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コラム
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人材募集に関するLinkedinの活用について(中級編)|株式会社アースメディア・松本淳氏

    第一回目の記事(SNSを活用したセルフブランディングについて)では、LinkedInなどのSNSを人材募集や人材採用に活かすためには、まずは個人としての「セルフブランディング」が重要だというお話をしました。

    第二回目の記事(人材募集に関するLinkedinの活用について(初級編))では、そこから一歩進め、SNS運用の「チーム戦」やネットワーク内での交流や他者との関係構築など、より実践的な内容について触れました。

    今回は、SNS運用を人材募集や人材採用の成果に結びつけるための「中級編」として、さらに具体的な運用方法について考えていきます。

    SNSは従来の転職メディアや転職DBとは違うという意識が重要

    近年の採用市場においては、ソーシャルリクルーティングやリファラル採用などの「求職者との関係性」を重視した採用手法に重点が置かれつつある中、企業の採用ブランディングにも質的な変化が表れてきています。

    従来の転職メディア等を活用した採用手法では、どうしても人材募集や採用に関する一方的な「広告」や「PR」というアプローチになってしまいがちです。しかし、例えばソーシャルリクルーティングにおいて重要なのは、「会社のことを本当に理解してもらうために、求職者との真摯なコミュニケーションを長期に渡って重ねていく」という考え方です。

    これに気付いた企業は、自社の見せ方、そして人々への「伝え方」を大きく変え始めています。

    いくら企業都合の「広告/PR」だけを強化しても、求職者にはもはや興味を持たれなくなってしまっています。広告はあくまで広告であり、それが企業や組織の本当の姿を表していないことは多くの人が理解しているからです。

    特に求人広告の業界では、これまでにも多くの誇大広告や、実態を反映していない情報が問題視されてきました。さらに今、就職や転職に関してのクチコミサイトも多数存在しており、求職者に広く活用される時代です。企業側の公式発表や広告だけでは見えてこない情報も可視化され、幅広く流通してしまいます。

    いくら企業側が自社に都合の良い採用広告だけを出そうとも、そういった「表向き」の情報とクチコミ情報との違いが大きすぎるような場合は、求職者に対して負の印象を与えてしまうリスクがあります。「都合の悪いことは隠す」会社であると認識されてしまうのです。実際、悪い情報が予期しないタイミングで出てしまい、ネット上で炎上するようなケースも増えてきました。とても怖いことです。

    一方で転職エージェントにおける人材募集も、ブランディングや市場との信頼関係が重要という意味では同じです。今や電車の車内広告でも、TVCMでも、多くの転職関連サービスの広告を目にするようになりました。しかし、いくらサービスの内容やクオリティの高さを一方的に宣伝しようとも、それが本当なのかどうかは多くの人が疑わしく思っているかもしれません。

    特に転職エージェントの場合は、「誰が」担当するかによってサポートのレベルや体験は大きく変わってきます。多くの求職者もそのことを理解しており、だからこそ、担当者レベルでの本当の実績や評判、そして仕事に向き合う姿勢を重視しようとするのです。近年、そのような傾向はますます強くなってきました

    SNSの本当の活用のあり方

    採用企業として、また転職サポート企業として、本当に求職者に信頼されて選ばれるためには「飾りすぎない、等身大の姿を伝える」という姿勢を見せることが重要です。かつ、一方的な発信に留まらず、市場との相互コミュニケーションによって理解を深め、信頼を醸成していくことが必須といえるでしょう。

    これを実現に近づけるのが、LinkedInなどのSNSの運用です。だからこそ、前回までの記事でも述べたように、企業アカウントからの公式の発信だけではなく、メンバー個々のリアルな声を、それぞれのメンバーの「個人アカウント」からも率直に届けることが重要なのです。

    組織による一方的な「美しいビジョン/採用ブランディング」の押し付けは、いくらお金をかけて広めようとしても、個々の人に深く響く可能性は大きくありません。これが、従来型の採用手法の限界です。

    多くの求職者は、宣伝や広告よりも組織の「中の人」の考え方、現場からのもっと「リアルな声」を聞きたいと思っているはずです。個々のメンバーによる自発的な発信、個人の想いも込められた真摯なコミュニケーション、そういったものを自分で確認することにより、人は本当にその会社のことに興味を持ち、好きになるのです。

    これこそが、ソーシャルリクルーティングで最も大切な部分だといえるでしょう。「採用にお金をかけた会社」ではなく、「本気で求職者と向き合った会社」が良い人を採用できるということです。

    転職エージェントも、ひとりひとりの求職者に向き合い、長いスパンで信頼関係を築くという意識を持つことが大切です。「こんなに大量に求人がありますよ」ということだけを宣伝するだけでは、本当に優秀で市場価値の高い求職者から信頼を得ることができません。

    採用企業にせよ、転職エージェントにせよ、求職者と最初のコンタクトを取るのは「スカウトDM」経由という場合も多いでしょう。そしてこのアクションこそが、ソーシャルリクルーティングにおいては最も気をつけるべきポイントです。

    転職メディアや転職DBでも同様に「スカウト」をするので、LinkedInなどのSNSでもついつい同じような感覚で使ってしまいがちです。しかしながら、SNSの場合、まったく知らない相手からのいきなりの「スカウト」は、スパムだと捉えられることも少なくありません。

    転職DBとは違い、SNSでは、DMが送られてくる相手との関係性や信頼性がとても重要です。だから最も望ましいのは、普段からお互いの投稿やコメントなどで関係性を構築しておくことです。そのようなベースがあれば、求職者も、人事担当や転職エージェントからの提案を聞いてみたくなる可能性も高まるでしょう。

    たとえ深い「交流」まではできていなくとも、少なくとも自分のプロフィールをきちんと整備して公開したり、普段からの発信によって自分の考え方を表明しておくことが重要です。相手から見て、いかに信頼され、「相談したい」と思われるかどうか。これが、ファーストコンタクトを取る際に極めて大切です。そういう意味では、SNSにおけるスカウトDMは、「送る前」からある程度の成否が決まっているともいえるでしょう。

    いきなりのスカウトDMを大量に送る「狩猟型」の採用活動は、SNSでは歓迎されません。数が大事だということでDMの数を増やせば増やすほど、自分の評判を下げることにもつながります。それは、自分自身のキャリアにとっても非常に不幸なことだといえるでしょう。

    まずは、自分のことをきちんと説明し、開示し、求職者からの信頼を得ること。それには一定の時間がかかりますが、長期スパンで見た場合にはもっとも早い成果が出る方法です。その姿勢こそが、ソーシャルリクルーティングを成功させるための重要な鍵だといえるでしょう。

    Profile
    株式会社アースメディア (https://earthmediacorp.com/)
    代表取締役 松本淳氏
    大学卒業後株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社、人材紹介事業の新規立ち上げで事業戦略立案などを担当。 2003年に独立、求人検索エンジン事業のジョブダイレクトを創業し、リクルートによるM&A提案を受け5年で事業売却。その後は海外NGO支援、社会起業家支援などを手掛ける一方、新規事業戦略、組織・人材戦略を中心に法人への事業コンサルティングを提供。『LinkedIn活用大全』の著者。
    ▼SNS情報
    Linkedin(https://www.linkedin.com/in/jnmatsumoto/
    Twitter(https://twitter.com/Jn_Matsumoto?s=20&t=PZWZOY7BtWqIGxZrpmx6Rg

    LinkedInを活用した求職者集客について、人材紹介マガジンを運営する「agent bank」の主催ウェビナーでも無料でより詳しく解説しています。
    https://agent-bank.com/seminar/s/linkedin/

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