キャリアコンサルタントは本当に「役に立たない」?主な理由と育成の重要性
キャリアコンサルタントはしばしば「役に立たない」と言われます。理由の詳細は後述しますが、要点としては「国家資格であるにも関わらず、日本にはキャリア相談という文化が根付いておらず相談を受けたい人が少ない。なおかつ資格が無くても就職支援の仕事に就ける」ことが大きいです。
一方で実はキャリアコンサルタントの育成は、非常に重要なトピックでもあります。まずそもそも何故キャリアコンサルタントの育成が重要かを解説します。
キャリアコンサルタントの育成は何故重要?
キャリアコンサルタントの数と人材紹介会社の売上拡大は相関関係にある
キャリアコンサルタントの数と、人材紹介会社の売上拡大は相関関係にあります。
1名のキャリアコンサルタントが就職サポートを提供できる人数は、一般的に数十名程度までと言われます。それ以上の人数をサポートしようとすると担当者が手一杯になり、サポートの品質が落ちやすいです。
その数十名は全員が「転職が決まる」わけではありません。月々数名程度ずつマッチングが成立していくというのがよくあるパターンでしょう。
すると「キャリアコンサルタントが1名のみだと、求職者集客をしてもサポートが提供できない」状態になります。よってキャリアコンサルタントの新規採用は人材紹介会社の最重要トピックでもあり、多くの人数を要します。
国家資格であり今後の需要拡大が予測される
人材紹介は実は1999年の職安法改正まで厳しい制限下にあり、現在多くの人がイメージする「人材紹介」の国内での歴史は25年弱であると言っても過言ではありません。
そして人材紹介は、企業の副業解禁やジョブ型雇用の広まりなどを受けて「雇用の需給調整機能」としてのニーズが急速に高まっている業種です。
つまり歴史が浅い一方で、今後の需要拡大がほぼ確実であり、その高まる需要に高い品質で答えるには「キャリアコンサルタントの数」が必要です。
つまり少なくとも「キャリアコンサルタントの数」は必要であり、なおかつその品質を担保するには「資格」も一定の意味はあると言えるでしょう。
キャリアコンサルタントは「役に立たない」と言われる理由
キャリアコンサルタントの育成の重要性は前述の通りですが、一方でキャリアコンサルタントの必要性や国家資格の意義は十分に浸透していないのも事実です。
しばしばキャリアコンサルタントは「役に立たない」と言われる理由は「資格に関する理由」「仕事の実態に関する理由」「コストと効果のバランス」に大別されます。
資格に関する理由
まず資格がなくても就職支援の仕事に就けることが大きいです。つまり資格が無くては「キャリアアドバイザー」とは名乗れない業務独占資格ではないということです。
そのため「業務独占資格では無いのに、なぜ国家資格をとらなくてはいけないのか」という疑問を生んでいるのは事実です。
資格や職種そのものへの理解が、まだそれほど一般には広がっていないと言えるでしょう。
仕事の実態に関する理由
「日本ではキャリア相談を受けたい人がそれほど多くはない」というのも、しばしばキャリアコンサルタントが「役に立たない」という声を生む要因です。
厚生労働省が行った令和2年度「能力開発基本調査」では、キャリアコンサルティングを行うしくみを、正社員に対して導入している事業所は37.8%。また自己啓発を実施した労働者は32.2%。
つまりキャリアコンサルティングを受けられる機会が少なく、またキャリアコンサルティングを含む自己啓発を実施している労働者自体も少ないことを意味します。
総じて多くの人にとって、キャリアコンサルティングには「馴染みが無い」かつ「受けられる機会も少ない」ことを意味するでしょう。
そのことはまわりまわって「キャリアコンサルタントへの求人は多くないのでは?」「職種の将来性がさほどではないのでは?」というイメージに繋がっている側面があるかもしれません。
コストと効果のバランス
キャリアコンサルタントの資格取得にかかる費用が、国家資格であることからやや高い印象を持っている方もいると思われます。
「求人が多くない」「独占業務でもない」という面から、キャリアコンサルタントを求める人材紹介会社からのニーズに対して、一般からは「その職に就くためのコストと効果のバランスが悪い職種」という印象を持たれがちかもしれません。
キャリアコンサルタントを効率よく育成するには?
研修を通じて育成する
まず1つ目の選択肢としては、キャリアコンサルタントを研修を通じて育成することです。人材紹介会社のキャリアコンサルタントやその候補者を対象に、短期間で実践的に育成する研修を提供している企業もあるため、ぜひそうした研修を利用すると良いでしょう。
キャリアコンサルタントは業務独占資格ではないからこそ、士業などと比べると研修を通じて比較的早期に優秀な人材を確保しやすいです。
特に人材紹介会社は、グロースのフェーズに移ると数十名から数百名単位でキャリアコンサルタントが必要となりやすいです。よって研修を利用すると、効率が良いでしょう。
資格取得費用を補助する
業務独占資格ではないため、国家資格は極論「無くても何の問題もない」です。ですが数十名から数百名単位での採用を行うと、人材の品質にばらつきが出やすくなり、そのことが業務の理解度の差やそれに伴うトラブルを生みやすくなります。
よって国家資格の取得は「推奨項目」にはすべきでしょう。資格取得を通じて得た知識やノウハウが、人材の品質を均等に保つ効果を生みます。
企業側で資格取得費用を補助するのがおすすめです。
まとめ
今回は「キャリアコンサルタントは役に立たないのか」解説しました。キャリアコンサルタントという職業への理解はまだまだ定着はしていませんが、一方で人材紹介の「雇用の需給調整機能」には欠かせない存在です。
またグロースフェーズでは一社につき数十名から数百名の育成が必要になる職種です。だからこそ研修などを通じて効率よく育成することを意識すると良いでしょう。
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