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コラム
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【人材紹介スタートアップ、成功の秘訣】27歳、完全未経験から2年で年商2億に到達するまで

    直近5カ月間、単月で2000万円の売上を達成している急成長スタートアップ「デザイナー」。同社は人材紹介関連のスタートアップの中でも、もっとも勢いがある一社です。

    人材紹介マガジンを運営するagent bankは、同社に対して求人データベースの提供など様々なサポートを提供しています。しかし、デザイナー社は求人データベースを「ただ単に使う」のではなく創業当初からリファラル集客を最重要項目に挙げるなど独自の取り組みを通じて拡大を実現しました。

    なおかつ驚くべきことに、同社の代表・泉澤氏は人材紹介未経験から事業を立ち上げたのです。

    今回は株式会社デザイナーの代表取締役、泉澤 恵一朗 氏 を招いて行ったウェビナーのレポートをお届けします。

    株式会社デザイナー 代表取締役 泉澤恵一朗 氏
    パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。 インサイドセールスの立ち上げに配属、その後、媒体新 規開拓営業、大手既存 営業の3部署を経験し、独立。 採用、営業領域において、社員数500名規模の 中小企 業から社員数10名のベンチャー企業の顧問を従事。 その後、株式会社 デザイナーの代表取締役に就任。

    <主な実績>
    ・パーソルキャリア
    ▷2019年1Q:採用支援大賞
    ▷2019年1Q,2Q,3Q連続達成 など多数

    人材紹介スタートアップ「デザイナー」が創業直後に取り組んだこと

    泉澤:企業への人材紹介は簡単だと思い始めたのですが、人材紹介業界自体は未経験で知識がなかったんです。しかし、いろんな人の力を借り、先人のアドバイスを素直に受け入れたことが企業の成長に繋がったと思います。

    agent bankさんの力を借りて求人開拓をアウトソーシングし、求職者面談もたくさん実施しました。これにより、業界知識が身に付き、結果として弊社は多くの求人を紹介できる状態にもなりました。

    泉澤:人材紹介でまず重視したのは、集客のための「リファラル」です。紹介した求職者から、また新たに2人の紹介をもらうような仕組みを確立しました。創業当初はキャリアアドバイザーは3名だったのが、現在では14名体制。年間決定数は140名で、決定率は約4分の1です。

    創業間もない企業でも140名の年間決定数があるのは、繰り返しですが、やはりリファラルの効果が大きいです。一般媒体はいまでこそ使っていますが、もともとリファラルやコミュニティからの採用を重視しています。

    紹介してくれた方への特典は、食事に行って直接お礼をお伝えするという感じです。あくまで「決まった特典」があるわけではなく、信頼関係で成り立っているのが正直なところです。

    CPAを低減するために人材紹介スタートアップが行ったこと

    同社は求職者1名当たりの「応募獲得単価(求職者の集客にかけたお金÷応募人数)」の削減にも積極的です。同社が強みとしているのは、求職者に対する緻密なキャリアコンサルティング。なおキャリア設計を綿密に行った上で紹介することで、早期離職率も低い水準に保っています。

    泉澤:具体的には求職者との面談で彼らの過去と未来をしっかり言語化し、本当にその人にとって正しい転職が何かを向き合って考えることで、求職者が自分のキャリアを理解しやすくなり、適切な転職先を見つけることができるようになりました。これにより、求職者が自分に合った企業に転職することができ、結果的にCPA(応募獲得単価)が低減しました。

    泉澤:なお紹介した方に対しては、定期的なフォローで関係を維持しています。早期退職の抑制につながるのは勿論、それらの方々から新たな転職者を紹介してもらえることもあります。繰り返しですが、利益を上げるために、最初からリファラル集客に取り組んでいたのでその一環ですね。

    もっともどれだけリファラルを重視しても、やはり創業当初は簡単にはマッチング成立には至りません。そうしたリスクははじめから経営計画に組み込んでいました。

    急増するスタッフのマネジメント問題。デザイナー社のチームビルディング

    人材紹介会社の売上増加には「キャリアアドバイザー」の存在が欠かせません。一方で急成長する人材紹介会社は、キャリアアドバイザーへの「教育」も課題になりやすいです。デザイナー社の成功のカギには、急増するキャリアアドバイザーに対してもMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透を意識し続けたことが挙げられます。

    泉澤:キャリアアドバイザーの数を増やさないと売上が上がらないので、マーケティング担当を雇い、ホームページにも投資しました。ですがそれらはあくまで前提。

    重要なのは新たに採用された社員のパフォーマンスを向上させることで、社員のモチベーション向上にも取り組んでいます。球技大会をしたり、皆でスポッチャにも行くなど体育会系の風土が弊社にはありますね。

    泉澤:普段の会話では、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透を重視しています。まずは実務で求職者に向き合うことを徹底することです。

    「利益よりは候補者のために」と、MVVとして掲げています。メンバーが悩んだときや、何か迷ったときとかの判断軸は「候補者のため」。会社の成功の鍵は、チーム内で設定されたミッション・ビジョン・バリューが浸透し、採用基準や入社後のギャップが少なくなり、定着率が向上したことにあると考えています。

    デザイナー社が心がける「求職者との接し方」

    泉澤:求職者の中には、特に未経験の層で「得意なことがない」と感じる方が多いと思われます。そうした方へのアプローチについてはキャリアアドバイザーのヒアリング力が重要です。学生時代など個人の話を深堀りして、強みを引き出すことが大切ですね。

    ここで会場からは「求職者に対応するキャリアアドバイザーの採用には、”候補者がイケメンであること”は大事ですか」と質問がありました。泉澤氏は「イケメン採用」は否定しつつも、キャリアアドバイザーの清潔感は重視されているようです。

    泉澤:キャリアアドバイザーには清潔感が大事です。顔採用というわけでは無いですが、たとえば髪型にもスーツの着方にも人柄は出ますし、そうした細かいところまで弊社はこだわってます。「この人は信頼できるな」という印象を与える努力は欠かしません。

    候補者が内定を獲得するまでの流れ

    泉澤:弊社では候補者にヒアリングシートを送り、それを基に面談を行っています。初回の面談で求人をピックアップすることもありますし、2回目の面談で求人を絞り込むこともあります。

    なのでリードタイムに関しては、候補者によって異なります。面接に落ちることが多い候補者の場合、3ヶ月かかることもあれば、他の候補者は1ヶ月や1週間で内定が決まることもあります。

    平均的には約2ヶ月程度ですが、本当にまちまちです。できる限りリードタイムを短くしたり、面接に落ちやすい候補者の方でも内定を獲得できる状況を作るにはやはり「求職者の方との信頼関係」は欠かせないです。

    「労働集約型ビジネス」の人件費高騰リスクにデザイナー社はどう対応しているのか

    今回のセミナーで、もっとも議論が盛り上がったポイントは「人材紹介業の固定費の大きさ」でした。人材紹介業では求職者のサポートを行う「キャリアアドバイザー」と、求人者(企業)の支援を行う「リクルーティングアドバイザー」が欠かせません。

    つまり事業が拡大すればするほど、社員数も膨れ上がります。マッチングが成立し、入金されるまでのリードタイムが長い反面で「固定費」は出続けます。このリスクを泉澤氏はどのように考えているのでしょうか。

    泉澤:固定費の観点から見ると、確かに人材紹介業はリスキーな業種かもしれません。でも、僕は「頑張るタイプ」なんです。自分の力を信じて、寝る間も惜しんで働いて、リスクを取りながら前進するタイプなんです。ですから、シンプルに「社員数が増えたなら、決定数を毎月1人増やせるように頑張ればいいよね」と思っています。

    それにうまくいかないときがあっても、僕は家賃5万のところにでも住めますし、食費だっていくらでも削れます。僕自身はお金が無くても良いんです。

    僕は人材紹介業界のビジネスモデルが非常に好ましく、社会貢献性の高いビジネスだと考えているんです。前職では売り上げのために無理やり商材を売ったこともあるんですけど、いまはそういうことも無いです。人材紹介のビジネスって、本当に関わる人が三方良しだと感じられます。面談を夜遅くまでして疲れたな、と思うこともあるんですけど、とにかく働いていて幸せなんですよね。

    毎日楽しく仕事ができていますし、候補者の方にも、社員にもその幸せが伝わっていると感じています。

    まとめ

    今回は泉澤 恵一朗 氏を招いて実施したウェビナーのレポートをお届けしました。

    デザイナー社が人材紹介スタートアップとして成功を収めている要因には、「リスクを取りながらも自分の力を信じて進む」という泉澤氏の信念があると筆者は感じました。

    人材紹介業界は95%以上の会社が小規模である業種です。

    立ち上げ直後には固定費の支出に対して売上が立たない厳しい局面もあるかもしれません。しかし「人材紹介」の社会的な意義や、本質的に三方良しとなるビジネスモデルの魅力を信じて突き進むことが道を開きます。スタートアップが成長していくためには、泉澤氏の信念や立ち振る舞いは忘れてはならない大切な教訓ではないでしょうか。

    関連URL
    ・株式会社デザイナー
    ・泉澤 恵一朗 氏 Twitter
    ・泉澤 恵一朗 氏 facebook
    ・泉澤 恵一朗 氏 Instagram
    ・泉澤 恵一朗 氏 youtube

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