紹介予定派遣のデメリットとは? | 「正社員採用」とは限らない点に企業/労働者共に注意
「派遣」と「人材紹介」を組み合わせた人材のマッチング手法が「紹介予定派遣」です。
紹介予定派遣は、労働者が最長6か月まで派遣社員として就業し、労働者と派遣先企業の希望条件が互いに一致した場合に正規雇用される制度です。
労働者にとっては「正式な採用」が決まるまでの期間も、派遣社員として就業可能。就業期間は6カ月とは限らず、互いに感触が良ければ数週間~1か月など短期間で正式採用となることもあります。
つまり「採用を前提としたお試し期間の間も、給与が発生する」のがメリットです。
企業側にとっても、自社と労働者の相性を見極める期間を設けることができ、正式採用後の早期離職リスクを軽減できます。
このように書くと紹介予定派遣には、企業/労働者にとってメリットしかないように感じる方もいるでしょう。実際には紹介予定派遣には、デメリットもあります。デメリットを1つ1つ解説します。
【労働者側にとってのデメリット】正社員雇用されるとは限らない
労働者側にとっての最大のデメリットは、「紹介予定」とはいえ正社員雇用されるとは限らない点です。
派遣としての就業後の正式採用を拒否されてしまうケースがあるほか、近年は紹介予定派遣そのものが多様化しています。派遣として6カ月以内の就業後、契約社員を経て、正社員登用というケースもあります。
反面、紹介予定派遣では正社員採用同様「書類選考」「適正テスト」など厳しめの選考が行われるケースが一般的です。契約社員を経るケースもあるとはいえ、基本的には正社員採用を前提とした採用手法であるためです。
そのため紹介予定派遣は、通常の派遣に比べて、事前の選考に時間がかかります。加えて近年は「無期雇用派遣」など派遣の雇用形態自体も増えていることに加え、派遣の代わりにフリーランスを登用する企業も増えています。
そのため「紹介予定派遣」の求人数はものすごく多いというわけでもありません。紹介予定派遣での採用に強くこだわると、派遣の仕事が見つからないケースがある点に注意が必要です。
【企業側にとってのデメリット】派遣料+紹介手数料がダブルで必要
企業にとっては「派遣」「人材紹介」を組み合わせた採用手法のため、派遣料と紹介手数料がどちらも発生します。
派遣期間中は、派遣社員の月給の支払いが発生します。この月給の3割程度が派遣会社に対する「手数料」に当たります。
最大6カ月の期間内に採用が決定した場合、加えて紹介手数料の支払いが発生します。手数料の料率は「派遣期間がスタートしてから何か月目に採用決定したか」で変りますが、最大で派遣社員の理論年収に対して35%程度の支払いが発生します。
派遣料を一定期間支払った派遣社員の正社員登用に、さらに追加で数十万円~100万円程度の支払いが発生することに抵抗感を感じる企業担当者の方も多くないでしょう。
こうした「二段階の支払い」が発生することは、紹介予定派遣の大きなデメリットです。
【紹介会社にとってのデメリット】正社員雇用されない場合でも「正社員紹介」相当の工数がかかる
紹介予定派遣は「紹介予定」ではありますが、必ずしも最大6か月以内に正社員雇用が決定するとは限りません。残念ながらミスマッチが起きてしまうケースもあるためです。
一方、紹介予定派遣は事前の選考や面談対策に「正社員の紹介」相当の工数はかかります。
ミスマッチが起きて正社員採用は見送りとなった場合、それまでに支払われた派遣料金が「紹介業務の工数に見合っていると言えるか」は微妙でもあるでしょう。
【紹介会社向け】自社で紹介予定派遣を手掛ける際の注意点
紹介予定派遣には「正社員登用されない可能性がある」というデメリットがあり、マッチングに失敗した場合「その期間内の派遣料金による売り上げは微々たるものである」ことも事実です。
そのため自社で紹介予定派遣を手掛ける場合、そもそも「派遣先企業にどの程度正社員採用の意志があるか」は確認した方が良いでしょう。
たとえば派遣先企業が「優秀な派遣社員のAさんを、自社の正社員に切り替えたい」といった要望を持つ場合、派遣契約を同意の上でいったん打ち切ったうえで、紹介予定派遣に即時に切り替えるといった手続きを行うことが考えられます。
逆に言えばクライアントの「正社員採用ニーズ」を十分に見極められていないうちから、紹介予定派遣で次々人材を紹介するといったことは避けた方が良いでしょう。有期雇用ニーズと無期雇用ニーズはあくまで別物であるため、企業側が採用にさほど積極的ではない場合は普通に派遣社員を有期雇用でマッチングさせる方が無難です。
まとめ
紹介予定派遣のデメリットについて解説しました。
派遣と人材紹介を組み合わせた採用手法として注目されている反面、労働者にとっては「従来の派遣より選考にかかる負担が大きい」「正社員採用されるとは限らない」というデメリットがあります。求人者(企業)にとっても派遣料と紹介手数料を二重で支払う必要があります。
紹介会社は、紹介予定派遣を手掛ける際には「求人者(企業)」に対しては「派遣料を上げる代わりに紹介手数料を大きく値下げする」など工夫が必要でしょう。
また求職者(労働者)に対しても、紹介予定派遣への応募の手間を減らせるような工夫を個別に検討できるとベターでしょう。
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