【人材業界担当者向け】求人広告の「営業」のコツとは – 闇雲なテレアポに意味はある?
求人広告代理店のビジネスモデルは、広義の意味では「人材関連のマッチングビジネス」であり、人材紹介業の営業と相通じる部分があります。
一方で、一件当たりのマッチングで得られる利益「額」に大きな差があることが特徴。求人広告代理店が、求人意欲が高い法人を対象とした営業のノウハウを強みに人材紹介に参入する例もあります。
今回は「求人広告の営業のコツ」や「求人広告代理店の将来性」を解説します。
求人広告代理店のビジネスモデル
求人広告代理店のビジネスモデルは、媒体社の求人広告枠に関する「マッチングビジネス」です。
たとえば求人広告の掲載料金が「100万円」の媒体の取り扱いを行う場合、以下のような流れで取引が進みます。
1.求人広告代理店は広告枠の「販売権契約」を媒体社と結ぶ
2.代理店は媒体社の広告枠を、求人募集を行っているクライアントに売り込む
3.100万円での掲載契約が決まった場合、代理店は自社のマージンを差し引いた金額を媒体社に支払う
なお、代理店のマージンは「30%」前後に設定されることが多いです。よって上の取引の場合、代理店のマージンは30万円前後となります。
ちなみに近年は求人広告にも、運用型広告のテクノロジーが適用されることが増えています。セグメントにもよりますが、広告枠の代金は下降傾向。よって「100万円での掲載契約」が次々決まるということはなく、扱う枠の代金が10万円前後まで下がることも。
つまり「法人営業コストに対して、自社マージンの額が小さいケースがある」ことは大きな難点です。
【媒体社編】求人広告の「営業」の基本的な進め方
求人広告代理店のビジネスの核は「扱う媒体社の広告枠」と「クライアントの獲得」。「優れた広告枠を確保する」ためにも「新規クライアントを獲得する」ためにも、キーとなる人材は営業です。
「対媒体社」の求人広告営業の進め方は以下の通りです。
1.媒体社リストを作成する
2.新規顧客開拓をする
3.商談とフォローアップを行い、広告枠の販売権に関する契約を結ぶ
4.求人広告を実際に掲載するクライアントを獲得したうえで、原稿の掲載を行う
5.自社が受け取るマージンを差し引いたうえで、媒体社に支払いを行う
なお「媒体社リスト」作成は、基本的には仕事情報誌などへの掲載を想定しています。
しかし「純広告」ではなく、Indeed(インディード)など求人検索エンジンを対象とする「運用型広告」の案件も増えてきている点も要注目です。後述しますが、広告運用スキルを持つ求人広告の営業担当者は人材としての価値が高まってきています。
【クライアント編】求人広告の「営業」の基本的な進め方
「対クライアント」の求人広告の営業の基本的な進め方は、以下の通りです。
1.営業リストを作成する
2.新規顧客開拓をする
3.商談とフォローアップを行い、契約を結ぶ
4.広告原稿の制作をする
5.求人広告を掲載し、成果をレポーティングする
特に重要なステップは、営業リストの作成。
営業リストには「業績が好調かつ求人ニーズが高い」企業の情報が大量にまとまっていることが求められます。リストの「質」だけを求めても、リストの母数が数十件程度であれば成約が取れる可能性は必ずしも高くはありません。アナログなようですが「量」も重要視しましょう。
求人広告の営業の「テレアポ」のコツ
特に「対クライアント」の新規顧客開拓の場合、2021年現在でも「テレアポ」は営業手段として重要視され続けています。
法人との貴重な接点である上、特に「新規開拓」の場合、自社と強い接点がない事業者と繋がるためには「テレアポが効率的」という場合も少なくないためです。
テレアポの成果を上げるためには、以下の4項目を検討するのがおすすめです。
・1時間当たりの電話件数
・テレアポに割くことができる「時間」
・受付の突破率
・トークスクリプト
たとえば「電話件数」も「かける時間」も十分であるにもかかわらず、受付の突破率が低く成約数が伸びない場合は「受付」ではない電話番号を収集することから始めるべきかもしれません。名刺交換会に出席したり、勉強会で他社と接点を作るといったことが有効です。
トークスクリプトについてはこちらでも解説しています。
求人広告営業は「離職率が高い」?
求人広告営業は「離職率が高い」とされることが多いです。入社3年以内で求人広告営業は8割が離職するとも言われています。
求人広告代理店のビジネスモデルが「営業」に依存する点が多いため、営業職への負担がかかりやすいことが一因です。特に求人広告代理店はマージンが30%であることに加え、アルバイト関連の求人広告を扱う場合は単価がさらに下がります。
求人広告営業は「無形商材」を扱う営業職のため、有形商材を扱う営業職よりも「セールスの難易度が高い」と見なされるケースが多く、転職市場での評価は高いです。よってより負荷が小さく、マッチング当たりの単価が高いビジネスモデルの企業に転職することもあります。一例には人材紹介業が挙げられます。
求人広告営業担当者の主なキャリアパスとは
前述の通り、人材紹介業の運営企業への転職は「求人広告営業担当者の主なキャリアパス」に挙げられます。
求人広告営業との違いとしては、「キャリアカウンセリング」の重要性が大きく増すこと。キャリアコンサルタントとして直接的に求職者のサポートをする場合、当人が希望するキャリアや転職先に求める条件のヒアリングを正確に行わなくては「早期離職」のリスクが高まります。
リクルーティングアドバイザーとなる場合でも、キャリアコンサルタントとの連携が求められるため「キャリアカウンセリング」への深い理解度は重要です。
人材紹介業の営業担当者に転職する場合は、キャリアコンサルタントの国家資格の取得をおすすめします。
求人広告代理店の将来性
最後に、求人広告代理店のビジネスモデルの将来性について解説します。
主に仕事情報誌の「純広告」などを扱う求人広告代理店の需要は、減退傾向にあります。紙媒体の求人広告は「どれだけ申し込みに繋がったのか」正確な効果測定が難しいことに加え、ウェブ広告と比べてセグメンテーションが緩くなりやすいことがネックです。
そのため仕事情報誌や求人サイトへの広告出稿は、少しずつIndeedなど求人検索エンジンの運用型広告に置き換えられているのが現状です。今後は求人広告代理店の営業担当者にも、運用型広告のスキルが求めれるようになるでしょう。
将来的に課題となるのは「収益性」です。
運用型広告のスキルと法人営業を兼ね備えた事業者にとって、求人広告のマッチングが「収益性の観点で見合うか」は微妙です。たとえば100万円の広告案件を取り扱っても、自社へのリターンは30万円です。先述の通り、アルバイトなどの案件ではより単価が下がり、10万円代ということもあります。
たとえば人材紹介業であれば、年収300万円の人材のマッチングに成功すれば自社の見込み収益は90万円~100万円です。求人広告代理店が自社のリソースを横展開することで手掛けられる「収益性の高い事業」として、今後、人材紹介業を手掛けるケースは増えてくるでしょう。
まとめ
求人広告代理店の営業のコツを「対媒体社」「対クライアント」に分けて解説しました。求人広告代理店の営業成果の向上や、ビジネスモデルの検討の参考に役立ててください!
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