ハローワークに求人を出しても採用に苦戦する企業が多い理由&解決策
ハローワーク(公共職業安定所)は全国544か所に展開。特に中小企業にとっては「求人広告費用がかからず、求人を出せる」点で採用の強い味方です。
一方でハローワークに求人を出しても「採用できない」という悩みを抱える企業も多いです。厚生労働省の平成28年時点のデータでは、新規利用者519万人に対し、ハローワーク経由で就職した利用者は163万人。ハローワーク経由の採用率は31.4%です。
ハローワークに求人を出しても採用に苦戦する企業が多い理由を解説します。
ハローワークに求人を出しても採用に苦戦する企業が多い理由
ハローワーク経由の採用に苦戦する企業が多い理由には「若年層を求める企業」と「実際の利用者層」のミスマッチが挙げられます。
ハローワークは30代以上の利用者が比較的多いです。一方で企業からの採用ニーズが大きい20代は、そもそも「ジョブカフェ」など仕事探しの手段が多様化しています。
「Indeed」など求人検索エンジンの普及や、未経験者/フリーター向けのエージェントの増加の影響もあるでしょう。
企業側が若者を求める一方で、実際にはハローワーク経由で応募がある人材は中高年に偏りがちであるというのが実情でしょう。「企業」「人材」のミスマッチが採用が決まりづらい最大の理由と言えます。
ハローワークは「地域密着型」| 求人の露出度は低め
またハローワークは全国544か所に展開していることから分かる通り、地域密着型の職業安定所です。求人広告に多額を割くことができる大手企業の求人は「ほぼ無い」と言っても過言ではなく、いわゆる「地域の工場」や「地域の会社」が管轄のハローワークに求人を出している状況です。
そのため他の求人媒体と比べて、地域の枠を超えた幅広い層にリーチすることは難しく、求人の露出度は低いです。応募の「そもそもの母数が限られてしまう」のはネックと言えるでしょう。
「ハローワーク経由で即戦力を採用する」ことの難易度は高い
若者の仕事探しの手段が多様化していることや、実際のハローワークの利用者層との兼ね合いもあり「ハローワーク経由での即戦力採用」の難易度は高いです。
実際にハローワークで採用可能な層は、主には以下の2通りと言えるでしょう。
採用可能な層 | 管轄地域の未経験者・フリーター
ハローワークは全国に多数展開しており、管轄が細かく分かれています。「その管轄地域ごとの未経験者層やフリーター」に求人を出したい場合は、広告費がかからない点を踏まえても求人媒体として悪くない選択肢でしょう。
採用可能な層 | 高齢者
ハローワークの利用者層には40代や50代も少なくありません。再就職支援を必要とする層が、転職エージェントらからは案件の紹介を受けられず、ハローワークを頼るという例は少なくないです。
医療・介護や製造業など人手不足が慢性化している業種では、40代~50代といった層の活用も十分に視野に入るでしょう。一方で採用の手間に対して、定着率や「どれだけ長く働いてもらえるか」という点に企業サイドが不安を抱きやすいのもまた事実ではあります。
ハローワーク経由の採用を成功させるためのコツ
ハローワーク経由の採用を成功させるためのコツは、大きく分けて2つです。
1つは「職業訓練校の卒業生」にフォーカスして、採用を試みること。
ハローワークでは必要な職能を伸ばすため、求職者に対して職業訓練校への入学をあっせんするケースがあります。職業訓練は求職活動の一環として見なされる他、訓練校の卒業生のスキルはその他の未経験者層などよりは安定して高いです。
ただし職業訓練校の卒業生を採用するには、職業訓練校に対して直接求人を出す必要がある場合も。管轄のハローワークに、提携している職業訓練校の一覧をもらえないかまず問い合わせると良いでしょう。
もう1つは、条件面を見直して魅力的な求人を作ることです。とはいえこの場合、求める年齢層や職能とのミスマッチそのものはすぐには改善できないことがあります。よって「人材紹介会社に求人を出す」方が効率的なパターンも多いです。
未経験者層の採用は「人材紹介会社経由」という選択肢もある
未経験者/フリーター層などの採用は、企業サイドからすれば「人材紹介会社経由での採用」も新たな選択肢として人気。
人材紹介会社に求人を出す段階では手数料がかからないため、求人を出すリスクが低い点が大きなポイントです。
またハローワークからの紹介に比べ、人材紹介会社経由の紹介は「面接対策」や「履歴書作成サポート」がよりしっかりしているという特徴があります。紹介される人材の品質が平均的に高い点がメリットです。
逆に言えば、人材紹介会社サイドにとっては「ハローワーク経由で採用がうまくいかない中小企業」に対して「未経験者層を紹介する」というモデルは「ハローワークの代替手段」として取り組んでいく価値がある市場でしょう。
【人材紹介の担当者向け】未経験者層の紹介を行う際のポイント
ハローワークの代替手段というポジショニングで、中小企業向けに未経験者層を紹介したい場合、人材紹介会社サイドにもいくつかの注意点があります。
最後に未経験者層の紹介を行う際のポイントを紹介します。
ミスマッチのリスクが高い | 早期退職時の補償を手厚くする
最大のリスクは「ミスマッチのリスクが高い」ことです。企業サイドからすればハローワークは特に求人費用がかかりませんが、人材紹介会社経由の採用は費用が掛かります。
そのため、ある意味「ハローワーク経由の採用は早期退職されても困らない」が「人材紹介会社経由の採用は早期退職されると困る」とも言えます。
こうしたリスクへの対処法として、紹介会社サイドには「早期退職時の返金保証を手厚くする」ことが求められます。人材紹介会社の返金規定については、以下の記事で詳しく解説しています。
紹介手数料の料率を検討 | 若干のディスカウントも有効
地域の中小企業などに対して人材紹介を行う場合、紹介手数料の料率の高さがネックになることもあるでしょう。数パーセント程度のディスカウントを行えば、採用が決定しそうな場面では割引を行うことも柔軟に検討しても良いでしょう。
教育コストが高くなりやすい | 紹介会社サイドで研修を充実させるのも手
未経験者層の採用は、企業サイドからすれば入社後の教育コストが高くなりやすいものです。
こうした課題の解決策として、近年増加しているのが「研修と一体型になったエージェント」です。研修の代表例は、営業研修やプログラミング研修など。未経験者層の育成をある程度、人材紹介会社側で引き受けたうえで紹介を行うというモデルです。
なお研修の進め方自体はeラーニング形式から、施設や教室を使った短期集中型まで様々。研修を充実させ、人材の品質を担保するというのは「紹介事業の信頼性を高める」という観点では一つの手でしょう。
まとめ
ハローワーク経由での、中小企業の採用がうまくいかない理由を紹介しました。職業訓練校の卒業生にフォーカスを当てて求人を出したり、人材紹介会社を活用するなど新たな採用戦略の検討をおすすめします。
また人材紹介会社サイドは、ハローワークの代替手段として自社の紹介事業を使ってもらえるように、中小企業でも利用しやすい補償を整えることをおすすめします。
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