人材紹介をフランチャイズで運営することは可能? 業務委託との違いを解説
人材紹介業を立ち上げようと考えている方の中には「経営の経験が無い」「人材紹介業の運営経験もない」ことから、0からの事業運営に不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
そうした場合、人材紹介業を「フランチャイズ」で運営することが視野に入るでしょう。しかし、そもそも「人材紹介業をフランチャイズで運営することは可能」なのでしょうか。1つ1つ解説します。
人材紹介を「フランチャイズ」で運営することは「条件付きで可能」
結論から言えば、人材紹介業をフランチャイズで運営することは「条件付き」で可能です。
フランチャイズとは本部と契約した個人・法人が「のれん分け」に近い形で店舗やサービスを運営することを指します。
つまり、人材紹介業をフランチャイズで運営するときは「本部とは別法人で、同一のブランドを使用することが可能か」がポイントとなります。
フランチャイズと業務委託の違い
フランチャイズと混同されがちな言葉に「業務委託」があります。しかし、両者はあくまで別物です。後述しますが、業務委託による人材紹介業の運営は多くが「グレー」もしくは「違法」です。
フランチャイズと業務委託の違いは以下の通りです。
・フランチャイズ:企業に対してロイヤリティを支払う代わりに経営に関するサポートを受けられるもの
・業務委託:企業から商品販売や一部の業務を委託されるもの
フランチャイズは「のれん分け」に近く、業務委託は「外注」とほぼ同義です。
業務委託での人材紹介事業は違法のケースが多い
業務委託で人材紹介を行うことは「職業安定法」に抵触するリスクが高いです。なぜなら人材紹介業は許認可取得が必須ですが、多くのケースで、業務を委託された外部人材本人は免許を保有している訳ではないためです。
加えて職業安定法では、人材紹介業での「名義貸し」を禁止しています。名義貸しとは「有料職業紹介事業者が自己の名義を持って、他人に有料職業紹介を行わせること」を指します。
より詳しくは以下の記事で解説しています。
人材紹介を「フランチャイズ」で運営するときの条件
業務委託について解説した通り、人材紹介業は「許認可取得が必須」であることに加え「名義貸し」が禁止されています。
つまり人材紹介を「フランチャイズ」で運営するためにも、以下が必須となります。
・フランチャイズで運営する個人、法人も人材紹介業の許認可取得を独自に行っていること
・本部とは異なる商標を使うこと
有名エージェントのフランチャイズに加盟して、そのエージェントの商標を使って求職者集客や求人獲得を行おうとした場合「名義貸し」に抵触する可能性が高いです。よって、本部とは異なる商標が必要になるでしょう。
人材紹介業をフランチャイズで運営する場合「ブランドののれん分け」を受けるという要素は薄く、実質的に本部から「有償のコンサルティングやノウハウ提供を受ける」という形になるでしょう。
現実的にはブランドののれん分けが受けられないのであれば、SaaS型の求人データベースサービスなどを使って低コストで人材紹介業を立ち上げる方が理に適っていると言えるのではないでしょうか。
人材紹介事業を効率よく立ち上げるためのポイント
最後に、人材紹介業を効率よく立ち上げるためのポイントを解説します。
法人営業の効率化
まず「法人営業の効率化」です。人材紹介業は「許認可取得」のハードルに加えて、豊富な求人案件を取りそろえることに労力がかかります。
人材紹介業は、求人者(企業)にとってはマッチングが成立するまでは費用はかかりません。そのため「求人案件を獲得するだけ」であれば、営業のハードル自体は高くはありません。しかし「立ち上げたばかりの人材紹介事業者が、有名企業の求人を次々獲得できる」ほど簡単なわけでもありません。求職者(個人)から見ても「この会社で働きたい」と思うような魅力的な求人を豊富にそろえることは、やはり難しいものです。
よって法人営業を「可能な限り効率化し、なおかつ魅力的な求人を揃える」ことは何よりも重要です。
有力な選択肢の1つは、クラウドで利用できる求人データベースサービスを利用することです。求人データベースとは、クラウドに公開されている求人案件に自社でリーチしている求職者をマッチングすることで人材紹介ができるものです。
以下の記事でおすすめの求人データベースサービスを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
ランニングコストをかけすぎない
人材紹介業では、求人案件の獲得から実際のマッチング成立まで数か月以上のリードタイムが発生することが珍しくありません。
求人案件の獲得後、すぐに求職者(個人)を紹介できるとは限りません。またなるべく早く求職者を紹介したとしても、マッチング成立までに繰り返し面談が発生したり、何らかの理由で求職者が選考を辞退することも珍しくありません。
つまり人材紹介は、立ち上げ直後は入金がなく、キャッシュフローに問題を抱えるリスクを潜在的に持っているビジネスモデルでもあります。
一方で人材紹介はマッチング成立時の売り上げの大きさや、許認可取得が必要なことによる「ライバルにとっての参入障壁の大きさ」が大きな魅力です。
まとめ
人材紹介をフランチャイズで運営することは可能なのか、ポイントをまとめました。
結論から言えば「ロイヤリティを本部に支払って経営サポートを受ける」こと自体は可能ですが、「本部の名義をのれん分けの形で利用して、人材紹介を行う」ことは名義貸しに抵触するためNG。またフランチャイズの個人、法人自身も人材紹介の免許を取得している必要があります。
人材紹介の起業には、求人データベースなど事業運営の円滑化をサポートするSaaS型のサービスもあります。フランチャイズで人材紹介を始めたい方は、フランチャイズのデメリットもよく検討したうえで開業準備を進めることをおすすめします。
※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
編集部では、人材紹介に関する様々な情報を無料で提供しています。お気軽にご登録ください!