【2021年6月最新】有効求人倍率は1.13倍 – 完全失業率も改善
2021年7月30日、厚生労働省から「一般職業紹介状況(令和3年6月分)」が発表。2021年6月の有効求人倍率が公表されました。
2021年6月の有効求人倍率は、1.13倍。2021年5月に引き続き数値が改善傾向にあり、宿泊業、飲食サービス業などで就業者数が回復しつつあります。今回は、2021年6月の最新数値を1つ1つ紐解いていきます。
2021年6月最新有効求人倍率及び一般職業紹介の概況
2021年6月の有効求人倍率は、1.13倍。前月に比べて0.04ポイント上昇しています。
正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.94倍となり、前月を0.04ポイント上回ました。
6月の有効求人倍率は1年1カ月ぶりの高い水準であり、新型コロナウイルス感染前の数値と比較すると低水準ではあるものの、数値の回復傾向が続いています。
完全失業率の改善も続く
6月の完全失業率(季節調整値)は2.9%と、前月より0.1ポイント改善しています。就業者数(実数)は6692万人と、前年同月比で22万人増加。
宿泊業、飲食サービス業の就業者数が18カ月ぶりに増加するなど、飲食店や商業施設などでの営業再開が完全失業率や有効求人倍率の改善にプラスに働いている傾向が見られます。
正社員有効求人倍率は0.94倍
2021年6月のパートやアルバイトを除いた正社員有効求人倍率は、0.94倍でした。
2020年1月からの正社員有効求人倍率の推移は以下の通りです。
・2020年1月 1.07倍
・2020年2月 1.05倍
・2020年3月 1.03倍
・2020年4月 0.98倍
・2020年5月 0.90倍
・2020年6月 0.84倍
・2020年7月 0.81倍
・2020年8月 0.78倍
・2020年9月 0.78倍
・2020年10月 0.79倍
・2020年11月 0.80倍
・2020年12月 0.81倍
・2021年1月 0.79倍
・2021年2月 0.82倍
・2021年3月 0.84倍
・2021年4月 0.88倍
・2021年5月 0.90倍
2021年に入ってからは、6か月連続で正社員有効求人倍率が上昇し続けています。6月の新規求人数も増加しており、東京五輪を前に緊急事態宣言の解除が見込まれる中、求人を出す企業も増加に転じたものとみられます。
新規の求職申込数の減少傾向にも注視が必要
2021年5月に引き続き、2021年6月も新規求職申込数には減少が見られました。新規の求職申込数は前月比で、マイナス3.6%です。
有効求人倍率は「求職者が減少することによっても、数値自体は改善する」という特徴があります。求人案件が増加しなくとも、求職者が減少すれば「求職者1名当たりの求人案件数」はプラスに転じるためです。
つまり有効求人倍率について考察する際は、求職者数にも着目する必要があります。コロナ禍ではワクチン接種を追えるまで積極的な求職活動を控える人も少なくなく、求職活動に対して消極的な層が一定数存在。そうした層が「有効求人倍率を数字上、改善している」可能性があります。
コロナ禍での解雇や離職に歯止めがかかる
正社員有効求人倍率の推移を見ると、2020年の夏の「0.78倍」がワースト。2021年に入ると徐々に人員整理を目的とした各社の解雇や離職もひと段落し、企業が採用活動を再開し始めている状況と言えるでしょう。
無論、コロナ前の水準と比較すると人材市場は厳しい状況にあります。とはいえ、2008年のリーマンショック時と比較すると人材市場は決して停滞している状況ではありません。
2008年のリーマンショック時は有効求人倍率は0.5倍程度まで落ち込む時期がありましたが、2020年~2021年のコロナ禍では2021年6月時点で1倍を上回っており、正社員有効求人倍率も0.94倍です。
デルタ株の広まりによって、ロックダウンの議論が活発化するなどまだまだ新型コロナウイルスの影響を注視する必要はあるものの、数値上は「コロナ禍での解雇や離職に歯止めがかかり、求人動向を過度に悲観すべき状況ではなくなりつつある」と言えるでしょう。
まとめ
有効求人倍率の最新数値について紹介しました。2021年6月の数値は前月に引き続き、改善傾向。完全失業率も改善しており、総じて「ポジティブな結果」です。
コロナ前の水準には及ばないとはいえ、月を追うごとに顕著に有効求人倍率が回復していることもまた事実です。新型コロナウイルスの感染者数の再拡大などを警戒する必要はあるものの、2021年6月時点の数値としては「求人動向を過度に悲観的にとらえる必要はなく、人材市場の活性化が期待される」と言えるでしょう。
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