人材紹介の免許取得には厚生労働省の許可が必要!職業紹介事業の許可に関する概要とは?
「人材紹介事業」「転職エージェント」「有料職業紹介」「転職支援」「転職斡旋」など、さまざまな呼ばれ方をしている「有料職業紹介事業」は、厚生労働省の受給調整課が管轄している国の許認可事業です。
有料職業紹介事業は、国の許可を得ずに事業運営した場合には、下記の罰則に概要します。(第14 違法行為による罰則、行政処分より引用)
違法行為による罰則
(2) 法第64条
次のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。 イ 厚生労働大臣の許可を受けずに有料職業紹介事業を行った者(第1号)
ロ 偽りその他不正の行為により、有料職業紹介事業の許可、有料職業紹介事業の許可の有効 期間の更新、無料職業紹介事業の許可、無料職業紹介事業の許可の有効期間の更新を受けた 者(第1の2号)
ハ 法第32条の9第2項(法第33条第4項及び第33条の3第2項において準用 する場合 を含む。)の規定による事業の停止の命令に違反して職業紹介事業を行った者(第2号) ニ 厚生労働大臣の許可を受けずに無料職業紹介事業を行った者(第5号)
「職業紹介事業」に該当する行為とは?
それでは、国が定める「職業紹介事業」にはどんな行為が該当するのでしょうか。
「職業紹介」・・・「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすること」と厚生労働省の職業紹介事業制度の概要ページに記載があります。
「申込みを受ける」という文言の定義の判断が難しいですが、基本的には求職者と求人企業の間を取り持ち、雇用関係が成立する場合は、職業紹介にはあたるという認識をもっておく必要がありそうです。
それだけでなく職業紹介事業の中でも、「無料職業紹介」と「有料職業紹介」という2つのパターンに分かれますので、そちらについても解説していきます。
無料職業紹介
斡旋の対価として”費用を受け取らずに”、求人企業と求職者の間の雇用関係の成立を斡旋することを指します。
このような無料職業紹介事業の場合は、厚労省による許可は必要なく、届け出をすれば誰でも行うことができます。
例としては、学校のキャリアセンターによる無償のキャリア支援、農協や商工会議所などの特別の法律により設立された法人が行う職業斡旋などが挙げられます。
また、無料職業紹介事業の場合は、取扱職種に制限はありません。無料職業紹介事業の概要やメリット・デメリット、許可要件などは以下の記事でまとめています。
有料職業紹介
斡旋の対価として”費用を受け取り”、求人企業と求職者の間の雇用関係の成立を斡旋することを指します。こちらは、国の許認可事業になるので、厚生労働省からの許可が必要です。許可を取得すれば、下記の制限職種以外は、斡旋が可能です。
- 港湾運送業務に就く職業
- 建設業務に就く職業
上記職種は「建設業務有料職業紹介事業」などの特別な許可が必要なので、誤って紹介を斡旋することがないよう、気をつけましょう。新卒、中途などの年代は関係なく、すべての有料での職業紹介行為が、国の許認可事業である「有料職業紹介事業」に該当します。
有料職業紹介事業・無料職業紹介事業についてよくある質問
最後に有料職業紹介事業と無料職業紹介事業について、よくある質問をまとめました。
有料職業紹介事業と人材派遣の違いは?
有料職業紹介事業(人材紹介)と人材派遣の、もっとも基本的な違いは「労働者の雇用主」です。
人材紹介は求人者(企業)と求職者(個人)の仲介に徹する事業です。よって労働契約は企業と個人が直接結びます。
人材派遣は、雇用主は派遣会社となります。よって個人にとって、給与の支払元は派遣会社です。派遣会社にとっては給与の支払いに加え、社会保険料の加入義務などが発生します。
より詳しい両者の違いはこちらの記事でまとめています。
有料職業紹介事業の市場規模はどれくらい?
2019年度の有料職業紹介事業の市場規模は3,080億円です。
同年度の人材派遣業の市場規模は6兆6,800億円。人材派遣業と比較すると、市場規模の面では大きく見劣りするのが現状です。
一方で、有料職業紹介事業は2009年以降右肩上がりで市場拡大が続く成長産業であることも事実です。
人材派遣業から人材紹介業に新規参入する事業者も年々増加傾向にあり、さらなる市場拡大が予測されます。
有料職業紹介事業と無料職業紹介事業は開業するならどちらがおすすめ?
無料職業紹介とは、その名の通り「無償の職業斡旋」を意味しています。学校のキャリアセンターによる無償の職業斡旋などが、代表的な例です。
自社で既にスクールなどを運営しており「キャリアセンターの業務を拡充することで収益の拡大が見込める」という場合には、無料職業紹介事業を手掛けると良いでしょう。
一方で新規に人材紹介業を立ち上げる場合は、特段の理由がない限りは有料職業事業がおすすめです。
まとめ
費用が発生するのかによって、届け出で済むのか、許可が必要になるのかについての規定が変わります。基本的に”事業”として、求人企業に求職者を紹介し報酬を得る行為は、有料職業紹介事業として、国の許認可が必要になります。
また有料職業紹介の許可を得ていても、建設業の紹介は行えないなど、職種に制限があることにも、注意が必要です。
許可取得に関しては、下記記事に詳細をまとめてますので、合わせてご参照ください。
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