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コラム
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人材募集に関するLinkedinの活用について(初級編)|株式会社アースメディア・松本淳氏

    前回の記事(「SNSを活用したセルフブランディングについて」)では、LinkedInなどのSNSを人材募集や人材採用に活かすためには、まずは個人としての「セルフブランディング」が重要だというお話をしました。

    今回は、SNS運用を人材募集や人材採用の成果に結びつけるための初級編として、より具体的な運用方法について考えていきます。

    「チーム戦」を意識して運用する

    前回のテーマ「セルフブランディング」では、人材募集や採用のための法人アカウントのみならず、「担当者の個人アカウント」によるSNSでの発信や交流を進めることが大切ですと述べました。

    しかしながら、LinkedInなどのSNSを担当者一人だけで運用するのはかなり大変です。会社としての採用や人材募集ためにSNS運用に力を入れる場合、決められた担当者一人だけが運用するのではなく、複数メンバーが一緒にSNSを運用する「チーム戦」が有効です。

    これは、「一つのアカウントの中に複数の人がいる」という意味ではなく、「個人アカウント」をそれぞれのメンバーが個別に運用するということです。その集合体が「チーム」だという意味で述べています。

    SNS募集・採用チームのメンバーは、採用企業であれば採用担当者、人材エージェントであれば募集担当者などが中心となるのが普通ですが、理想的には、会社内のできるだけ多くの人を巻き込むことが重要です。特に大切なのは、役職者が積極的にSNSアカウントを運用する姿勢です。

    マネージャー、部長、役員、社長、このような役職者がSNS運用に積極的であればあるほどその会社全体のSNS運用は盛り上がります。逆に「SNSは、若い人が得意なはずだから彼らに丸投げする」という方針の会社はうまくいきません。上位者がSNSで発信を始めるとメンバーも勇気づけられますし、「どこまでの発信なら良いのか」という感覚や線引きも自然と醸成されます。

    チームとしてSNSを運用していると、リアクションやコメントなどを通じて互いに応援して伸ばすこともできます。メンバー、マネージャー/部長、そして役員や代表までが一丸となってSNS運用に取り組む会社も増えてきました。

    運用担当が一人だけだと成果が個人の能力やモチベーションに左右されてしまいますが、チームという強みを活かして運用することで、SNS運用の成果を安定的に高めることも可能になります。

    また、チーム戦が有効なのは、メンバーお互いのSNS上での「会話」の内容が、外部への強いメッセージになるということです。公式アカウントから一方的に発信する「会社の良い部分」は、単なるPRや宣伝として捉えられるかもしれません。しかし、メンバーやマネージャー間でコメントなどのコミュニケーションを増やすと、それは「社員からのリアルな声」として外部にダイレクトに伝わります。

    それこそがSNSブランディングの強みであり、だからこそ、「個々のメンバー」によるチーム戦が重要だということです。LinkedInでも、このような取り組みを始める会社が徐々に増えてきました。

     一方通行の発信ではなく、外との「交流」を心がける

    SNS運用では「発信」ばかりが注目されがちですが、本当に重要なポイントは他のユーザーとの「交流」にあるといえます。これは個人としての利用に限った話ではなく、人材採用や人材募集のための法人としての活用でも同じことです。

    一方的に発信だけしていても、なかなか自社の「ファン」を増やすことはできません。SNSを単なる宣伝媒体として捉えてしまうと、その本当のポテンシャルを活かすことができないのです。人材を募集します、採用しますとばかり宣伝する前に、まずは他のユーザーとの信頼構築を優先することが重要です。

    積極的に他者にリアクションやコメントを返して「交流」 する意識を持てば、会社としての想いや考えを伝えやすくなります。フラットなコミュニケーションの中からこそ、会社にとって重要な未来の仲間との出会いが生まれるはずです。まさにその点が、ソーシャルリクルーティングの真髄だといえるでしょう。

    自社ファンとの「長期的な関係づくり」を目指す

    LinkedInには、今すぐ転職したい人から、良い企業があったら考えたいという人までが幅広く混在しています。潜在的に次のキャリアを考えている人にいかに自社への良いイメージを持ってもらうか、また、「次はこの企業の話を聞いてみたい」と思われるかどうかが重要です。転職エージェントでも、「この人なら親身になって相談に乗ってくれそうだ」と思われることが大切なはずです。

    また、仮に選考に落ちてしまったとしても、「あの企業だったら友達にすすめたい」と思われるような企業であることが大切です。長い目で個人との関係性を着実に築いていく、そのプロセスにおいてLinkedInは強い力を発揮します。「狩猟型」の採用活動ではなく、長い期間をかけて信用と興味を育てていく、「農耕型」の採用活動という意識です。

    転職エージェントでも同じで、求職者とは「たった一回のお付き合い」なのではなく、人生における長いキャリアパートナーであり続けるための関係性作りや信頼構築がとても大切です。

    他のSNSやメディアともうまく連携させる

    ソーシャルリクルーティングでは、「SNSから直接何人応募があったか」を指標にすることは本質ではありません。SNSからの直接応募というアクションは、あくまで「一つの要素」であると考えた方が良いでしょう。

    自社サイトや外部メディアなど様々なチャネルがある中で、総合的に自社への興味を持つ人を増やすことが重要です。SNSは、そのすべてのチャネルの効果を上げる、ブランディングの基礎として活用する意識が大切だといえるでしょう。

    単に募集広告を見たから応募した、登録したという求職者を増やすのは、長い目で見ると建設的ではありません。そればかりだと、募集広告を減らしたとたんに応募数は減ってしまいます。

    そうではなく、「次に転職するとしたらあの会社を受けてみたい」「あの転職エージェントに相談してみたい」、長い目でそのように思ってもらうということです。LinkedInなどのSNSは、それが可能なプラットフォームです。そのような意識醸成の結果、SNSからの直接応募や登録が増えるだけではなく、他のチャネルも含めた総合的な応募人数が増えるということです。これこそがソーシャルリクルーティングの真髄だといえます。

    求人の見せ方やスカウト文面などの技術面を強化する前に、まずは以上の基本的なSNSの運用方針を徹底していくことが重要です。人に動いてもらうためにはまずはお互いの信頼関係の構築から。これは採用や転職支援のみならず、ビジネス、そして社会全般に共通する大切な姿勢であるはずです。

    Profile
    株式会社アースメディア (https://earthmediacorp.com/)
    代表取締役 松本淳氏
    大学卒業後株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社、人材紹介事業の新規立ち上げで事業戦略立案などを担当。 2003年に独立、求人検索エンジン事業のジョブダイレクトを創業し、リクルートによるM&A提案を受け5年で事業売却。その後は海外NGO支援、社会起業家支援などを手掛ける一方、新規事業戦略、組織・人材戦略を中心に法人への事業コンサルティングを提供。『LinkedIn活用大全』の著者。
    ▼SNS情報
    Linkedin(https://www.linkedin.com/in/jnmatsumoto/
    Twitter(https://twitter.com/Jn_Matsumoto?s=20&t=PZWZOY7BtWqIGxZrpmx6Rg

    LinkedInを活用した求職者集客について、人材紹介マガジンを運営する「agent bank」の主催ウェビナーでも無料でより詳しく解説しています。
    https://agent-bank.com/seminar/s/linkedin/

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