「無形商材」のビジネスモデルを解説!手数料ビジネスの例や強みを紹介
人材紹介業は「個人」と「企業」をマッチングさせる事業。物品のやり取りが発生しないため「無形商材」に相当するビジネスです。
モノの売り買いなどが発生しない場合「支払う側は、何に対して代金を支払っているのか」「利益率はどれくらいなのか」「支払いのタイミングはいつなのか」などが分かりづらいという人もいるでしょう。
結論から言えば、無形商材のビジネスモデルの中心は「手数料」です。
今回は、人材紹介業に代表される「商品が無形商材」かつ「手数料が収益の中心」のビジネスモデルについて主に解説していきます。
「有形商材」と「無形商材」を扱うビジネスの違い
「有形商材」と「無形商材」を扱うビジネスの違いは、一言で言えば「モノを売るか、広義のサービスを売るか」です。
有形商材の代表格は住宅、自動車、日用品、アクセサリーなど。
一方、無形商材の代表格はコンサルティングや研修、金融商品、広告などです。人材紹介は「モノ」を扱っているわけではなく、採用に関するマッチングサービスの提供がメイン。よって無形商材に該当します。
無形商材は「形のあるもの」を扱うビジネスではないため、サービスの内容を顧客にあわせてカスタマイズするケースが多いです。そのためビジネスが「課題解決型」になりやすいです。
有形商材は商品そのものをカスタマイズすることは簡単ではないため、価格競争に陥りやすい面があります。代わりにBtoB、BtoCどちらにも展開しやすいビジネスです。顧客が直接的にメリットを感じやすいため、取引先の満足度も高まりやすいです。
無形商材の主な収益モデル
無形商材の主な収益モデルは、手数料です。ただし近年ではLTV(Life Time Value)の観点から、サブスクリプションモデルにも注目が集まっています。
手数料
たとえばコンサルティングや人材紹介のような「マッチング」はモノを販売しているわけではありません。つまり専門性の高い人材による「サービス提供にかかる手数料」が収益の中心となります。
たとえば人材紹介の場合、求人者(企業)と求職者(個人)のマッチングが成立した場合「マッチングを手配するためにかかった手数料」として、求職者の理論年収の30%を請求する企業が主です。
ちなみに「広義の意味での手数料」には、システム利用料が挙げられます。法人向けのウェブサービスなどを提供している企業は、システム利用料の名目で請求を行うこともあります。
サブスクリプション
近年、注目されているビジネスモデルには「サブスクリプション」があります。サブスクリプションとは月額課金制のビジネスモデル。動画配信やゲームの月額課金から、昨今では花やパン、化粧品の定期購入までさまざまなビジネスが提供されています。
無形商材のサブスクリプションも増えており、たとえば法人向けのウェブサービスを「単発の利用ごとに請求する」のではなく「月額制」に切り替え。月ごとの利用単価は割安に抑えつつ、中長期的な利用によって安定的な収益を目指すケースがあります。
ちなみに人材紹介の場合、正社員のマッチングは「手数料」モデルに近く、フリーランスのマッチングは「サブスクリプション」に近いです。
フリーランス人材の場合、単発で数百万円などの手数料支払いは発生しません。一方で中長期的に発注が継続され続けると、正社員のマッチング以上の利益を人材紹介会社にもたらすこともあります。
無形商材を扱うビジネスの例と強み
無形商材を扱うビジネスの例を3つ、それぞれの強みと併せて解説します。
人材紹介
「求人を掲載する「求人者」(企業)と仕事を探す「求職者」(個人)の間に立ち、両者の最適なマッチングを実現すること」が、人材紹介の主なビジネスモデルです。
定義や売り上げ構造などについては、こちらの記事でより詳しく解説しています。
人材紹介の強みは「一件当たりのマッチングの売り上げの大きさ」と「求人案件の集めやすさ」。理論年収の30%が見込み売り上げのため、年収300万円の人材のマッチングが成立すればおおよそ90万円~100万円の売り上げが発生します。
またマッチング成立まで求人者(企業)には支払いが発生しないため、企業にとって求人を出すことへの抵抗感は小さめ。よって比較的求人案件も集めやすいです。
実際のマッチング成立の難易度は低くはありませんが、収益性が高いビジネスといえます。
求人広告
求人広告は、求人情報誌などの広告枠と「広告を出稿したい企業」をマッチングするビジネスです。人材紹介に近い領域のビジネスですが、マッチングする対象が「広告枠か」「人材か」の違いが大きいです。
求人広告も、手数料の料率はおよそ30%が目安です。ただし、たとえばアルバイト系の求人広告の場合は「掲載料金が10万円~。料率はその30%」というケースもあり、マッチング当たりの単価が低いです。
アプリ
サブスクリプションの代表格になりつつあるのが「アプリ」です。たとえば、BtoCの月額課金制のアプリの代表格はマッチングアプリです。特に男性会員に対しては数千円前後の課金を求めるものも少なくありません。
BtoBの場合、法人向けのSaaSサービスが主流です。
アプリの強みは「料金に応じた機能の解放」が行いやすいことです。たとえばリリース初期は全機能を一定期間無料開放しつつ、無料会員から追加サービスに対する要望をヒアリング。要望が大きい機能を有料版として実装し、月額会員に段階的に移行させるといった施策を打ちやすいです。
課金はサブスクリプションモデルが主流で、LTVも長いです。
こうした「無料会員から有料会員への移行」を柔軟にできるのが、サブスクリプション型のアプリビジネスのメリットです。
無形商材の営業のコツ
最後に無形商材の営業のコツを紹介します。
手数料ビジネスの場合
手数料ビジネスの場合、営業は「課題解決型」を強く意識しましょう。
無形商材の場合、有形商材と違って「モノ」がないためクライアントにとっては「自社が得られるメリット」が不透明になりやすいです。よってクライアントの課題を正確にヒアリングし、自社が提供できるソリューションを正確に解説する必要があります。
たとえば人材紹介の場合、クライアントの採用課題をヒアリング。そして「人事部門を新規採用で拡大するよりも、手数料目安は数百万円かかるものの、人材紹介会社を利用した方がトータルで見ると安く採用する人材の品質も担保されている」などと提案していくことが望ましいです。
サブスクリプションビジネスの場合
サブスクリプションビジネスの場合、無料で提供する機能と有料の機能の差別化と「どこから有料化するか」の見極めが重要です。また無料版を提供しない場合は、月額料金の設定時に「ユーザーが直感的に安いと感じるライン」を見極めましょう。
サービスのリリース初期は収益面で苦戦したとしても、段階的な価格見直しやユーザーの増加、またLTVの長さによって徐々に投資を回収していくのがサブスクリプションの特徴です。ある意味では企業側の体力も試されます。
逆に中長期的な投資回収を狙えるフェーズになく、即時に売り上げを立てたいのであれば単発で大きなリターンがある手数料ビジネスの方が向いています。
まとめ
無形商材を中心に「手数料ビジネス」「サブスクリプションビジネス」の収益モデルを解説しました。有形商材ではなく無形商材を中心としたビジネスの立ち上げを検討している方は参考にしてください。
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