小規模人材紹介事業者は、求職者を大切にしたほうが儲かる理由
これから人材紹介事業を始めよう、もしくは人材紹介事業が上手くいかないと感じている皆さん、小規模人材紹介会社が売上最大化のためにとるべき戦略とは一体なんだと思いますか。
セミナーなどでは「ターゲットを絞ること」「集客コストを削減すること」「新規面談数を最大化すること」などを聞く機会が多いと思います。
しかし、小規模人材紹介会社が取るべき戦略は、「求職者をとにかく大切にすること」だと思います。「綺麗事言ってるんじゃねーよ」そんな声も聞こえてきそうですが、小規模人材紹介会社が取るべき戦略について書いていきます。
立ち上げ時期の小規模人材紹介会社が陥る罠
「できるだけ効率良く求職者をマッチングしよう」
世の中で一般的に認知されている人材紹介の成功法則は、この一言に尽きるのではないでしょうか。特に大手の人材紹介会社にいた方は、耳にタコができるほどこの言葉をお聞きになられている方も多いのではないでしょうか。
「もっと求職者を大切にしなくてはいいの?本当は別の会社に行ったほうが活躍できそうなのに」こういった思考は効率化が徹底された人材紹介事業においては、ただの足かせとなってしまう可能性があり、上司から「良心は捨てろ」と言われたことがある方もいるかもしれません。
しかし、この方法で売上が拡大し利益率が改善されていくのは、大手人材紹介会社(自社で豊富なリソースを保有している会社)だけではないでしょうか。なぜなら、大手人材紹介会社と小規模人材会社では、人材紹介事業における重要な要素において大きな違いがあるからです。
①求職者の集客力とその質
②保有している紹介先の数と質
自社で転職サイトを保有している大手人材紹介会社には、小規模紹介会社は上記2点では勝てるわけがありません。それは圧倒的な保有量の違いはもちろんですが、質という観点においても、データベースを自社で保有しているプレイヤーの方が、良質なデータベースを先に抑えることができるからです。
上記の2要素のような人材紹介における”仕入れ先(求職者集客)と”売上発生源(求人企業)”において、圧倒的な差がある中で、大手企業と同じような効率化を目指してもうまくいくはずがありません。すべての前提が、仕入れと売上発生源において圧倒的な数と質が揃っているという中での戦い方だからです。
では小規模人材紹介会社はどう戦えばいいのでしょうか。それが、上手くいっている会社に共通していた「求職者を徹底的に大切にする」という方法でした。
なぜ求職者を大切にすることが、小規模人材紹介会社が取るべき戦略なのかについて、4つの要素に分けて記載していきます。
求職者をとにかく大切にすべき4つの理由
①選考数と選考通過率に寄与する
人材紹介事業における売上に直結する入り口の数字となる部分が、選考数です。
大手人材会社は、選考数をあげるという観点においては、応募承諾率から逆算し、求職者への紹介求人数をキャリアアドバイザーがKPIとして責任を持っている場合が多いです。また、保有求人の数が多いという事実に加えて、会社の看板(知名度)もあるため、基本的には紹介した求人の大多数を求職者が受けてくれます。つまり、短時間の面談でも選考数は容易に担保することができます。
しかし、小規模人材会社は違います。まず面談において始めるべきは”求職者との信頼構築”と”求職者のニーズの把握”となります。ここを履き違えると短い時間の面談で求人を紹介していても、1社も選考に進むことなく離脱する求職者が急増し、選考数は落ちる一方です。
また選考通過率においても、同様です。求職者の正確なニーズや強みの把握は、紹介先企業のニーズとのマッチ度(選考通過率)に関わってきます。それだけでなく、面接対策の有無によっても選考通過率は大きく変わってきます。
上手くいっている小規模人材紹介会社は、新規求職者との面談数が減少したとしても、とにかく求職者との面談に時間をかけていました。その重ねた面談の回数が、適切なニーズの把握や信頼関係の構築につながります。それだけでなく、選考対策にも時間を割くことで、大手紹介会社が短い面談で実現する選考数や選考通過率を超えていくことができます。
②求職者の離脱率に寄与する
次に、流入してきた求職者を入社に結びつけるために大切な指標が離脱率です。
1求職者あたりの平均利用エージェント数は約5社と言われています。会社規模で話を聞きにいく求職者もいれば、特化している領域がマッチした求職者、口コミや知り合いからの紹介など、訪問の理由は様々です。まず、求職者が面談をしにきた時点で競合となるエージェントが複数社あることを意識しなければいけません。
多くの大手紹介会社は、知名度、保有求人の数と種類などで求職者との信頼関係を構築していきます。そして、圧倒的な効率化が利益率に直結する人材紹介事業においては、ほとんどの会社が1回目の面談時に求人を紹介し、応募承諾をとりにいきます。
「本音で全然話せなかったから、紹介される求人はマッチしてないんだろうな」「とりあえずどこでもいいから、入社させたいだけなんだろうな」
このような疑念を抱き、小規模人材紹介会社に相談する候補者が少なからずいるはずです。
つまり、相手に寄り添うというスタンスを忘れず、丁寧に相手のことを知ることに時間を使うことで、大手エージェントとの差別化になります。また、上記スタンスが信頼関係の構築に繋がり、選考中の求職者離脱率の低下に繋がります。
③集客リソース(お金×時間)に寄与する
コストという観点で、この市況下において重要になる指標が、求職者の集客リソースです。
大手人材会社は1面談あたりにかけている集客コストは約8万円と言われています。一般的な大手企業ですらそれくらいのコストをかけて求職者を集客しています。
それに加えて、新しい人材紹介会社は増え続けており、エージェント同士の競争率も年々高くなってきています。それに加えて、新しい人材紹介会社は増え続けており、エージェント同士の競争率も年々高くなってきています。つまり転職者データベースを使って集客をするということは、他社エージェントとの競争率が高い求職者層に対して、人材紹介サービスを提供していくことになるとも考えらるのです。
そこで有効な集客方法が、口コミ(友人紹介)です。圧倒的に求職者に向き合い、誰よりも真摯にキャリア相談に乗った場合、顧客満足度は必然と高くなります。そうすることで、転職支援をした求職者から知り合いを紹介してくれる可能性も高くなります。つまり、他のエージェントが接触していない求職者に、信頼関係が担保された状態で出会うことができます。この好循環は、求職者に真摯に向き合った数ほど、後から自社の利益として返ってきます。つまり、求職者満足度を追求すればするほど、雪だるま式に求職者からの紹介が増えていきます。
いい循環が回りだすと、集客にかかっていた、費用(データベース利用料/媒体掲載料)と時間(スカウト送信/求人作成)は削減することができます。
④求人開拓リソースに寄与する
人材紹介事業において、次にコストがかかることは求人の開拓です。短時間の面談で、求職者の要望に合わせた求人を紹介できるのは、何万件という莫大な求人案件を保有している大手企業だけです。
現状の市況感では採用に困っている企業が多いため、求人の開拓における営業の難易度は高い訳ではありません。しかし、獲得した後は継続的な募集要件の摺り合わせが必要になるので、鮮度の高い求人情報の維持にかかるコストは増えていく一方です。
しかし求職者と深い信頼関係を構築できるのであれば、求職者の要望を鵜呑みにして求人開拓するだけでなく、自社で保有している求人の中で、求職者にあったキャリアプランを提案することは難しくないはずです。数は多くなくても、厳選した本当にいい会社だけを保有して入れば、自信を持って紹介もできるでしょう。
結果的に、しっかりと相手のニーズを聞き、信頼関係を構築しておくことで、求職者の表面的な要望に合わせて、無闇に求人開拓を行う必要がなくなるのです。
まとめ
小規模人材紹介会社には大手人材紹介会社とはまったく違う戦い方をする必要があると思います。多くの小規模紹介会社とお会いする中で、上手く行っていた会社は、このようなやり方を徹底していました。(下記インタビュー記事参照)
そして何より求職者にとって転職活動は、人生を大きく左右するイベントですので、できるだけいい会社に入社してほしいという想いは人材紹介事業者なら皆さんお持ちだと思います。求職者に感謝され、入社後も関係が続いていくような転職支援ができれば、仕事のやりがいは増していくのではないでしょうか。
やりがいを感じながら、しっかり事業として成果を残すような人材紹介を実現するためには、求職者に時間をかけて寄り添うことが、小規模人材紹介事業者が取るべき戦略ではないでしょうか。
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