紹介事業立ち上げ時に考えるべきポジショニング戦略とは
これから紹介事業を立ち上げようとしている皆様、ポジショニング戦略の設計はお済みでしょうか。全国で約2万社と、日本のコンビニの数ほどの競合がひしめく人材紹介市場の中で、ポジショニング戦略がないまま戦うことは無謀と言っても過言ではありません。
顧客と求職者の双方に自社独自の価値提供をし続けた結果、双方から選ばれ続ける人材紹介事業者にならなければ、この群雄割拠の戦国時代に生き残っていくことは大変難しいのです。左右どちらをみても対人ビジネスである人材紹介事業は、事業上の数値の因数分解ではシンプルで簡単に見えるかもしれませんが、そんなに甘い事業ではありません。
本記事では、紹介事業立ち上げ前の方々、もしくは紹介事業立ち上げ中の事業者の方々に向けて、紹介事業に必須と言っても過言ではない「ポジショニング戦略」について解説していきます。
ポジショニング戦略とは?
ポジショニング戦略については、下記の定義がもっともわかりやすいので、引用します。(※グロービス・マネジメント・スクール|MBA用語集より引用)
ポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に、自社製品について独自のポジションを築き、ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動。顧客に自社製品のユニークな価値を認めてもらうことで、競合製品に対して優位に立つことを目的にしている。
これをもっとも簡略化すると、競合他社との差別化戦略のことを指しているといえます。しかし、人材紹介には商品がないマッチングビジネスであり、それぞれからの見方によっては、それぞれが商品となり得ます。これは、双方にとって差別化ポイントが必要になることを指しており、双方が密接に繋がっている人材紹介事業だからこそ、ポジショニング戦略が重要なのです。
つまり、どのような層の求職者を集客し、どのような層の求人情報を開拓するのかを、自社の特徴や強みを考慮した上で、設計する必要があるのです。
どのようにポジショニング戦略を設計するべきか?
ポジショニング戦略を設計するには、下記3点を考慮して設計する必要があります。
- 自社の特徴や強み
- 競合他社の現状と今後の変化
- 転職市場(求職者や採用企業)の現状と今後の変化
まずは、何より自社の特徴や強みを理解する必要があります。人材紹介事業の場合は、特化する業界や領域を決める際に、創業メンバーが在籍していた業界や職種に特化する場合が多いです。なぜなら、経験してきた領域に特化することで、知識が豊富なだけでなく、その領域の転職者ならではのニーズも容易に理解することができるからです。それ以外にも、オフィスを構える場所、創業者の理念や想い、そしてストーリーなどを考慮して、ターゲット領域を決めていく事業者が多いです。
続いては、競合他社の現状と今後の変化を分析する必要があります。いくら自社が強みを持っている領域だとしても、競合他社がひしめいていたり、大手などの強豪揃いの領域では、立ち上げたばかりの事業者がそこで独自のボジションを築くことは決して容易ではないからです。現状を分析した上で、今後その領域に参入してくる事業者がどれくらいありそうかという未来も予測した上で、設計するようにしましょう。
最後に、転職市場の現状や今後の変化も分析する必要があります。そもそも転職する人が多い業界なのか、その業界からどのような転職軸で、どのような企業に転職する人が多いのかという求職者のニーズも加味した上でのポジショニング戦略が必要です。そしてこの転職市場の流れは時代によって大きく変化します。この変化も予測した上で、自社がどの領域にポジションをとっていくべきなのかを設計していくべきなのです。
設計するときに気をつけるべきこと
最後に戦略設計時に気をつけるべきことについてあげておきます。
まずは戦略設計時は、「細分化」が重要な要素です。自社のポジショニング戦略は、各フェーズにおいて機能するのかという検証が必要なのです。求職者サイドでいうと、求職者集客時、面談時、そして内定承諾時など、それぞれのフェーズで自社の差別化ポイントが機能するのか思考する必要があるということです。また求人企業サイドでも、同様に各フェーズで思考が必要になります。
そして最後に、そのポジショニングが、全体を見渡した時に違和感がないものになっているかもチェックする必要があります。とってつけたような、謳い文句や訴求ポイントは、求職者や求人企業に簡単に見抜かれてしまいます。一歩引いて見てみた時に、一本筋が通っているのかの確認も忘れずにするようにしましょう。
まとめ
多くの競合がひしめく人材紹介事業だからこそ、ポジショニング戦略はとても重要です。事前にこの戦略を設計できているのかで、事業収益化のスピードは大きく変わります。そして失敗をした時の改善や軌道修正のスピードも早くなります。
また戦略を設計するには、多くの業界知識と、業界経験が必要です。多くの企業様が知識がないために、戦略設計を怠り、1年以内に事業をたたんでいるケースが多いのも事実なのです。紹介事業における戦略設計の経験がない事業者の方々は、知人に聞いたり、外部セミナーに参加して、事業開始前に成功と失敗パターンを知り、自身の戦略設計に役立てるようにしましょう。
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