

2021年10月1日、厚生労働省から「一般職業紹介状況(令和3年8月分)」が発表。2021年8月の有効求人倍率が公表されました。
2021年8月の有効求人倍率は、1.14倍。前月からほぼ横ばいという結果になりました。一方で新型コロナウイルスの感染拡大にある程度歯止めがかかったことで、足元では飲食業やサービス業での人手不足感が高まっています。最新の有効求人倍率を1つ1つ解説します。
2021年8月の有効求人倍率は、1.14倍。前月に比べて0.01ポイント下降しています。
正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.92倍となり、前月から下降しています。
8月の有効求人倍率は前月よりも下降傾向ではありますが、下降幅は小さく「ほぼ横ばい」と言えるでしょう。
8月の企業からの新規求人数は、前年同期比で10%改善。去年8月と比較して「製造業」はプラス39.3%。「宿泊業・飲食サービス業」はプラス12.3%と、経済再開を受けて求人数は回復傾向にあります。
とはいえ新型コロナの感染拡大前のおととし8月と比較すると20.6%減少。感染拡大前の水準には戻り切っていません。経済活動の段階的な再開を受け、徐々に人手不足感が高まる業種も出てきており、さらなる採用市場の活性化が期待されます。
2021年7月のパートやアルバイトを除いた正社員有効求人倍率は、0.92倍。前月よりもわずかに下降しました。
2020年1月からの正社員有効求人倍率の推移は以下の通りです。
・2020年1月 1.07倍
・2020年2月 1.05倍
・2020年3月 1.03倍
・2020年4月 0.98倍
・2020年5月 0.90倍
・2020年6月 0.84倍
・2020年7月 0.81倍
・2020年8月 0.78倍
・2020年9月 0.78倍
・2020年10月 0.79倍
・2020年11月 0.80倍
・2020年12月 0.81倍
・2021年1月 0.79倍
・2021年2月 0.82倍
・2021年3月 0.84倍
・2021年4月 0.88倍
・2021年5月 0.90倍
・2021年6月 0.94倍
・2021年7月 0.94倍
2021年に入ってからは、6か月連続で正社員有効求人倍率が上昇し続けましたが、2021年7月に入って足踏み。2021年8月は下降傾向となりました。
若干の下降傾向ではありますが、有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)に申し込まれた求人数を求職者の数で割ったものです。つまり求人数が減少するのではなく「求職者数が増えること」でも数値が下降します。
たとえば兵庫労働局の調査では、8月の兵庫県内の有効求職者数は前月比で3.9%増。40代後半以上で有効求職者数が顕著に上昇しており、年齢層が上の世代でワクチン接種が進んだ影響が数値に現れだしていると言えるでしょう。
有効求人倍率と並んで、国内の雇用情勢を把握するうえで有効な数値が「完全失業率」です。2021年8月の完全失業率は2.8%と、前月から横ばい。
完全失業者数は191万人と前月から1万人増加するも、前月に比べ「非自発的な離職」は5万人減少。新型コロナウイルスの影響は色濃く残ってはいるものの、雇用調整助成金の効果もあり、完全失業率は2%台に抑えられている状況です。
2021年10月からは緊急事態宣言が解除され、本格的な経済活動の再開が見込まれます。時短営業や営業自粛が続いていたサービス業や飲食業などで人手不足感が高まっている中、有効求人倍率や完全失業率がどのように推移するかに注目が集まります。
有効求人倍率が若干下降、完全失業率が雇用調整助成金の効果によって2%台で抑えられる中、厚生労働省が2021年7月26日に出した介護職に関するレポートが注目を集めています。
レポートでは高齢者数がピークとなる2040年には、約280万人の職員が必要と試算。一方、2019年度の介護職員数と比較すると約69万人の職員が不足。
2040年までに十分な職員数を確保するには、2025年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材の確保が必要とされています。
介護職の人手確保は国全体の課題であると同時に、人手が余っている業界から介護業界に労働力を移動していくことは人材紹介会社の課題でもあると言えるでしょう。介護職は人手不足感が顕著かつ深刻な業種と言え、2025年度末までの対応を検討していく必要があるでしょう。
有効求人倍率の最新数値について紹介しました。2021年8月の数値は前月よりも下降傾向。一方で完全失業率は2%台で抑えられており、雇用調整助成金の効果も出ています。
2021年10月からは緊急事態宣言解除の効果によって、サービス業や飲食業で人手不足感が高まることが予測されます。
また2021年7月末の厚労省のレポートによって、介護職の人手不足感の深刻さが明らかにもなりました。介護職の人手確保についても早急なソリューションが必要となり始めていると言えるでしょう。
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