人材業界に向いている人・向いていない人を解説!人材業界の理想と現実も
人材業界の企業が求める人物像や「向いている人」「向いていない人」。また人材業界で働くやりがいや将来性について解説します。
人材業界は、コミュニケーション能力に強みを持つ「知的好奇心が旺盛」な人にとっては大きなチャンスがある業種。特に人材紹介業は高利益率が見込める業種で、起業・開業の敷居も下がっています。
人材業界に向いている人・向いていない人について、1つ1つ解説します。
人材業界に向いている人・向いていない人とは?
人材業界は「コミュニケーション能力が高い人」や、多くの職種や業種、ビジネスモデルについて研究することが好きな「知的好奇心が旺盛な人」にとっては大きなやりがいが感じられる業界です。
一方で、人材業界の企業が求める人物像と異なる人にとっては「ハード」「辛い」と感じることもある仕事でしょう。
1つ1つ「向いている人」「向いていない人」の人物像を解説します。
人材業界とは
人材業界とは、雇用者(企業)と被雇用者(個人)の仲介サービスを提供する業種です。
仲介の形は多種多様。
- 人材を紹介する
- 人材を育成する
- 人材を評価する
- 人材を支援する
など多くの役割があり、いずれも人材業界の事業範囲に該当します。
2019年度時点では、人材業界の市場規模は6兆6,800億円。2019年度の広告業界の規模に匹敵するマーケットです。
こちらの記事ではコロナ禍の有効求人倍率低下や国内市場の中長期的な展望を踏まえた上での、人材ビジネスの展望や役割をまとめています。
人材業界の分類
人材業界には下記のような業態が存在します。
- 人材派遣
- 人材紹介
- 再就職支援
- 求人広告
- 人材コンサルティング
- HRテック
その中でも、主要3業種と呼ばれるのが「人材派遣」「人材紹介」「再就職支援」の3つです。
主要3業種の市場規模はこちらの記事でまとめています。併せて参考にしてください。
人材業界の企業が求める人物像・向いている人
人材業界の企業が求める人物像や「向いている人」の特徴は、以下の通りです。
コミュニケーション能力に長けている
人材業界で、営業やキャリアコンサルタントとして働く際には「高いコミュニケーション能力」は必須です。その大きな理由は、人材業界は人の労働力や知識、技術力など「無形商材」を扱う業種であること。
まず労働力や知識などの「人」に関する無形商材を扱うには、その当人からの信頼を得ることが大切です。
求職者(個人)にとって、転職は人生の大きな転機です。信頼していないキャリアコンサルタントや営業に、自らのキャリアを託す人は多くはないでしょう。
そして、労働力や知識は目に見えないものです。
よって求人者(企業)に、商材の魅力を感じてもらうためのハードルが低くありません。
労働力や知識そのものをしっかりとアピールできなくては、求人者(企業)に「魅力的」と感じてもらうことができないからです。
相手からの信頼をきちんと勝ち取ることができる対人コミュニケーションの能力が、直接的に問われる仕事だと言えるでしょう。
行動力がある
人材業界は「人のキャリア」を扱う業種です。
よって前述の通り、営業やキャリアコンサルタントは、その当人からの強い信頼を得ることが大切。従来はオフィスで、面談を対面で行うといったことを通じて、営業と求職者(個人)、求人者(企業)は信頼関係を築いていました。
コロナ禍では、多くの転職エージェントがキャリアカウンセリングや面談をオンラインに切り替えました。
オンラインのやりとりは便利な反面、ビデオ通話越しで話している当人同士でも「その人の雰囲気」や「微妙な仕草」を感じ取りづらいものです。信頼関係を築くには、時にはそうした「雰囲気」や「微妙な仕草」が重要な意味を持つこともあります。
対面ではないやりとりが続くからこそ、こまめに通話の機会を設けたり、チャットを1つ送るにも温かみが感じられるような文面を意識するといったことが大切です。
もちろん「ここぞ」というタイミングでは、あえて対面で話をできる機会を設けることも重要です。
知的好奇心が旺盛
人材業界は、多種多様な業界・職種の求人案件を扱います。
たとえば「総合型」と呼ばれる、あらゆる職種を扱うエージェントでは全方位的に求人を取り扱います。
時には営業やキャリアコンサルタントにとって、馴染みのない業界の求人案件のマッチングを依頼されることもあるでしょう。
その場合、ゼロからきちんと業界について学び「どのような適性を持つ人材を紹介することで、マッチングが成立する可能性が高いか」を分析する必要があります。
様々な業界の様々な職種について、学び続ける意欲があることが望ましいです。
仮説思考ができる
多くの人は、結論を出す前に「必要な情報を全て集める必要がある」と考えます。情報が多ければ多いほど、質の高い結論を導き出せると考えるためです。
しかし、膨大なデータを集めるには時間がかかります。そしてデータを集めたとしても、そこから最適な結論を導き出せるとも限りません。
何よりも「データを集める時間」「分析をしている時間」は、求職者(個人)と求人者(企業)のマッチングそのものは何一つ進展していないことに注意が必要です。
求人者(企業)は「人手不足」「高度なマネジメントを任せられる人材がいない」など、様々な課題を抱えています。
この課題を最速で解決することを優先することが、クライアントに大きな価値を提供することに繋がります。
証明はされていないが「問題を解決できる可能性がある仮説」をいくつか頭の中で組み立て、仮説を検証するために必要なデータのみを後からリサーチするということを意識しましょう。
メンタルが強い
特に新人の頃は、1日の電話件数やアポイント件数といったKPIを追って、電話営業やメール送信を繰り返すことが多いでしょう。
アポイント件数を追い続けるうちに「なんのためにこのような仕事をしているのか」と仕事の目的を見失ってしまうケースもあります。人材業界で働く目的意識を明確にもち、厳しい仕事にも耐え抜ける精神力が求められます。
また、時には「求職者(個人)とキャリアコンサルタントの相性が悪い」といったことも起こります。
ちょっとした意見の食い違いや認識の齟齬が、トラブルやクレームに発展してしまうこともあるでしょう。
無論、トラブルは可能な限り未然に防ぐことがベストです。とはいえ人材業界には、人と人の信頼関係が重視される側面があります。信頼関係が思うように構築できない時もないわけではありません。
トラブルやクレームが発生した時には、問題を速やかに解決し、再発防止に努めつつも「必要以上jにショックを引きずらない」ことも大切です。
人材業界に向いていない人
人材業界に「向いていない」「適性がない」と見なされやすい人は、下記のような人です。
テンションが高いノリが苦手
人材業界では、多くの人の面談やキャリアコンサルティングを行います。
キャリア支援を求める求職者(個人)の中には、テンションが高いノリの人もいます。
テンションが高いノリの人と接するとき、表情や言葉遣いに苦手意識が現れてしまう人はこうした個人のキャリア支援に適性がないと言えるでしょう。
オールマイティーに様々なタイプの人と、分け隔てなく接することができる人材が基本的には重用されます。
受け身の姿勢
各社の採用動向や求める人材像は、日々変わります。市場動向を能動的に調べ、自分なりに分析したり、勉強会やセミナーに出席するといった姿勢が求められます。
業界動向を知らずに、各社の担当者と接すると「古い情報しか知らない」「自社の採用ニーズを理解してもらえなそうだ」と認識されてしまうこともあります。
先にも書いた「仮説思考」を大事にし、特にクライアントの問題解決に繋がりえる可能性が高い情報は日々チェックしましょう。
淡々と仕事をこなすタイプ
人材業界は面談やキャリアコンサルティングなど、対人の業務が非常に多いことが特徴です。
事務作業などルーティンに沿った業務の比重は小さく、なおかつそうした業務はHRテックの導入によって自動化や簡易化が進んでいるのが現状です。
よって淡々と仕事をこなすタイプよりは、臨機応変に様々な業務を楽しみながらこなせるタイプが求められます。
トラブルや急激な状況の変化にパニックになる
人材業界は、景気変動の影響を受けやすい業界の1つです。
好況時には多くの企業が採用を拡大する一方で、不況時には採用枠が絞り込まれます。特に採用枠が縮小される傾向が強いのは、実務未経験者などを対象とした「ポテンシャル採用枠」です。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、人材業界にも及んでいます。こちらの記事では求人数の減少について、詳しくまとめています。
不況時には、内定取り消しや各社の求人募集の取りやめも続きます。
こうした急激な状況の変化にも「人材業界のビジネスモデル上、避けられないことである」と認識した上で、淡々と向き合い、業務を進めることができる能力も大切です。
パニックになり強引に求職者(個人)と求人者(企業)のマッチングを成立させようとすると、双方からの信頼を毀損してしまう可能性もあります。
人材業界の理想と現実
ここからは人材業界の理想と現実を見ていきます。
人材業界を志す人は「学生のキャリアサポートがしたい」「求職者に最大限寄り添った人材紹介をしたい」といった夢を持っていることが多いです。
そうした夢はとても大切なものです。
しかし実際に人材紹介業を行う中では、時には「割り切り」も大切です。「人材」を扱う難しさや、企業との調整業務の難しさは事前に理解しておきましょう。
「一人一人のキャリアと深く向き合う仕事がしたい」
特にキャリアコンサルタントを志望する方は「一人一人のキャリアと深く向き合いたい」と考えているケースが多いです。
この場合、一人一人のキャリアと向き合うことと「感情移入すること」は分けて考えることが大切です。
たとえば転職支援をしていた相手が音信不通になったり、面接を途中で辞退されるといったことは決して珍しくはありません。深く相手に感情移入すればするほど、相手に自分の気持ちを裏切られたように感じてしまうでしょう。
また、現実的には上層部から「数をこなすこと」を求められるケースも多いです。
営業職の場合、若手社員でも30社〜40社の求人案件を一人で受け持つこともあります。一人の求職者、一つの企業と長期的に向き合って採用支援を行うことは簡単ではありません。
こうしたジレンマとは、常に向き合い続けることになるでしょう。
「学生を相手にしたキャリアサポートがしたい」
ほとんどの企業では、社員がどの部署に配属されるかは上司の判断に一任されます。
入社前に「学生相手のキャリアサポートをしたい」と思っていたとしても、実際に配属される部署は再就職支援やヘッドハンティングなど別分野の業務だったということもありえます。
人材業界で働きたい理由が「求職者と求人者のマッチングを実現する」ことにあるのか、それとも「学生のキャリアサポート」にあるのかは、慎重に自分自身の心と向き合い、見極めるべきでしょう。
人材業界のやりがい・将来性
最後に、人材業界のやりがいや将来性についても解説します。
「人材紹介業」は高利益率の成長産業
人材業界の主要3業種の中でも、人材紹介業は高利益率の成長産業です。
人材紹介業の主なビジネスモデルは、マッチング成立時に発生する紹介手数料。
紹介手数料の相場は、紹介した人材の理論年収の30%〜35%。年収300万円の人材を紹介した場合、1名のマッチング成立ごとにおよそ100万円の見込み売上が発生します。利益率が高く、2009年度以降右肩上がりで市場規模が拡大しています。
こちらの記事では人材紹介業のビジネスモデルや手数料相場についてまとめています。
起業の敷居が下がっている
人材紹介業は、法改正によって起業の敷居が大きく下がりました。
2020年現在、人材紹介業はレンタルオフィスやシェアオフィスでも開業することが可能です。
また求人開拓も、クラウド型の求人データベースを活用することで不要。求人データベースに掲載されている求人案件に、求職者をマッチングさせることで即時に人材紹介業の運営が可能です。
こちらの記事では、人材紹介業の起業の方法や「そもそも儲かるのか」などの疑問に1つ1つお答えしています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
人材業界に向いている人、向いていない人のタイプについて解説しました。
人材業界の中でも人材紹介業は高利益率の成長産業で、起業の敷居も決して高くはありません。
人材業界に関心がある方は、ぜひ自分に「適性があるのか」をこの記事を参考に検討してみてください。
適性がある方にとっては、人材業界は高利益率の成長産業であり、大きなやりがいを感じられるでしょう。
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