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市場動向
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【21年3月および令和2年度最新】令和2年度有効求人倍率は46年ぶり下落幅。3月有効求人倍率は横ばい

    2021年3月の有効求人倍率は横ばいながらもかすかな改善傾向があります。 一方で、令和2年度平均の有効求人倍率は前年度比0.45ポイント低下の1.10と1974年度以来の下落幅。改めて新型コロナのによる、経済へのダメージの大きさが浮き彫りになった形です。2021年3月及び令和2年度平均の有効求人倍率を読み解きます。

    2021年4月30日、厚生労働省から「一般職業紹介状況(令和3年3月分及び令和2年度分)」が発表(※1)。2021年3月および、令和2年度平均の有効求人倍率が公表されました。

    2021年3月の有効求人倍率は、正社員有効求人倍率が前月を0.02ポイント上回るなど、全体的には横ばいながらもかすかな改善傾向があります。

    一方で、令和2年度平均の有効求人倍率は前年度比0.45ポイント低下の1.10。オイルショックの影響が続いた1974年度以来の下落幅。改めて新型コロナウイルスの感染拡大による、経済へのダメージの大きさが浮き彫りになった形です。

    より詳しく、2021年3月及び令和2年度平均の有効求人倍率を読み解いていきましょう。

    2021年3月最新有効求人倍率及び一般職業紹介の概況

    2021年3月の有効求人倍率は1.10倍で、前月に比べて0.01ポイント上昇。

    また正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.84倍となり、前月を0.02ポイント上回っています。

    新規求人(原数値)は前年同月比で、0.7%減と微減してはいるものの、建設業や製造業、サービス業で求人数が大きく増加傾向にあり、全体として有効求人倍率はかすかながらも改善の兆しを見せていると言えるでしょう。

    正社員有効求人倍率は0.84倍

    2021年3月のパートやアルバイトを除いた正社員有効求人倍率は、0.84倍でした。

    2020年1月からの正社員有効求人倍率の推移は以下の通りです。

    ・2020年1月 1.07倍
    ・2020年2月 1.05倍
    ・2020年3月 1.03倍
    ・2020年4月 0.98倍
    ・2020年5月 0.90倍
    ・2020年6月 0.84倍
    ・2020年7月 0.81倍
    ・2020年8月 0.78倍
    ・2020年9月 0.78倍
    ・2020年10月 0.79倍
    ・2020年11月 0.80倍
    ・2020年12月 0.81倍
    ・2021年1月 0.79倍
    ・2021年2月 0.82倍

    2020年の8月から9月にかけ、正社員有効求人倍率はワーストの0.78倍を記録しています。

    以来、少しずつ正社員有効求人倍率は改善しつつあります。2021年2月の有効求人倍率の速報記事でも解説した通り、コロナ禍の影響が強い職種の苦境は依然として続いているものの「失業率の下降には、ある程度歯止めがかかった」状態と言えるでしょう。

    令和2年度平均の有効求人倍率の概況

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    続いて、令和2年度平均の有効求人倍率の概況を紹介します。

    令和2年度平均の有効求人倍率は1.10倍で、前年度の1.55倍を0.45ポイント下回っています。また有効求人は前年度に比べ22.3%減となる一方、有効求職者は9.8%増加。

    「企業が新規求人数を大きく絞り込み、人員整理にも乗り出していること」「新たな職を見つけられずにいる人々が多く存在している」ことが浮き彫りになっています。

    令和2年度平均の有効求人倍率は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が顕著に表れており、観光業への依存度が高い地域では完全失業率の悪化が深刻化するなど大きなダメージが表面化しています。

    オイルショック(1974年)以来の大幅な下落

    前年度比0.45ポイントの下落は、統計を取り始めて以降、1974年度に次いで過去2番目の下落幅。1974年度はオイルショックの影響による世界経済の混乱が原因となり、各社が大きく採用を絞り込み、有効求人倍率が大きく悪化しました。

    産業別では「生活関連サービス業・娯楽業」(14.8%減)、「卸売業・小売業」(12.6%減)の下落幅の大きさが際立ち、コロナ禍での休業要請や外出自粛の影響をこれらの業種が全面的に受けたことが分かります。

    また総務省の労働力調査(※2)によると、正規雇用労働者は3549万人と前年度より33万人増加したものの、非正規雇用労働者は2066万人と97万人減少。

    非正規雇用労働者の減少は、労働力調査のデータ比較が可能となった2014年度以来初めてで、サービス業や娯楽業、小売業が多くの非正規雇用労働者の受け口になっていたという実態も明らかになりました。

    地域別の有効求人倍率

    経済への影響

    都道府県別に見ると、有効求人倍率は東京や大阪など10都道府県で1倍を下回っています。

    ここでは下降幅が大きい、愛知県と沖縄県をピックアップし、解説します。

    愛知県

    愛知県の2020年度平均の有効求人倍率は1.10倍。前年度を0.72ポイント下回り、全国平均の0.45ポイントを上回る下げ幅です。

    求人数の落ち込みが特に大きかったのは、愛知県の主力の製造業。34%減となり、自動車など輸送用機械器具製造業は44%減。自動車産業からの受注件数が多い、運輸・郵便業や情報通信業の求人も減少傾向。

    新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内工場の生産休止が発生したほか、販売台数も減少。

    また世界的な半導体不足の影響が生産台数に影響を与えたことも、愛知の有効求人倍率の大きな落ち込みに関連しているとみられます。

    沖縄県

    沖縄県の有効求人倍率は0.76倍。正社員有効求人倍率は0.44倍。

    完全失業率は4.4%と低迷しており、沖縄県の有効求人倍率は12か月以上連続で全国最下位です。

    年度別の観光客数の推移で見ると、2019年度の観光客数は946万9200人。2020年度は258万3600人と3分の1以下に観光客が激減。沖縄県では求職期間の長期化も常態化しつつあり、雇用情勢は厳しい状況が長く続くとみられます。

    今後の展望

    令和2年度の平均有効求人倍率は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて非常に厳しい数値となりました。雇用情勢の回復には、ワクチンの普及は必須と見て間違いないでしょう。

    国内の人材ビジネス事業者の中で減益傾向にありながらも、アメリカ市場の回復の恩恵を受け、今後の増収増益が見込まれるのがリクルートです。アメリカではワクチンの供給が安定しており、雇用情勢の回復が見込まれています。

    リクルートの決算を読み解きながら、今後の展望もチェックしましょう。

    リクルートは27%減益もアメリカ市場で大幅な回復

     

    リクルートの2020年度の売上収益は5%減の2兆2693億円。営業利益は21%減の1628億円でした。人材関連の事業のマイナスに加え、宿泊予約サイト「じゃらん」や飲食店サイト「ホットペッパー」、結婚情報誌「ゼクシィ」も外出自粛の影響で低迷しました。

    一方で22年3月期の連結業績予想は増収増益を見込んでいます。

    同社の成長をけん引するとみられるのが、求人情報専門検索エンジン「インディード」。インディードはグローバル展開しており、アメリカ市場の雇用情勢の回復に伴って、業績も持ち直しています。

    インディードについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

    グローバル展開している国内企業が、ワクチン接種が進む海外の市場から業績を持ち直すというのは興味深い事例と言えるでしょう。

    国内市場も、ワクチンの普及に伴って徐々に緊急事態宣言やまん延防止措置が解除され、経済の回復が進む可能性が高いのではないでしょうか。

    まとめ

    2021年3月の有効求人倍率と、令和2年度平均の有効求人倍率を紹介しました。
    特に令和2年度の数値は非常に厳しいものとなりましたが、2021年3月の数値は下げ止まりが顕著です。海外市場で持ち直し始める国内企業も現れており、ワクチン接種のスピードの向上がさらなる経済の回復には急務と言えるでしょう。

    (※1)厚生労働省

    (※2)総務省

    ※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

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