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人材派遣
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人材派遣と業務委託の違いは?指揮命令権、報酬の対象や市場の将来性を比較

    企業にとって「必要な業務」を外注すべきか、内製すべきかは意外に迷うポイントです。どの業務を切り出すべきかの洗い出しが必要なことに加え、外注すべき場合でも選択肢が多いためです。
    同様にこれから人材業界に参入したい企業にとっても、外注ニーズと正社員採用ニーズのどちらを狙うべきか迷うでしょう。人材紹介、派遣、BPOやフリーランス採用はいずれもニーズがありますがそれぞれに新規参入ハードルがあるためです。

    今回はその中でも特に「派遣」と「業務委託」に焦点を当てて、それぞれの違いや将来性を解説します。

    人材派遣と業務委託の違い


    人材派遣と業務委託の違いは、大まかに上の図の通りです。派遣は「派遣契約」であり、派遣スタッフはクライアント企業に対して業務遂行をし、相手先の指揮命令関係にも置かれます。
    一方で業務委託は、あくまで「請負契約」もしくは「準委任契約」。外注先企業のスタッフに対してクライアント企業は指揮命令権を持たず、なおかつ請負契約の場合は外注先企業が「再委託」をすることも多いです。この場合、契約で定められているのは「成果物の納品」であり、成果物の制作プロセスそのものは問わないのが慣例でもあります。

    人材派遣は「労働力確保」、業務委託は業務の「遂行・納品」

    上の通り、人材派遣は「労働力確保」を目的としたものであり、業務委託は「遂行・納品」を目的としたものであることが分かります。
    明確な成果物が発生しづらい業務は「派遣」が向き、たとえば「システム開発」など成果物が明確な業務は業務委託が向くでしょう。

    指揮命令権の違い

    派遣はクライアント企業に指揮命令権がありますが、業務委託には指揮命令権はありません。実際には派遣労働に相当するにもかかわらず、請負契約を結んだ場合「偽装請負」になるため注意しましょう。

    報酬の対象の違い

    派遣は「派遣労働者の業務時間」に対しての報酬の支払いであるのに対し、業務委託では「成果物」や「業務の遂行」に対して報酬が支払われることが多いです。

    人材派遣のメリット

    期間や必要なスキルに応じた柔軟な人材確保

    人材派遣の場合、必要とする「期間」や「スキル」の要件に沿った派遣労働者を比較的柔軟に確保しやすいです。日本における派遣労働者の総数は142万人で、全労働者に対しておよそ2.5%。

    142万人のうち、特に多くを占めるのは「事務作業」で48万人(34.3%)、次点で製造業(25.0%)です。事務作業と製造業においては、非常に貴重な採用ルートであると言えるでしょう。

    画像引用元:日本人材派遣協会(https://www.jassa.or.jp/know/data/)

    採用コストの軽減

    自社で求人広告の運用を行ったり、正社員採用を行うよりも採用コストを比較的抑えやすいです。特に「事務作業」などノンコア業務かつ「正社員でなくともできる業務」に対して高い採用コストを割くのは厳しいという場合、派遣採用は特に検討に値します。

    業務委託のメリット

    請負・準委任から契約形態を選べる

    業務委託のメリットは「請負」「準委任」といった契約形態が選べること。明確な成果物が存在する業務の場合、特に「請負」は契約内容がシンプルで分かりやすいです。また自社が労働者の勤務時間などを管理する必要も無いため、従来は労務管理などに割いていたコストも最小にしやすいです。

    外部の知見を社内に取り入れやすい

    業務委託はしばしば「システム開発」など専門性の高い分野で取り入れられます。そのため派遣業と比較すると、外注先が「その分野のエキスパート」に偏りやすいです。
    高度な外部の知見を変動費で社内に取り入れられるという面でも、メリットが大きいです。

    人材派遣と業務委託の比較

    請負 準委任 派遣
    所轄官庁 経済産業省 経済産業省 厚生労働省
    関連する法律 民法、商法 民法、商法 労働者派遣法
    契約内容 成果物納品 業務遂行 業務遂行
    指揮命令権 なし なし 派遣先にもあり
    報酬 成果物に対する 業務遂行に対する 業務遂行に対する

     

    人材派遣と業務委託(フリーランス)の市場の将来性

    派遣業の市場規模と将来性

    2021年度の人材派遣業の市場規模は、9兆2,000億円。この市場規模は人材紹介業(2,960億円)と比較しても群を抜いて大きく、人材業界の中心は「派遣業である」と市場スケールの面では言えます。
    一方で人材派遣業の営業利益は、人材派遣会社が受け取る派遣のマージンに対してわずか「1.2%」です。
    市場規模こそ大きいものの利益率が非常に小さく、なおかつ「許認可取得」など新規参入のハードルが高いことから「自社で派遣業を新規に立ち上げる」という意味では将来性はあまり大きくはありません。フリーランス人材も含む人材紹介などの方が新規参入しやすいでしょう。また派遣業の場合は、小規模な派遣会社のM&Aなどの方が現実的です。

    業務委託(フリーランス)の市場規模と将来性

    副業解禁から歴史が浅く、フリーランス市場の市場規模については様々な数値が入り乱れているのが現状です。たとえばランサーズの調査ではフリーランス市場は23.8兆円です。しかしこの数値はパチンコ業界の市場規模(14兆円)や、IT業界(18兆円)を極めて大きく上回っており、現実的に見れば「かなり広義のフリーランスを対象に職種・業種を問わずに合算する形で集計した、ざっくりとした市場規模」であると見るのが妥当ではないでしょうか。
    「新規参入の余地を探る」という意味では、フリーランスエージェントに特化した集計が参考になるでしょう。フリーランススタートの調査ではITフリーランスエージェントの市場規模は2021年時点で1,039億円。
    正社員採用を含む人材紹介の3分の1程度の規模へと発展しており、短期の間でかなり伸長していることが分かります。こうしたフリーランスエージェントが各種業界へと広まっていく可能性はあり、将来性があります。

    ・参考:インプレス
    ・参考:フリーランススタート

    まとめ

    今回は「人材派遣」「業務委託」の違いやそれぞれのメリット、また各業界の将来性を紹介しました。特に「業務委託」は人材紹介の面や、市場規模の面から見ても将来性が大きく、人材業界に参入する場合は一度は事業立ち上げを検討する価値がある分野でしょう。

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