小規模エージェントが大手人材紹介会社と対等に戦う方法
日本にある有料職業紹介事業者のうち、約90%以上が従業員5名以下の小規模人材紹介会社と言われています。また、人材紹介会社は、2万社を超えており、毎月100社以上もの紹介会社が増加しているのが現状です。
そのような状況の中で、約3000億円といわれる人材紹介の市場規模の大多数を、従業員が100名以上在籍するような大手人材紹介会社が占めています。
では、事業を立ち上げたばかりの人材紹介会社や、数名で事業を運営する小規模エージェントは、どのようにして大手人材紹介会社と戦っていけば良いのでしょうか。本記事は、小規模エージェントが大手人材紹介会社と対等に戦うための方法について解説している記事です。
大手人材紹介会社との違いは?
集客方法とそのリソース
まず大きく違うところは、集客方法とそこに投下しているリソースです。大手人材紹介会社の多くは、自社で転職媒体を保有しており、潤沢なデータベースを、新鮮な状態で、さらに独占して使用することができます。つまり、利用できるデータベースの質と量が圧倒的に違うのです。その上で、集客のために投下しているリソースにも大きな違いがあります。求職者集客の専門部隊が、独自のノウハウを駆使して、良い人材の集客だけにリソースを投下します。
それに比べて、小規模エージェントは集客源の多くは他社のデータベースです。また、投下できるリソースも大きく違います。紹介業務の全てを1人でやらなければいけない小規模エージェントは、集客に割けるリソースはとても限定的です。
まずは人材紹介事業の入り口とも言える、「求職者集客」において圧倒的な違いがあることを理解しなくてはいけません。
社内でのノウハウ流通量
続いて、社内でのノウハウ流通量が大きく違います。転職市場は、時代の流れを受けて、大きく変化します。その時代の変化の中で、求められる対応や成果を出すためのアプローチ方法は大きく変わってしまいます。
そんな前提の中、大手人材紹介会社は、大量の自社エージェントが、とんでもない数の求職者の対応をしています。その中で最新のノウハウが常に社内に流通し続けています。つまり、その時代変化に合わせて、最新の最適解を常にアップデートし続けることができるのです。
それに比べて、小規模エージェントは自身仮説検証を繰り返し、模索していくしかありません。ここのノウハウにおいても、大きな差が出てしまうことも事実なのです。
マッチングデータ量
最後にもっとも大きな変化をもたらすと言っても過言ではない部分が、マッチングデータ量です。大手企業には、大量のマッチングデータが集まります。どのような求職者に、どのような求人がマッチするのかが、推測ではなく、事実データを分析することによって、導くことができるのです。
またそれだけでなく、過去の落選理由から、求人票の改善も高速で進んでいきます。人材紹介ビジネスは、豊富なデータ量が集まれば集まるほど、入社に導くことができる確度が上がっていくビジネスなのです。
では、このようなハンディキャップがある中で、小規模エージェントはどのように戦っていけば良いのでしょうか。
大手ができない価値提供にフォーカスする
まず1つ目は大手企業ができない価値提供にフォーカスすることです。とある会社は、1人の求職者との面談を5回ほど行い、求職者に提供できる価値に徹底的にフォーカスしています。これは大手企業はなかなかできません。それは、利益率を改善していくために、多くの新規求職者との面談などが、会社の目標として決まっているからです。つまり、一人当たりの求職者に割く時間を増やすだけでも、求職者からすると大きな差別化ポイントになるのです。
求職者は、深く自身のことを知った上で、本質的なキャリアアドバイスをもらえたことに感動し、周りに転職希望者がいた時に紹介してくれるようになります。実際にその会社は、一切スカウトサービスを使わずとも、転職者からの口コミだけで集客が回るようになっています。
つまり、大手企業との大きな差別化が必要なのです。知らない小さなエージェントと有名な大手企業、求職者はどちらを選ぶでしょうか。しかし尖ったコンセプトがある企業や、大手ができないキャリアコンサルティングを提供することで、コンセプトに共感した求職者からの面談依頼の獲得や、口コミでの集客が可能になるのです。
リソース投下場所をフォーカスする
次に必要な判断は、リソースを集中させるということです。昨今では、多くのエージェントソリューションサービスがリリースされています。上記のような事例のように、求職者への価値提供にフォーカスするために、求人データベースサービスを使い、求人開拓などのRAリソースは一切使わないという選択をする企業も増えています。
もしくは、スカウトメールの送信時間を削減し、求職者接点を最大化するために、集客代行サービスを使うなどの選択肢もあります。重要なのは、どのようなポジショニングとり、その戦略を実行していくために必要な場所に、適切にリソースを投下していくということです。
このリソースのフォーカスによる副次的な効果は、データ量によるハンディキャップを補うことができることです。たとえば、求人データベースサービスには大量の選考情報が集まり、各求人の内定率などの情報も正確な数値が集まります。それだけでなく、求人案件の質も担保されています。選考情報が大量に集まるので、落選理由により求人の改善ができるので、大手紹介会社の求人と比較しても遜色がないものです。
このような理由から、自社がフォーカスする業務を決め、それ以外の業務をアウトソーシングする会社が増えてきているのです。
まとめ
大手と戦っていくには、差別化戦略が必要です。そして、その差別化戦略を形にするためには、リソースを集中させることが必要なのです。フォーカスしてその領域で徹底的に尖る、もしくはその価値提供に徹底的にこだわることこそが、小規模エージェントが生きていく道なのです。
そして、多くのエージェントソリューションサービスが乱立する昨今の人材紹介市場だからこそ、求人データベースを利用する企業も増えてきています。求職者価値を最大化するために、RA業務を丸っとアウトソーシングできるイメージです。
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