人材紹介会社経由の転職で人材がすぐ辞めた場合、どうなる?返金規定・退職理由まとめ
今回は「人材紹介会社経由の転職で、人材がすぐ辞めた場合」に具体的にどのようなことが起きるのかを、求職者向け・人材紹介会社向けにそれぞれ解説します。
返金規定や、そもそも「人材の早期退職理由は何か」「人材の早期退職はどのようにすれば防げるのか」など1つ1つ紹介していきます。
【求職者向け】人材紹介会社経由の転職で会社をすぐに辞めても大丈夫?
まずは求職者向けに、人材紹介会社経由の転職で会社をすぐに辞めても問題ないか解説します。
結論から言えば、法的には問題ありません。
しかし多くの人材紹介会社は、人材の早期退職への補償として「返金規定」を設けています。返金規定は人材紹介会社によってまちまちですが、1か月以内の早期退職に対して紹介手数料の8割を返金するケースなどもあります。
つまり人材紹介会社経由の転職での早期退職は、自身の転職を支援したエージェントに大きな損失を与えてしまうことになります。エージェントとの関係悪化に繋がり、退職後の再転職の際に改めて支援を受けることも難しくなる可能性が高いです。
少なくとも、早期退職の意向がある場合はエージェントの担当者に前もって相談することは必須でしょう。
入社前に辞める場合
入社前の辞退は、実は人材紹介会社経由の転職でもっとも一般的な退職パターンの1つです。
求職者にとっては「入社前」は不安が募るタイミング。
また多くの求職者は、一社だけのエージェントを使っているとは限らず、自力で転職サイト経由でも応募を行ったり、知人経由で職を探すケースもあるでしょう。入社直前に、別の会社の内定が出たり「もっと長い時間をかけて、転職について考えたい」などの理由で辞退するケースは多いです。
入社前に辞めること自体は、法的な問題はありません。とはいえ入社前に辞める場合は、事前にエージェントの担当者と入念な相談をしましょう。
一般的に、人材紹介会社の手数料の発生タイミングは「採用決定時」。入金タイミングは「入社時」です。よって人材紹介会社の担当者は、人材の心変わりなどが発生しないように入社までサポートする必要があります。
求職者が入社前に辞めることは、エージェントにとってはかけた時間や工数が無駄になり、なおかつ手数料収入も入りません。エージェントに大きな負荷をかけたこととなるので、連絡をすることは礼儀の1つです。
入社後、すぐに辞める場合
入社後、すぐに辞める場合の退職理由として「入社前に聞いていた労働条件や金銭面の条件、仕事内容と実情があまりに違う」というものが多いです。
この場合、人材紹介会社の担当者に問い合わせることで入社後でも勤務先企業との交渉を引き受け、労働条件を改善に導いてもらえるケースがあります。
よって入社後に、業務内容や労働条件に違和感を持ったらまずは人材紹介会社に相談しましょう。
相談しても状況に改善が見られない場合は、退職もやむを得ないでしょう。
その他のケース
現在は一社に勤め上げるビジネスパーソンは大きく減少し、複数の会社を渡り歩くように転職をする人が増えています。
そのため転職から一年程度など、比較的短い期間で別の会社に移る人も決して珍しくはありません。
合理的な理由がなく、職歴だけを重ねる転職は企業の人事担当からネガティブな評価を受けやすいことも事実です。一方で転職回数を重ねていても、同じ業界内でのステップアップや「合理性がある理由」に基づいたものであればプラス評価になり得ます。
よって期間が短い転職でも、合理的な理由があり、ポジティブなものであれば過剰に「辞めること自体」を心配する必要はありません。
給与や勤務形態に対する不満は退職前に人材紹介会社に相談するのがおすすめ
繰り返しにはなりますが、給与や勤務形態に関する不満が原因で早期退職を検討する場合はまずエージェントの担当者に相談しましょう。
勤務先企業との給与や勤務形態、働き方のすり合わせは人材紹介会社の役目でもあります。入社後に「聞いていた条件と大きく違う」という場合、人材紹介会社と紹介先企業の間で認識の齟齬があった可能性があります。
よって人材紹介会社の担当者が間に立ち、交渉を行うことで問題がスムーズに解消するケースもあります。
【人材紹介会社向け】紹介した人材がすぐ辞めるのは何故?よくある理由
続いて人材紹介会社の担当者向けに、紹介した人材の早期退職によくある理由を解説します。
給与や職場環境、仕事内容が入社前の説明と大きく異なる
もっとも大きな理由の1つです。
入社前に説明を受けていた「給与」「職場環境」などと、実際の働き方に大きな違いがあるというものです。こうしたケースでは求職者は「騙された」「話が違う」と感じてしまい、怒りや失望感から衝動的に退職してしまうことがあります。
あまりにも紹介先企業での実際の働き方が、事前の要件と異なる場合、その責任は人材紹介会社にもあります。
前述の通り、このようなケースでは担当者が紹介先企業と求職者の間に立ち、改めて条件のすり合わせを行う必要も出てくるでしょう。
CA(キャリアアドバイザー)に隠していた持病などがある
CA(キャリアアドバイザー)に隠していた持病などがあり、それらが原因となり早期退職するケースです。
こうしたケースでは、返金対応だけでなく、紹介先企業から人材紹介会社に向けて損害賠償請求が行われる場合もあります。
「明らかにCAが見抜けたであろう持病を見抜けずに、業務遂行能力がない人材を紹介するのは過失である」「業務遂行能力の無い人材の紹介によって、業務に著しい影響があり、補償がないのはおかしい」という考え方があるためです。
こうしたトラブルの具体例や対応内容は、以下の記事でまとめています。
中抜き
求職者と求人者が共謀し、転職エージェントを介さずに直接雇用するものです。厳密には中抜き行為は「入社後、すぐ辞める」ものではなく「入社前に辞退し、裏で直接契約を結ぶ」というものです。
中抜き行為は人材業界で横行する悪質な行為の1つであり、人材紹介会社は中抜き行為が判明した際の罰則規定を契約書に定めるべきでしょう。
より詳しくはこちらで解説しています。
【人材紹介会社向け】紹介した人材がすぐ辞めた場合の返金規定
紹介した人材がすぐに辞めた場合の返金規定は、退職までの日数に応じて、返金の割合を定めておくケースが多いです。
一般的な返金額の割合は以下の通りです。
・入社後1ヶ月(30日)未満で退職した場合……手数料の80~100%の返金
・入社後1ヶ月(30日)〜3ヶ月(90日)以内に退職した場合……手数料の50%程度の返金
より詳しくはこちらで解説しています。
【人材紹介会社向け】紹介した人材の早期退職を防ぐには?
人材紹介会社は「人」を扱うビジネスです。
企業と個人のミスマッチは、紹介件数が増えれば増えるほど多かれ少なかれ発生し得るものです。早期退職を100パーセントの割合で未然に防ぐことは、難しいのも事実です。
とはいえ「人材紹介会社が本来、求職者のためにならない提案をしたことで起こるミスマッチ」は未然に防ぐことができます。
求職者が前向きに行う転職活動と、そうでない転職活動では早期退職のリスクの大きさが全く異なるためです。
そのために意識すべきことは、以下の通りです。
・求職者に対して転職活動を押し付けない
・その人が望むキャリアを実現することを最優先に考える
・企業側が望む人物像を明確に言語化する
より詳しくはこちらで解説しています。
まとめ
人材紹介会社経由の転職で、人材がすぐに辞めてしまうことの理由や関連する返金規定について解説しました。求職者の方も、人材紹介会社の担当者の方もぜひ参考にしてください。
※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
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