派遣事業者が人材紹介事業立ち上げ時に注意すべきこと
人材派遣事業者による人材紹介事業の立ち上げ事例が急増していることは、以前人材紹介マガジンでも取り上げました。
しかし、派遣事業者が紹介事業を立ち上げる際には、気をつけるべき点がいくつかあります。多くの場合は、派遣事業で培ったノウハウや知識を紹介事業にそのまま転用しようと考え、やり方を固執してしまった結果、失敗してしまうケースが多いのです。つまり、派遣事業と紹介事業は全くの別物という意識をもち、事業運営をする必要があります。
本記事では、これから紹介事業の立ち上げを考えていらっしゃる派遣事業者の方向けに、事業立ち上げの際に注意すべきポイントについて解説しています。
紹介事業と派遣事業は全くの別物
当たり前のことですが、紹介事業と派遣事業は全く別の事業です。そもそものビジネスモデルも違えば、対象とする顧客(企業と候補者共に)の属性も全く違います。
また、一コンサルタントに必要なスキルを比べてみても、それぞれ全く異なるスキルが必要です。紹介事業は入社まで導く”交渉力”が成果を出す上で重要なスキルになる一方で、派遣事業は派遣稼働決定後のサポートや調整力が重要なスキルとされます。これはビジネスモデルの違いから異なってくる部分ですが、ビジネスモデルが違えば、対象とする顧客や従業員に求められるスキルなど、何から何まで全く異なるのです。
しかし、同じ人材関連の事業ということもあり、これらを混同したまま、事業を立ち上げてしまうケースが多く、事業混同の先にはなかなか成功が見えづらいのが事実です。
アセットを活かせる範囲は限定される
また、派遣事業者が紹介事業を始める理由として多いのが、「派遣のデータベースの中で、正社員ニーズが出てきた場合に人材紹介をしたい」というものです。これは派遣事業で培ったアセットを活かしたいという意図がありますが、紹介事業における求職者集客に派遣のデータベースは活かせないと思った方が良いです。
派遣で働いていた方の希望条件は、正社員で仕事を探す時との希望条件と全く異なるからです。また、企業が正社員採用で求めている採用要件とのミスマッチも多くなってしまうことも難しい要因なのです。派遣と同様のデータベースを用いた人材紹介事業は、決定が生まれづらいのです。
しかし、集客ノウハウなどは、紹介事業に転用できるケースもあります。LP(ランディングページ)を用いたリスティング広告での集客ノウハウなどは、うまく転用すれば形になります。つまり、派遣で集めた求職者データの活用は困難ですが、集客のためのノウハウなどは転用できる可能性が高いのです。派遣データベースのそのままの活用は諦め、そのプロセスやノウハウ部分を紹介事業に転用できることがないのか考えた方が良いのです。
従業員のマネジメントを切り分ける
さらに、冒頭で少し触れたように、従業員に求められるスキルも変わってきます。派遣事業者が紹介事業を立ち上げる際に多いのが、キャリアアドバイザーなどの紹介を運営するスタッフを、派遣事業部から異動させてくるというパターンです。しかしこれは先述したような理由から、すぐには活躍することは期待できません。「人材経験者だから即戦力になる」という考えでは、事業進捗にも影響が出るばかりか、従業員にも多くの負担をかけることになってしまいます。
もっとも効率的なのは、外部からの紹介事業経験がある従業員の雇用ですが、それが難しい場合は、「派遣と紹介は全く違う事業だ」ということを前提にした上で、従業員のマネジメントをするようにしましょう。
まとめ
今回は急増している派遣事業者による紹介事業の立ち上げ時の注意点について、解説しました。未経験で紹介事業の立ち上げも増加傾向にある昨今では、派遣事業者の方は事前の知識やノウハウという意味では有利な部分もあるのかもしれません。
しかし、うまくいかないケースは、双方の事業を混同してしまうことなのです。まずは双方の事業を全く別の事業だと認識し直した上で、派遣事業の中で紹介事業に活かせる部分を取り入れていくという考え方をしなければ、成功は難しいでしょう。
派遣事業者様が人材紹介を始める時、求人データベースを利用する企業様が増えています。こういったサービスを使うことで事業を素早く伸ばしていくことが可能です。
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