【2023年最新版】人材紹介の免許取得のすべて!許認可申請完全マニュアル
2023年最新版の人材紹介の免許取得方法の概要や手順を紹介します。
許認可申請の方法を網羅的に解説しているため、開業を検討している方はぜひ参考にしてください。
なぜ人材紹介の開業・登録には免許取得が必要?
人材紹介は国の許認可事業の1つです。
人材紹介が国の許認可事業に指定されている理由は、有料職業紹介事業社による不当な「中間搾取(中抜き)」などを防ぎ、労働者の権利を保護するためです。
こちらの記事でも詳しく解説しています。
よって免許を取得しなければ、有料職業紹介を行うことは職業安定法で禁止されています。
【2023年最新】人材紹介業の市況
人材紹介業は、2009年度以降右肩上がりで市場規模が拡大しているマーケットです。
2019年度の人材紹介業の市場規模は、3,080億円(同1.7%増)。ここ10年間で、市場規模は3倍以上に拡大しています。
人材業界の市場規模については、こちらの記事で詳しく解説します。
人材業界のビジネスモデルの中でも「利益率の高さ」と「許認可申請のハードルの低さ」が大きな特徴。
よって「異業種からの人材紹介業への参入」や「人材派遣事業者の、人材紹介業への参入」などが続いています。
人材紹介事業所数の増加
厚生労働省が2020年(令和2年)3月31日に公表した「平成 30 年度職業紹介事業報告書の集計結果」(参考URL)によると、「民営職業紹介事業所数(※人材紹介事業者の総数)」は24,059事業所。対前年度比で、10.0%増加しています。
ちなみに、国内のセブンイレブンの店舗数は20,929店。人材紹介事業所数は「セブンイレブン」より多いことを意味します。また国内の駅の数は約9000。1つの駅につき2件ずつ、人材紹介事業所があることを意味します。
無論、すべての事業所がアクティブに活動しているわけでも無く、規模が小さなものやローカルなものも含まれます。とはいえこれだけの数があるということは、人材紹介事業は急速な盛り上がりを見せているマーケットといえるでしょう。
緩和が続く免許取得・許認可申請・登録要件
2017年(平成29年)の職業安定法の改正により、人材紹介業の免許取得基準が大きく緩和されたことも事業所数の増加に影響していると考えられます。
オフィス要件の緩和
職業安定法の改正により、以下の条件を満たしていればレンタルオフィスやシェアオフィスなどでも許可を得ることが可能となりました。
1.職業紹介の適正な実施に必要な構造・設備(個室の設置、パーティション等での区分)を有すること。
2.他の求職者又は求人者と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置(予約制、貸部屋の確保等)を講ずること。
3.面談スペースと執務スペースもそれぞれ個人情報が守れる構造になっていること
改正以前はレンタルオフィスやシェアオフィスでの人材紹介業の免許取得は不可でした。
オフィス要件に関しては、より詳しくこちらの記事で解説しています。
【2023年最新】人材紹介免許の許可要件
2023年最新版の、人材紹介業の免許取得・許認可申請時の許可要件を紹介します。
・職業紹介責任者が在籍していること
・区分けされプライバシーに配慮された面談スペースがあること
・財産要件が一定の基準を満たしていること
という3点が重要なポイント。ただし面談スペースに関しては、人材紹介業をオンライン専業で運営する場合は「条件を満たしていなくとも免許取得ができる」ケースもあります。
1つ1つ見ていきましょう。
職業紹介責任者が在籍していること
人材紹介業を新たに開業する場合には、必ず「職業紹介責任者講習」を受講し、資格を取得する必要があります。
職業紹介責任者は、職業安定法第32条の14により選任が義務付け。1事業所に1名、職業紹介従事者50名あたり1名以上選任する必要があります。
なお選任に当たっては、対象の人物が「3年以上の就業経験がある成人」であることが条件。
なおかつ職業紹介責任者講習を受講し、受講証明書を受け取る必要があります。
「職業紹介責任者講習」については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
区分けされプライバシーに配慮された面談スペースがあること
人材紹介業の免許取得の際、審査されるオフィス要件の1つに求職者が「他の求職者又は求人者と同室にならない」ことがあります。他人と同室にならないことで、求職者のプライバシー保護を行うことが目的です。
よって、オフィスの面談スペースには「区分けされており、プライバシーに配慮されている」ことが求められます。
ただし、人材紹介の面談をオンライン「のみ」で行う場合はオフィス要件がより緩和されるケースもあります。
新型コロナによるテレワークの普及に伴い、人材紹介会社をオンライン専業で立ち上げることを検討している方も多いでしょう。
とはいえ、面談を完全にオンラインのみで行う人材紹介会社は非常に少ないことも事実です。
オンライン専業として免許を得たい場合は、事業計画書など資料を用意した上で厚生労働省の需給調整課に相談してみましょう。
財産要件が一定の登録基準を満たしていること
人材紹介会社の立ち上げ時の財産要件は、以下の通りです。
・資産総額から負債を引いた額が500万円を超えている
・事業資金が現預金で150万円以上
詳細はこちらの記事でまとめています。
個人事業主として人材紹介業を立ち上げる場合は、既に個人名義で組んでいる住宅ローンやカーローンとの兼ね合いも必要になります。こちらの記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
人材紹介業の免許取得・許認可申請にかかる登録手数料
人材紹介業の免許取得・許認可申請時にかかる手数料は、以下の通り。合計14万円となります。
・登録免許税 90,000円
・収入印紙 50,000円
もっとも額面として大きいのは「登録免許税」。登録免許税とは、有料職業紹介事業(人材紹介業)の免許を取得する際に、登録料として必要になる法定上の費用です。
なお上の費用は、許認可申請「のみ」にかかる手数料を示しています。実際に人材紹介業を立ち上げる際には、この他に「定款認証」なども必要となります。
人材紹介業の会社設立時に記載する定款の書き方や、必要な費用はこちらの記事でまとめています。
法人登記等にかかる費用は?
免許申請書類の準備をする前に、職業紹介責任者講習の受講が必要です。講習会の受講費用はおよそ8,800円〜13,000円前後。
また法人登記費用も発生します。目安としては10-15万円ほど。法人登記を代行する業者に依頼する場合は、30万円前後かかるケースもあります。
オフィス費用も計算に入れておこう
2023年現在、人材紹介業の許認可取得はレンタルオフィスでも可能。ただし、キャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーの採用をするならば、遅かれ早かれオフィスへの入居が必要となるでしょう。
たとえば渋谷区の事業専用物件の場合、賃料の目安は安くとも20万円前後。敷金・礼金は4か月~5か月分発生します。およそ100万円をオフィス向けの費用として見繕っておくと良いでしょう。
なおSOHOなどを活用すれば、オフィスの料金はより抑えることも可能です。
なお人材紹介マガジンを運営するagent bankでは、人材紹介の免許取得の手順や手数料の詳細、書類作成の疑問点にお答えする無料ウェビナー を定期的に開催しています。
個別に疑問点にお答えすることも可能なため、ぜひ無料ウェビナー にお申し込みください。
人材紹介業の免許取得・許認可申請・登録に必要な書類一覧
許認可申請の際に必要な書類一覧は以下の通りです。
申請書類
有料職業紹介事業許可申請書 | 3部(正本1部、写し2部) |
有料職業紹介事業計画書 | 3部(正本1部、写し2部)複数の事業所を届出する場合は事業所ごとに必要 |
届出制手数料届出書 | 3部(正本1部、写し2部)上限制手数料による場合には提出は不要 |
添付書類
定款または寄付行為 | 2部(正本1部、写し1部)内容に変更がある場合には、株主総会議事録も添付 |
履歴事項全部証明書(登記簿謄本) | 2部(正本1部、写し1部) |
役員(監査役も含む)の住民票の写し | 2部(正本1部、写し1部)外国人にあっては、外国人登録証明書 |
役員(監査役も含む)の履歴書 | 2部(正本1部、写し1部)入社退社などの履歴の空白がないように記載。賞罰の有無についても記載。写真は不要。 |
直近の貸借対照表及び損益計算書、株主資本等変動計算書 | 2部(正本1部、写し1部) |
法人税の納税申告書(別表1「税務署の受付が確認」及び別表4)の写し | 2部(正本1部、写し1部) |
法人税の納税証明書(その2 所得金額用) | 2部(正本1部、写し1部) |
事業所の使用権を証する書類(賃貸契約書など) | 2部(正本1部、写し1部)自己所有の場合は、建物の不動産登記簿謄本 |
手数料表 | 2部(正本1部、写し1部) |
事業所のレイアウト図 | 2部(正本1部、写し1部) |
職業紹介責任者の住民票の写し | 2部(正本1部、写し1部) |
職業紹介責任者の履歴書 | 2部(正本1部、写し1部)入社退社などの履歴の空白がないように記載。賞罰の有無についても記載。写真は不要。 |
職業紹介責任者講習会の受講証明書の写し | 2部(正本1部、写し1部) |
個人情報適正管理規程 | 2部(正本1部、写し1部) |
業務の運営に関する規程 | 2部(正本1部、写し1部) |
人材紹介業の許認可申請~登録の流れ
人材紹介業の許認可申請の流れは以下の通りです。
- 許可基準を満たしているかチェック (1日程度)
- 責任者講習受講 (1日程度)
- 必要書類準備(作成作業時間≒1週間未満)
- 申請書作成 (2-3時間)
- 労働局にて事前確認 (半日程度)
- 捺印後、申請手続き(責任者同行の上、半日程度)
- 事務所検査 (申請から1週間)
- 許可証交付、営業開始(申請から約2-3ヶ月)
免許取得準備から実際に手続きが完了するまでに必要な時間は、およそ3ヶ月。
なお許認可申請に不備があったり、要件を満たしていない項目がある場合、手続きを最初からやり直すことが必要なケースもあります。
書類の準備に不安点がある場合は、社労士に許可申請業務の代行を依頼することを検討するのも良いでしょう。
人材紹介業の免許取得・許認可申請・登録時にで起こりやすいミスと対策
最後に、人材紹介業の許認可申請で起こりやすいミスやつまづきやすいポイントについていくつか紹介します。
オフィスの個室や書類保管スペースに鍵が必要なケースがある
近年は、壁などを取り払った開放感のあるオフィスデザインが人気です。しかし「開放感のあるオフィス」は、人材紹介業の免許取得要件で求められるオフィスの条件とは合致しないことがあります。
理由は、求職者のプライバシー保護。他の求職者と同室になるリスクがあったり、プライバシー保護が十分ではないと判断されると免許の取得ができない可能性があります。よってオフィスには求職者面談用に整備した個室を用意しましょう。個室に鍵をつけることができれば、よりベターです。
また書類保管にも注意が必要です。オフィスビルのセキュリティや社内の書類保管体制によっては、書類保管スペースにも鍵の取り付けを求められることもあります。
「あらゆるレンタルオフィス」で免許取得が可能とは限らない
人材紹介の免許取得に求められるオフィス要件が緩和され、レンタルオフィスやシェアオフィスでも開業可能となりました。
ただし「あらゆるレンタルオフィス」「あらゆるシェアオフィス」で開業が可能になったわけではありません。
レンタルオフィスやシェアオフィスで開業する場合にも、区分けされた面談スペースなど十分な求職者のプライバシー保護が求められることには変わりありません。
レンタルオフィスやシェアオフィスで免許申請を行う場合は「個室もしくは区分けされたスペースを会議室としてレンタル可能か」「執務スペースとして個別ブースの契約が可能か」「鍵のかかる金庫やロッカーが設置されており、利用可能か」など、必要なオフィス要件を事前に確認しておきましょう。
資産要件は「現金が500万円あれば良い」とは限らない
人材紹介業の新規立ち上げ時の資産要件を「現金500万円」と勘違いされている方は少なくありません。
実際には「資産総額から負債を引いた額が500万円を超えている」なおかつ「
事業資金が現預金で150万円以上」であることが必要です。
たとえば既に法人として銀行などから借り入れを受けている場合、借り入れ額は負債とみなされます。
資産要件のクリアが難しい場合「個人名義で借り入れ、増資扱いとして会社に投資する」など何らかの形で増資を検討する必要が出てくるでしょう。
人材紹介業の登録~立ち上げ後に重要なこと
最後に人材紹介業の免許取得手続きの完了後に、重要なポイントを3つ紹介します。
自社の人材紹介事業の登録者数を増やすには?
求職者集客は多くの人材紹介会社がつまづくポイントです。多くの人材紹介会社は「登録型」に該当するビジネスモデルです。質の高い求職者を囲い込み、自社の人材紹介サービスに登録してもらうことが重要です。
登録者数を増やす求職者集客の手法には、「スカウトメール」「オウンドメディア」など様々なものがあります。以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
入社後のフォローアップ体制
人材紹介会社経由で転職した人材が、すぐに退職した場合は「返金対応」の対象となります。返金規定については以下の記事にて詳しく解説しています。
つまり人材紹介会社の担当者は、求職者と求人者をマッチングするだけでなく、早期退職を未然に防ぐためのフォローアップも大事です。
特に転職したばかりの求職者は、実際に働きだすと「入社前に聞いていた業務と実務に大きな隔たりがある」といった不満を感じてしまい、早期退職してしまうことも少なくありません。こうした際は人材紹介会社が、求職者と求人者の間を取り持ち、双方の不満をヒアリング。解決策を探ることも大事です。
利益率の改善
人材紹介会社の経営で、利益率を改善する際にウォッチすることが多い代表的な指標は以下の3つです。
・面接キャンセル率
・内定辞退率
・入社後1年以内の早期退職率
これらの指標をウォッチし、数値を改善することで手数料収入の底上げが可能です。
まとめ
人材紹介業の免許取得に必要なことや手続きの流れについて、2023年最新版の情報をお届けしました。開業時の参考になれば幸いです。
下記ツールは、無料で自社が要件を満たしているのかチェックし、申請書類の準備が、質問に回答していくだけで完了するツールです。
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