不景気に備えて人材紹介事業者が今できること
人材紹介事業者の皆様であれば、誰しもが恐れ、なんらかの備えをしなければと焦燥感すら抱いているのが、「不景気」ですね。もちろんこのまま日本が景気の安定性を保ってくれることがベストですが、リーマンショックのような不景気はいつ訪れるか分かりません。ご経験された方も多くいらっしゃるとは思いますが、大きな景気変動が起きると、人材業界を取り巻く環境は一変します。今通用していることの多くのことが、通用しなくなります。
本記事は、そんな景気変動に備え、人材紹介事業者が”今からできること”というテーマで書いています。いつ来るか分からないことを過度に恐れることに意味はありませんが、備えあれば憂いなしという言葉もあるように、今からできる対応策について考えていきたいと思います。
景気変動で人材紹介事業者に起こること
まず、間違いなく採用ニーズが縮小していきます。求人企業の新規契約が難しくなるばかりか、採用要件も当然のように高くなります。
その一方で、転職ニーズは高くなります。自主的な転職以外にもリストラなどで転職する人が増えていき、転職マーケットが求職者で溢れかえっていきます。しかし、推薦先の求人企業が減少しているため、面談数の確保は容易になるものの、選考数や内定数が伸び悩みます。
つまり、成約数が落ち込んでいくため、会社の売上も減少していきます。またエージェント個人に目を向けると、今まで成果を出していたエージェントが成果を出せなくなることも想定されます。マーケットのルールがガラッと変わり、必要とされるスキルや経験にも大きな変化が起きるからです。
では一体、私たちは何を準備すれば良いのでしょうか。
切っても切れないクライアントを作る
求人企業は景気変動が起き、採用が縮小すると、1求人企業がやり取りをする人材紹介会社の数を縮小することは容易に想像ができます。採用絶対数が減少する中で、多くのエージェントとのやり取りを続ける行為には、費用対効果が見合わなくなるからです。つまり、今までの実績を鑑み、信頼できない(成果が期待できない)エージェントとのやり取りを停止する求人企業が増えるはずです。
そうなった時に、あなたの会社は生き残り続ける自信がありますか?
「表面上のマッチングではなく、事業課題の解決のために本質的なマッチングの提供ができている」
「人事担当者だけでなく、経営層や事業部長との関係性もあり、信頼関係が出来上がっている」
このような価値提供ができていると自信を持って言える紹介会社は、いくつかの紹介先を確保することができるでしょう。これに会社の規模は関係ありません。不景気という求人企業側も生きるか死ぬかという状況の中では、他者と違った価値を提供してくれるという信用があるエージェントだけ取引を続けるはずだからです。
本質的な価値提供を追求する努力をすることは、決して今からでも遅くはありません。これは不景気以外の状況でも、自社に成果として返ってくる努力です。
求職者提供価値を追求する
景気が変動すると、転職に困る求職者が急増します。つまり転職マーケット上で、なんとしてでも転職したいというニーズが増加します。しかし、現状のような売り手市場とは違い、転職サイトから求人案件は減少していくでしょう。「良い人しか採用しない」というニーズの中で、イニシャルコストを払って求人広告を掲載するという採用施策に、費用対効果が見合わなくなってくるからです。
そこでエージェントの介在価値が出てきます。もし本質的なキャリアコンサルティング、もっというと、不景気でも求職者の強みを適切に引き出し、適切な求人案件を紹介し、内定に導くスキルの価値が今以上に上昇します。これは、今の事業スキームとは違い、求職者側からキャリアコンサルティング費用として、マネタイズすることが可能になることを示しています。
つまり、案件自体が減り、求人企業からの人材紹介手数料という売上が減少したとしても、転職市場に溢れかえる求職者からのキャリアコンサルティング費用として、売上を立てていくことができる可能性があるということです。これは不景気になってからできることではなく、現状から求職者への提供価値を追求していないと、信用や実力が伴わず、うまくいかない可能性が高いです。今から求職者への提供価値を見直し、追求していく必要があります。
まとめ
そのほかにも、不景気へのリスクヘッジとして、新規事業で別のキャッシュポイントを生み出している人材紹介事業者も多くあります。例えば、派遣事業にて安定的な収益を確保しようとしている事業者、現状のアセットを活かし全く異業種の事業にチャレンジしている事業者などです。
新規事業にチャレンジするのも選択肢の一つですが、このように既存事業での各ステークホルダーへの提供価値を最大化することも選択肢の一つなのです。ぜひこの機会に、「今お付き合いしている各ステークホルダーは不況が訪れた際にも、自社との関係性を継続してくれるのか?」という問いを自分自身、そして自社に投げかけてみてください。
一定数のステークホルダーが思いつく場合には、不況がきても生き残っていける地盤がある企業と言えるかもしれません。もしくは割り切って、求人の部分は外部データベースを利用し、求職者への提供価値にフォーカスして検証していく方法もあります。立ち上げ時期は出来るだけ外部リソースも使いながら、軌道修正ができる状態を保っていくことが重要なのです。
※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。
編集部では、人材紹介に関する様々な情報を無料で提供しています。お気軽にご登録ください!