法人での開業と共通しています。
基本的な許認可申請の流れは、こちらの記事を参考にしてください。
オフィス要件
個人事業主として独立し人材紹介業を開業する場合、多くの方は「シェアオフィス」「レンタルオフィス」「SOHO」が有力な選択肢となるでしょう。
特に住居用マンションやSOHOで許認可申請を行う場合、住居スペースとオフィスのスペースは完全に切り分けることが必要です。
許認可申請時の詳細なオフィス要件はこちらの記事にまとめています。
財産要件
人材紹介会社の立ち上げ時の財産要件としては、こちらの基準が定められています。
・資産総額から負債を引いた額が500万円を超えている
・事業資金が現預金で150万円以上
詳細はこちらの記事でまとめています。
個人事業主の場合、カーローンや住宅ローンを個人名義で組んでいる場合、借入額は「負債」に相当するため「資産総額から負債を引いた額が500万円を超えている」という基準を満たすことが難しくなるケースが多いです。
そうした場合は、法人で起業し、個人の借入とは資産を切り分けることで要件を満たせるケースがあります。法人での許認可申請については、こちらの記事にまとめています。
職業紹介責任者が欠格事由に該当しないこと
人材紹介業を開業する際には、各事業所ごとに「職業紹介責任者」を選任することが義務付けられています。
職業紹介責任者とは個人情報の適正な管理や苦情への対応、業務運営の改善、職業安定機関との調整などを担当する責任者です。
職業紹介責任者の要件については、こちらの記事にまとめています。個人事業主の場合、自分自身を職業紹介責任者に選任するケースが多いでしょう。
個人事業主として独立し、人材紹介業を行う場合「職業紹介責任者は常駐・常勤が原則であること」に注意が必要です。
たとえば自身が他社の役員や代表取締役を務めており、副業として人材紹介業を始めるとします。この場合、自分自身はオフィスに常駐・常勤することは現実的に難しいでしょう。
一方で職業紹介責任者は常に個人情報管理や業務の改善、職業安定機関との連絡役として業務を行う必要があります。
よって職業紹介責任者が欠格事由に相当するとして、免許取得が不可となる可能性が大きいです。
自分自身が他に本業があったり、他社の役員などを務めている場合は、他に社員を雇用して職業紹介責任者に選任する必要が出てくるでしょう。
個人事業主として独立する際にかかる費用はどれくらい?
人材紹介業で個人事業主として独立・開業する際には、許認可申請に費用がかかります。
許認可申請にかかる費用
許認可申請にかかる費用は、14万円です。
・登録免許税 90,000円
・収入印紙 50,000円
その他
法人での開業の場合は、上の費用とは別に定款認証の費用が発生します。一方で個人事業主の場合、定款は不要のため費用はかかりません。
定款については、こちらの記事で解説しています。
独立時に個人事業主が気をつけるべきことは?よくある質問
最後によくある質問をまとめました。
持ち家を自宅兼オフィスとして人材紹介業の免許を取得することは可能?
可能です。
ただし、居住用のスペースとオフィスは仕切りを作るなどして完全に分けることが必要です。
また不特定多数の人物が「住居」と「オフィス」を往来できないように、オフィス部分には扉に鍵を取り付けることが求められる可能性があります。
加えて、個人情報管理の体制についても厳しめに審査が行われるケースがあります。ファイル保管用に、鍵付きのロッカーも別途用意することをおすすめします。
他の会社で代表取締役をしている場合、職業紹介責任者になることはできる?
不可です。
この場合は、法人として起業し別の社員を職業紹介責任者に選任する形が良いでしょう。
兼業で職業紹介責任者になることは可能?
具体的に「どのような形で兼業しているのか」にもよります。
他社の非常勤役員など「非常勤」での兼業であれば、オフィスに職業紹介責任者として常駐することは概ね可能とみなされるため問題ありません。
一方で代表取締役や他社の社員を務めながら、兼業で職業紹介責任者を務めることは不可です。
まとめ
個人事業主として人材紹介業の立ち上げを検討している方に向け、許認可申請について詳しく解説しました。
多くの手続きは法人向けと共通しますが、異なるポイントも少なくありません。人材紹介マガジンを運営する Zキャリア プラットフォーム(旧agent bank)では、人材紹介業をこれから立ち上げたい方に向けたセミナーや個別のサポートも提供しています。
もし記事の内容に不明点などがあれば、個別にご連絡ください。多くの人材紹介事業者の開業をサポートしてきたスタッフが、個別に対応させていただきます。
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