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市場動向
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【保存版】人材派遣業とは?派遣業の定義・種類・市場動向・請負との違いを解説

    人材派遣会社とは派遣スタッフを企業に紹介し、双方をマッチングして労働派遣契約を結ぶ企業です。

    業務が確定したら、派遣会社がスタッフと契約を結んだ上で、派遣先企業の指揮命令下に配置。派遣先企業から派遣手数料を受け取ることで、運営されています。

    今回は人材派遣業の定義や、人材派遣業の詳しい分類(種類)市場動向を解説します。

    人材派遣業とは?

    recruitment

    人材派遣業とは、派遣会社が雇用するスタッフを「派遣先企業」へと紹介。

    派遣会社とスタッフの間に雇用関係がありつつも、スタッフは派遣先企業の指揮命令下に置かれ、指示を受けて業務を遂行します。

    より詳しく人材派遣業の定義を、1つ1つ見ていきましょう。

    定義

    選考書類、審査率

    人材派遣の定義は、労働者派遣法で「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを業として行うこと」とされています。(※1)

    自己の雇用する労働者とは、派遣会社が派遣先に送るために雇用しているスタッフを指します。

    つまり、人材派遣業は、スタッフにとって「雇用先企業」と「指揮命令下に置かれる、実際に働く会社」が別々であることが特徴となります。

    人材需給バランス 変化

    人材派遣業は、昭和61年(1986年)の労働者派遣法の施行まで、職業安定法第44条によって一部の例外を除いて全面的に禁止されていました。

    労働者派遣法の施行以後は、市場が大きく拡大。派遣社員の保護、キャリアアップを目的とした法改正も続いています。

    一方で記事の後半で解説する通り、様々な規制や法改正がマイナスに働いている側面も否めません。

    派遣会社への監視強化や、派遣の期間制限の見直しも進んでおり、派遣会社の利益率は低下傾向。よって、人材紹介業へのシフトチェンジを図る企業も増えています。こうした業界動向については、後ほど解説いたします。

    派遣労働者の割合・推移

    人材紹介 個人の時代

    2020年1~3月平均の派遣社員数は約143万人。

    日本国内の雇用者全体に対して、派遣労働者が占める割合はおよそ2.5%です。全体に対する派遣労働者の割合は、2005年ごろから1.9%~2.5%を前後しており大きな増減はありません。

    派遣労働者数の実数は、2000年から調査が開始されました。2000年時点の派遣労働者数は39万人。2004年の製造派遣の解禁を機に大きく労働者数が増加し、市場規模も拡大。2006年には派遣労働者数は121万人に達しました。(※2)

    なお、2019年度の人材派遣業の市場規模は、6兆6,800億円(前年度比4.7%増)です。より詳しい人材業界の市場規模については、こちらの記事でまとめています。

    派遣労働の禁止事項

    privacy

    派遣労働では、主に以下の2点が禁止事項として定められています。

    • 二重派遣の禁止
    • 専ら派遣の禁止

    二重派遣の禁止は、他の企業で雇用されている労働者を派遣することの禁止。
    専ら派遣の禁止は、派遣先を特定の一社、もしくは複数社専属の派遣とすることを禁じるものです。

    一部の企業にのみ派遣を行うことは広く需給調整を行っているとはいえなないため、禁止されています。

    人材派遣業の変遷

    二極化するターゲット

    人材派遣業の始まりは、昭和61年(1986年)の労働者派遣法の施行です。

    労働者派遣法は社会の雇用動向の変化を鑑みて、施工後も定期的に緩和が続きました。

    特に2004年の製造業務への人材派遣の解禁は影響が大きく、人材派遣の市場規模がさらに拡大するきっかけとなりました。

    一方で、2000年代後半からは派遣業に対する規制強化が続きます。きっかけはリーマンショックなどに端を発する「派遣切り」。

    派遣会社に対して、派遣社員へのキャリアアップ支援が義務付けられるなど法改正が進みました。

    2つの派遣形態の区分を廃止

    近年行われた法改正の中でも、大きなトピックとなったのが「2つの派遣形態の区分廃止」です。

    2つの派遣形態とは「一般労働者派遣」と「特定労働者派遣」。「一般労働者派遣」と「特定労働者派遣」は、2015年の法改正で一本化されることが決定しました。

    一般労働者派遣は派遣業の主流な方式で、厚生労働大臣の「許可」が必要。登録社員のみ、もしくは登録社員と常用社員の混在により労働者派遣を行なう事業を指します。

    特定労働者派遣は派遣会社に常時雇用された労働者を派遣するもので、厚生労働大臣への「届出」が必要。派遣会社にとっては、派遣期間が終わったとしても継続して給与を労働者に支払うことになる形式。特定労働者派遣が行われていた時期には、ITエンジニアなどが対象となる機会が多かった形の派遣労働です。

    特定労働者派遣は、2018年9月29日で正式に廃止。かつては「届出」だけでも派遣業を運営することが可能でしたが、一般労働者派遣への一本化によって全ての事業者が「許可制」となります。

    この法改正は、派遣社員の保護を重視する国の動きの一例と言えるでしょう。

    人材派遣の種類

    アウトバウンド営業

    一般的に「人材派遣」と呼ばれる、派遣案件があるときに雇用関係を結ぶ働き方は「登録型派遣」に該当します。

    一方で人材派遣には、将来的に派遣先に正式雇用されることを前提とした「紹介予定派遣」という働き方もあります。

    両者の違いを見ていきましょう。

    登録型派遣

    求人開拓まとめ

    登録型派遣とは、「6ヶ月間」など一定の期間を定めて派遣契約を結ぶものです。

    労働者は派遣会社にあらかじめ登録し、案件の紹介を受け、就業が決定したら契約を締結。就業期間はあらかじめ決まっており、派遣期間が終了した時点で契約は終了します。

    しかし、派遣先企業から契約更新の打診があり、労働者が了承した場合は契約更新も都度都度可能です。

    紹介予定派遣

    紹介予定派遣とは、派遣先企業の正社員や契約社員になることを前提に一定期間の派遣契約を結ぶものです。

    派遣契約の終了後には派遣先企業と派遣スタッフの双方合意の元で、直接雇用に契約が切り替わります。

    紹介予定派遣と登録型派遣の、直接雇用を前提とした契約形態以外の大きな違いは2つ。

    1つ目は「面接」です。
    紹介予定派遣では、登録型派遣では禁止されている「派遣先企業による、派遣スタッフの面接」が可能です。(※3)

    2つ目は「手数料」。紹介予定派遣では、派遣スタッフと派遣先企業の雇用契約が成立した際に手数料が発生。派遣先企業が、派遣会社に所定の手数料を支払います。

    人材派遣と類似する業種との違い

    派遣、紹介マネジメント

    人材派遣と混同されやすい業種に「人材紹介」や「請負」があります。

    人材派遣と人材紹介、請負の違いもまとめます。

    人材紹介

    集客コスト 新しい時代

    人材紹介と人材派遣の基本的な違いは「雇用主」です。

    人材派遣では、派遣会社が労働者を雇用し、派遣先企業へと派遣します。一方、人材紹介では就業先の企業の直接雇用となります。

    派遣事業のデメリットは、「派遣会社が労働者を雇用する」という点にあります。

    近年は法改正が進み、派遣労働者の保護を目的に、派遣企業には「派遣社員のキャリアサポート」が義務付けられています。よって、労働者が増えれば増えるほど管理コストがかさんでいきます。

    人材紹介業は、あくまで「採用の仲介」に特化しているため管理コストを低く抑えることが可能です。人材派遣業の利益率が低下する中で、人材業界の成長産業として注目されています。

    こちらの記事ではより詳しく、人材紹介と人材派遣の違いをまとめています。

    請負

    人材派遣と請負の違いは「指揮命令関係」です。

    人材派遣では、派遣スタッフは派遣先企業の指揮命令下に置かれます。

    一方、請負は「発注者」と「請負企業」の二者間の契約であり、発注者が請負企業のスタッフに指揮命令をすることは許可されていません。

    人材派遣業界の動向・市況

    求人開拓リソースの無駄遣い

    人材派遣業は人材業界の主要3ビジネス(人材派遣、人材紹介、再就職支援)の中で、もっとも大きな市場規模の業種です。

    しかし、前述の通り、度重なる法改正により利益率が低下。一説では人材派遣業の利益率は10%以下とも言われます。

    ここからは人材派遣業界の動向・市況を見ていきます。

    派遣会社は利益率低下に直面

    人材紹介 事業計画

    派遣社員の保護やキャリアサポートの義務化によって、派遣会社のランニングコストは上昇傾向です。

    加えて前安倍政権のもと、最低賃金の増加が続いたことから派遣スタッフの給与の底値も上昇傾向。

    また2020年4月から大企業で導入された「同一労働同一賃金」制の影響も注視していく必要があるでしょう。同一労働同一賃金とは、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差」を禁じるものであり、同じ労働内容であれば正規雇用・非正規雇用を問わずに同じ賃金にすると定めています。

    「賃金」とは月々の給与だけでなく、賞与や退職金、福利厚生も含んでいます。
    派遣先企業にとっては、派遣社員に業務を依頼する金銭的メリットが薄らぐ可能性があり、派遣切りを懸念する声が上がっています。

    中小企業への制度導入は2021年4月を予定されており、制度が全国的に広がった際の反響に要注目です。

    このように派遣スタッフの給与や管理コストが増加傾向にある中で、派遣業への監視や規制は強まっており、派遣業の利益率は低下傾向にあります。

    コロナ禍で赤字幅が拡大した企業で人員整理が始まりつつある中、派遣会社はどのように利益を確保していくのか、対応を迫られている状況と言えるでしょう。

    人材紹介業への新規参入が続く

    人材派遣会社による新たな収益源確保の施策として、人材紹介業への新規参入が続いています。

    派遣業者は、既に正社員として就職する可能性がある人材にリーチできる集客チャネルを保有しています。

    そうした人材と求人案件をマッチングさせることで、最小のリソースで人材紹介業に参入することが可能です。

    採用の仲介に特化することで管理コストを押し下げつつ、理論年収の30%〜35%の手数料を得ることができ、高い利益率の新規事業の立ち上げができます。

    以下の記事では、派遣会社の人材紹介業への参入理由をまとめています。こちらの記事も参考にしてください。

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    など、事業運営に役立つ様々なセミナーも開催しています。お気軽にご参加下さい。

    まとめ

    今回は、人材派遣業の定義や市場動向、請負や人材紹介業との違いをまとめました。

    人材派遣業は人材業界の主要3ビジネスの中で最大規模の業種ですが、近年は利益率低下が課題となっていることも事実です。

    参入時は利益率や自社のリソースを踏まえた上で、ビジネスモデルや参入する市場などを見極めることがおすすめです。

    (※1)第1 労働者派遣事業の意義等
    (※2)一般社団法人 日本人材派遣協会
    (※3)一般社団法人 日本人材派遣協会

    ※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

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