スタートアップを対象とする人材紹介のコツ – ハイクラス人材のベンチャー転職がトレンド
2021年の新規上場社数は、2007年の121社以来14年ぶりに100社を上回っています。テ
ック系企業が上場数の増加を牽引しており、経営者の年齢層も若い傾向。
新規上場社数の増加により、ストックオプションの保有などを目的にハイクラス人材がベンチャー転職を志すケースも増えています。
今回はスタートアップを対象とする人材紹介のコツを紹介します。
ハイクラス人材のベンチャー転職がトレンドに
投資銀行やコンサルティングファームなどのバックグラウンドを持つハイクラス人材が、ベンチャー/スタートアップに転職する事例が増加傾向にあります。
その大きな理由は、前述の通り「新規上場社数の増加」。上場準備段階にある企業などが年収面で好条件を整えたうえでハイクラス人材を向かい入れ、IPO準備を進めていくケースが目立ちます。
ハイクラス人材のスタートアップ転職においては、ストップオプションも多く割り当てられる傾向にあります。上場後の自社株売却には一定の制限がかけられることが多いものの、自社株を段階的に売却していくだけでも1000万円以上の売却益が見込めることも。
そうした「やりがい」や「将来的な成功報酬」を求めて、転職する人材は少なくありません。
【法人営業編】スタートアップを対象とする人材紹介のコツ
ここからは人材紹介会社の担当者向けに、スタートアップを対象とする人材紹介のコツを解説します。まずは求人案件を獲得するための法人営業で、確認すべきポイントを3つ紹介します。
スタートアップ企業の資金調達状況をチェック
特にハイクラス人材とスタートアップ企業のマッチングを成立させるためには、その企業の資金調達状況をチェックしておくことをおすすめします。
「赤字上場」も珍しくはありませんが、とはいえ「一定の大きな売上高」は求められます。スタートアップが大きな売上を作るためには、数千万~億クラスの資金調達を前もって実現しておく必要があることも現実です。
資金調達状況を調べるうえでは、調達元の投資家リストも可能な限り調べておきましょう。優れた投資家は複数社の上場に携わっていることが少なくありません。
優秀な投資家から調達を実現している企業であれば、事業自体は赤字だとしてもキャッシュには当面の余裕があり、IPOも見込めます。よって、ハイクラス人材の採用にも積極的であると推測されます。
ストックオプション制度の有無を確認
スタートアップ企業はほとんどの場合、ストックオプション制度を社員向けに整えています。とはいえ「○人目に入社した社員までをストックオプションの付与対象とする」など制度の内訳は様々です。
また発行株式の数に対して、何割程度までを社員向けのストックオプションの対象にするかも様々。
ハイクラス人材がスタートアップ企業に転職する場合、大きなモチベーションとなるのはストックオプションです。よって自社が紹介した人材に対して、十分な予約権が与えられそうかはしっかりリサーチしておきましょう。
オンライン面談で済ませずオフィスを見に行く
昨今、人材紹介はオンライン面談を中心に進むことも多いです。
しかし、特にハイクラス人材を紹介する際は「担当者が直接オフィスを見に行く」こともおすすめします。人事担当者とオンライン面談で話すだけでは、紹介先企業のオフィスの雰囲気や「どんな社員が多いのか」などは把握しきれないことが多いためです。
掲げているビジョンが立派なものだとしても、オフィスの雰囲気が暗かったり「新顔の社員ばかりで人の入れ替わりが激しそう」な場合、マネジメントに何らかの問題点がある可能性が高いです。人が定着しない企業に人材を紹介しても、早期退職リスクが高いのも事実です。
人材を紹介することばかりを考えるのではなく、時には一線を引いて「紹介しない」選択肢を持つことも大事です。
【求職者集客編】スタートアップを対象とする人材紹介のコツ
続いて、求職者集客のコツを紹介します。
求職者を集める「場所」を考える
たとえば不特定多数が利用する転職サイト経由で、コンサルティングファームの出身者が求人を探すかといえば「微妙」です。
つまり求職者集客の代表的な手段である「スカウトメール」は「スタートアップへの転職を検討しているハイクラス人材」を集める手段としては適していない可能性があります。
代替案の1つには「イベント開催」が考えられます。有名経営者のセミナーを開催したり、名刺交換会を実施することで優れたビジネスパーソンを囲い込み。後日、個別に一人一人と連絡を取り合い、転職意思が高そうな人材には自社サービスを紹介するといった流れが考えられます。
提案するポジションを慎重に見繕う
コンサルティングファームで役職についている人材らは、潜在的に「やりがい」や「成功報酬」を求めているとしても「強い転職意思を持ち合わせている」とは限りません。新規上場が確実に成功するとは限らない、スタートアップ企業への転職であれば尚更です。
つまり、その人材に適した企業の求人があったとしても「提案するポジション」については慎重に見繕う必要もあるでしょう。
場合によっては部長クラスなどではなく、複数社を兼任しやすい「役員」クラスのポジションの提案も視野に入るでしょう。また副業にはなりますが、フリーランスという形も検討に値するでしょう。「正社員」という形での紹介にこだわると、マッチングが逆に成立しづらくなるケースもあることに注意しましょう。
なおフリーランスの場合は、ストックオプションの付与の対象にはなりません。将来的な成功報酬を前倒しにするような形で、業務委託費用を高めに見積もることもできるでしょう。
ヘッドハンティングの場合は「熱意」も重要
ヘッドハンティングの場合、最終的には「熱意」も大事です。十分な待遇を受けているハイクラス人材でも「どうしてもあなたの力が必要だ」という口説き文句には、心が動かされる瞬間があるものです。
案件の紹介を一度や二度断られたとしても、自社が紹介する案件が「その人のキャリアにプラスになる」確信があるならば繰り返し相手の元へと出向く「熱意」「度胸」も大切です。
スタートアップ企業が人材紹介を活用するメリット
ハイクラス人材の採用を検討しているスタートアップが、人材紹介を活用するメリットには以下のような項目が挙げられます。
・初期費用が掛からない
・採用担当者の負担を軽減可能
・紹介される人材の品質がある程度担保されている
スタートアップの場合、人事部門の社員数が少なかったり、管理体制の整備が追いついていないことがあります。そうした状態で採用数の拡大に踏み切ると、採用担当者の業務が突然膨れ上がり手が回らなくなるケースも。
またスタートアップに応募する人材は、良くも悪くも千差万別。「書類選考や面接の時間がムダ」と感じてしまうような、自社への適性が無い人材の選考に手間を割くことも時にはあります。
人材紹介会社を利用することで、上のような問題点は軽減できます。初期費用無しで紹介会社が厳選した人材だけが紹介されるためです。
よってスタートアップが紹介会社を利用するメリットは大きいと言えるでしょう。
スタートアップを対象とする人材紹介会社を立ち上げるには?
人材紹介事業は国の許認可事業の1つです。そのため、まずは人材紹介業の免許を取得する必要があります。免許取得手順については、以下の記事で解説しています。
なおかつ「スタートアップ企業に対してハイクラス人材を紹介する」ことを想定している場合「法人営業」「求職者集客」についてそれぞれ戦略を立てる必要があります。たとえば求職者集客の場合、前述したような「名刺交換会の開催」「イベント開催」などは視野に入るでしょう。
人材紹介マガジンを運営するagent bankでは人材紹介業の立ち上げ支援や各種相談を受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
新規上場社数の増加を受けて、コンサル出身者らのベンチャー転職は1つのトレンドになりつつあります。新規に人材紹介業の立ち上げを検討している方にとっては「ハイクラス人材×スタートアップ企業」のマッチングは面白いマーケットの1つでしょう。ぜひ本記事を参考に、事業立ち上げを検討してみてください。
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