派遣法とは?わかりやすく解説!2021年1月・4月施行の労働者派遣法の改正ポイントまとめ
今回は労働者派遣法について解説します。
労働者派遣法は2020年に同一労働同一賃金に関する改正が行われ、2021年にも改正が施行されました。2021年の改正の内容には雇入れ時教育訓練計画の説明義務化などが含まれます。
派遣労働者を含む非正規労働者の待遇改善、教育機会の提供は近年の大きなトレンドであり人材ビジネスの事業者にとっては収益性などの面から「事業の将来性」が気になるところでもあるでしょう。
今回は派遣法について1つ1つ読み解いていきます。
労働者派遣法とは?
労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」。
派遣労働者は正規労働者と比較すると、雇用状況が不安定であることは否めません。労働者派遣事業の運営を是正し、派遣労働者の権利を守るために制定されているのが労働者派遣法です。
労働者派遣法は派遣労働者の実態も踏まえ、比較的早いペースで改正が続けられています。
派遣法の全文は以下のリンクから確認できます。
・派遣法全文
「派遣」の働き方
派遣労働は「派遣労働者」「派遣元(派遣会社)」「派遣先」の三者の関係によって成り立っています。
実際の雇用関係があるのは「派遣労働者」と「派遣元」の間。そして派遣労働者に対する指揮命令権を持つのは、派遣先となります。
なお派遣法では、同じ職場・部署で有期雇用派遣社員として働ける期間は最長3年に制限されています。
派遣労働者の実態
株式会社Agooraが発表した調査(現役の派遣社員もしくは派遣社員経験のある20代から50代の方150人を対象)によると、派遣切りにあったことがあるという人の割合は33.33%(※1)。
派遣社員のうちおよそ85%が将来に不安を抱いているという結果も出ており、派遣労働者の多くが「いつ仕事を失うかわからない」という不安と直面していることが分かります。
非正規労働者の待遇改善は近年続く大きなトレンドの1つ
非正規労働者の待遇改善は、近年の大きなトレンドの1つです。賃金の水準が上昇し、有給取得率も上昇傾向です。
派遣スタッフの月額の給与に対して、派遣スタッフ自身の給与と社会保険料が占める割合はおよそ85%。残り15%の中から、派遣スタッフの教育訓練の費用もねん出されます。
つまり派遣労働者の待遇改善と、派遣会社の利益率低下には直接的な関連性があり、派遣会社にとっては「利益率低下と派遣社員の待遇改善をどう両立させるか」難しい局面です。
派遣事業の収益性はどうなる?将来性は?
派遣事業の収益性・利益率についてはこちらの記事で解説しています。
派遣事業は巨大産業であると同時に、非常に収益性が低い業種でもあり、利益率の面からは多くの課題を抱えています。
派遣事業の将来性についてはこちらの記事で触れています。
労働者派遣法改正の歴史
年(西暦) | 改正内容 |
1986年 | 労働者派遣法施行 |
1996年 | 対象業務を26業務に拡大 |
1999年 | 派遣対象業務の拡大 |
2000年 | 紹介予定派遣の解禁 |
2004年 | 製造業への派遣労働解禁。自由化業務の派遣期間延長。政令26業務の派遣期間の無制限化 |
2006年 | 一部医療機関への派遣が解禁 |
2007年 | 製造派遣の派遣期間が3年に延長 |
2012年 | 政令26業務が28業務に整頓。日雇い派遣の原則禁止など事業規制の強化 |
2015年 | 全ての労働者派遣事業が許可制に一本化。派遣期間が原則3年に一本化。派遣社員の雇止めによる「2018年問題」のリスクが表面化 |
2020年 | 「同一労働同一賃金」による派遣先の正規労働者との不合理な待遇差の解消が図られる |
法改正により「2018年問題」がクローズアップされる
近年の法改正の中でも、もっとも議論を呼んだのが2015年の改正。
労働契約の無期転換と、3年ルール適応後初めての期限が2018年に訪れることから「2018年問題」が表面化。非正規雇用契約から無期雇用契約の転換が、労働者が希望すれば可能となることから人件費の高騰を懸念する企業からの雇止めが相次ぐリスクが方々から指摘されました。
2015 年12月の独立行政法人 労働政策研究・研修機構のプレスリリースでは、2018年問題への対応として3分の2の企業が「無期契約への転換を行う」と回答。
派遣社員の賃金水準が上昇傾向になり、派遣会社にとっては求人者(企業)に対して「賃金の安さ」以外の派遣社員登用のメリットをアピールする必要性が一層高まったといえるでしょう。
2021年に施行される労働者派遣法の改正ポイント
派遣法は2021年1月と4月にも改正されています。改正のポイントはそれぞれ以下の通りです。
2021年1月
・派遣労働者の雇入れ時における教育訓練についての説明義務
・派遣契約書の電磁的記録の容認
・日雇派遣の契約解除に対する休業手当の支払い
・派遣先における派遣労働者からの苦情処理
2022年4月
・雇用安定措置に関する派遣労働者からの希望の扱い
・マージン率の開示
2021年の労働者派遣法改正について企業が対応すべきこと
改正内容 | 対応 |
派遣労働者の雇入れ時における教育訓練についての説明義務 | 派遣労働者の採用時に訓練内容やキャリア形成への考え方を詳細に伝える |
派遣契約書の電磁的記録の容認 | 電磁的記録は義務ではなく、必要に応じて契約書管理に取り入れる |
日雇派遣の契約解除に対する休業手当の支払い | 休業手当を支払う |
派遣先における派遣労働者からの苦情処理 | 派遣先企業の側に苦情処理の責任者を設置。また派遣元との連携による苦情の解決を行う |
雇用安定措置に関する派遣労働者からの希望の扱い | 派遣労働者本人の要望を取り入れた「派遣先での直接雇用」「別の派遣先の紹介」など雇用安定措置に関する各種提案 |
マージン率などの開示 | 派遣労働者の数や派遣先の社数、マージン率などを自社のウェブサイトなどで開示 |
まとめ
派遣法について詳しく解説しました。2021年1月・4月の改正内容は、基本的には「派遣労働者の待遇改善」という大きなトレンドに即したものです。
派遣会社にとっては、派遣事業以外の収益源の確保や、派遣社員を直接雇用に切り替える際に紹介手数料を受け取るための「人材紹介免許」の取得がより重要なフェーズです。
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