ベトナム人をターゲットとした人材紹介の動向・市場環境・起業の方法まとめ
海外人材の人材紹介の中でも、昨今注目されているのが「ベトナム人」をターゲットとした紹介事業です。
ベトナムの人口はおよそ1億人で、平均年齢は約31歳。日本の平均年齢が約48歳であることを踏まえると、非常に平均年齢が若く、人口の母数でも日本に引けを取りません。20代後半~30代前半は日本企業の採用意欲が高い年代層でもあり、勤勉なベトナム人の採用に乗り出す企業が増えています。
今回はベトナム人をターゲットとした紹介事業や、ベトナム人採用の動向について詳しく解説します。
ベトナム人をターゲットとした人材紹介サービスとは?
法務省の統計によると、令和元年12月時点で日本国内にいるベトナム人の総数は41万人。中国、韓国に次ぐ在留外国人数です。なおそのうち、7割が技能実習生や留学生です。技能実習生や留学生はあくまで国際協力に基づく在留資格のため、日本人と同様の労働時間を課することはできません。
しかし、逆に言えば在留している「3割」のベトナム人は技能実習生や留学生ではありません。残り3割のベトナム人は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を保有していたり、日本人と結婚するなどして配偶者ビザが発行されています。
後述の通り、ベトナム人は国民性の面で日本人と相通じる所も多く、技術力の高さから各企業での採用数の増加が期待されます。
ベトナム人の人材の特徴
ベトナム人の人材の特徴を3つほど紹介します。
IT人材が豊富 | 教育期間で技術者育成プログラムが組まれ、毎年5万~6万人のエンジニアが誕生。受託開発(オフショア開発)の市場が大きい |
日本語学習者が多い | 平成29年度の文化庁の調査では、ベトナムは中国に次ぐ第2位の日本語学習者数である |
機械系・製造系のエンジニアも多い | ベトナムは郊外に製造業関連の向上が多く、技術力が高いにも関わらず給与水準が低い。日本での製造業に従事することへの関心度が高い |
特に「IT人材の豊富さ」は特色すべきポイントです。ベトナムは理数系に重きを置いた教育カリキュラムに定評があり、毎年5万~6万人のエンジニアが生まれていると言われています。ベトナム人エンジニアの間で人気が高い言語には、JavaScript、Java、PHPなどが挙げられます。
サムスン電子などアジアのIT業界のリーディングカンパニーが、積極的な投資を行う国の1つとしても知られています。
ベトナム人を採用する日本企業の特徴
後述しますが、ベトナム人の人材紹介は「紹介手数料」が日本人を対象とする紹介サービス寄りも安い傾向にあることも強みです。
職種にもよりますが、紹介手数料は求職者の月収の1か月分~2ヶ月分というケースも少なくありません。またシステムエンジニアなど理系職種の場合は手数料の料率が上がりますが、ベースとなる給与水準が日本人よりも安いため、支払い総額を抑えることができます。
よってベトナム人を採用する企業は都心・地方を問わずに多岐に渡ります。サービス業や接客業で採用するケースもあれば、ITエンジニアを中心に人材を確保する企業もあります。
ベトナム人採用に関する市場環境・動向
ベトナム人採用は日本はもちろん、アジア諸国からの注目度が高く様々な施策が展開されています。
たとえばきらぼしコンサルティングと、ベトナムで日本語学校を運営する「One Terrace」は、ベトナム人高度人材の採用拡大に向けて業務提携。機械設計や機械オペレータ、電気電子設計や制御、建築施工管理やCADオペレータなど高度人材の採用拡大に注力する方向性を掲げています。
アジア諸国でベトナム人採用に注力している国には、韓国とインドが挙げられます。サムスン電子はIT・銀行部門で数千人単位の採用を積極的に続けています。インドのHCLテクノロジーズ社は向こう5年間でベトナムの高卒者2600人に対して1年間の研修を行ったうえで、修了者を雇用するプログラムを発表。
2021年現在はベトナム人採用が注目されていますが、今後はミャンマーやバングラデシュなど周辺各国でも同様の動きが始まることが期待されます。
外国人採用向けの人材紹介会社の主な種類
ベトナム人を中心とする外国人採用には、主に3つのパターンがあります。集客数を重視する場合は合同説明会を開くケースが多いですが、人材の品質を重視する場合は個別紹介が行われることも多いです。
形式 | 特徴 | 注意点 |
個別紹介 | ベトナム人の紹介に強みを持つ紹介会社が、企業のニーズをヒアリングして個別に人材を紹介。ピンポイントでニーズを満たす人材をマッチングできる | 合同面接会や1社単独説明会経由での採用よりも、1名当たりの採用コストが高い |
合同面接会 | 数百名~数千名単位でベトナム人の求職者を集め、ベトナム人採用に関心がある日本企業数十社~数百社が説明会を実施するもの。日本国内で実施するパターンと、ベトナム国内で行うパターンがある | 集まるベトナム人求職者の品質にバラつきがあり、求人者にとっては採用ニーズを満たす人材が見つかるかはやや不透明。求人者にとっては出展費用が高いことも多い |
1社単独説明会 | ベトナム人採用に積極的に関心を持つ日本企業が一社単独で説明会を実施。数十名~数百名のベトナム人の中からマッチする人材を採用するもの。日本国内で実施するパターンと、ベトナム国内で行うパターンがある | 集まるベトナム人求職者の品質にバラつきがあり、求人者にとっては採用ニーズを満たす人材が見つかるかやや不透明。合同面接会よりも単独で実施する分、説明会の開催費用が高い |
ベトナム人の人材紹介に強みを持つ日本企業の例
ベトナム人の人材紹介に強みを持つ日本企業の例を2つ紹介します。
ベトナム人の人材紹介を手掛けるうえでは、プログラミングなどベースとなる技術力に加え「日本文化」への理解度も重要です。日本への留学経験やワーキングホリデー経験、または日本語学校への通学歴なども重要でしょう。
ベトナム人の人材紹介を始めるには?起業の流れ
ベトナム人の人材紹介を始めるためには、まずは人材紹介業の許認可申請が必要です。免許申請手続きについては、こちらの記事でまとめています。
また「国外にわたる職業紹介」の手続きが必要です。手続きについてはこちらの記事で紹介しています。
人材紹介業の免許取得と「国外にわたる職業紹介」手続きが完了したら、以下の手順に沿って外国人材の紹介を行います。
1.外国人材を日本国内の企業に紹介
2.就労ビザの取得可能性の調査と確認
3.雇用契約
4.就労ビザ申請
5.外国人人材が母国で査証を申請し、取得
6.来日・入社
外国人材の国内企業への紹介には、まず外国人材の囲い込みが必要です。現地の日本語学校やプログラミングスクールなどとの提携や、現地のウェブメディアや新聞への広告出稿、ベトナム人を対象とした研修サービスの提供などが視野に入るでしょう。
まとめ
ベトナム人をターゲットとした人材紹介の流れについて解説しました。平均年齢が約30歳と若く、サービス業や製造業からIT業界まで幅広いニーズが見込まれるベトナム人材のマッチングに関心がある方はぜひ参考にしてください。
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