

営業職は、数ある職種の中でももっとも「オールラウンド」なものの1つです。
優れた営業担当者が自社に在籍しているか否かは、その企業の売上に直結する事柄のため、不況下に一時的に求人数が減少したとしても比較的早期に採用ニーズが回復する傾向にあります。
今回は営業人材を中心に扱う人材紹介会社の立ち上げに関心がある方に向け、求職者集めや求人開拓のコツ。また新規参入の課題などを解説します。
営業人材に特化した人材紹介を始めるには「人材紹介の立ち上げ方」を知り、なおかつ求職者集めと求人者集めをセットで考える必要があります。
営業職は先にも書いた通り「オールラウンド」の職種。
まず、実績が豊富な人材は歓迎されます。
そして、第二新卒や未経験者を「経験不問」として採用する企業も多いです。
よって年収300万〜400万円の未経験者層をターゲットとした人材紹介を比較的立ち上げやすいことが特徴と言えるでしょう。
人材紹介会社の立ち上げ方そのものは、一般的な人材紹介業の起業と同じです。人材紹介業の起業の方法は、こちらの記事でまとめています。
人材紹介会社は個人事業主での開業も可能です。
営業人材の人材紹介会社を立ち上げる上で、知っておくべきことをまずは1つ1つ見ていきましょう。
営業とは見込み客に対して自社の商品やサービスを売り込み、売買契約などを結ぶ役割を担う職種です。
たとえばBtoB向けのサービスを自社が開発しているとすれば「どのようなロジックで見込み客リストを作成し」「どのようなアプローチでセールストークを行うのか」「どのようなスケジュールで営業を行うか」などの戦略設計から、実際の営業活動までがトータルで求められます。
人材紹介業の近年のトレンドは「二極化」です。二極化とは、人材紹介会社が狙う求職者のペルソナが「ハイクラス人材」「未経験者」の2パターンに大きく枝分かれしていることです。
二極化については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
「未経験者」にも「ハイクラス人材」にもアプローチしやすいのが、営業職です。
営業出身者のハイクラス人材は少なくありません。これまでの営業職としての実績を証明する目標達成率や売上高、太いパイプを持つクライアント名などを挙げることができれば、人材紹介会社経由でより良い条件での転職も可能でしょう。
そして、営業職はそれまでの実績がないとしても「意欲」が評価されやすい仕事でもあります。
営業職は、ITエンジニアや医療・看護、翻訳などの技術職や専門職ではありません。未経験からでも意欲があれば挑戦しやすく、経験不問の求人も比較的多い傾向です。
よって幅広いペルソナにアプローチできる職種として「営業」に特化した人材紹介には注目が集まっています。
営業分野の人材紹介立ち上げ・新規参入の課題は「求職者の品質の担保」です。
営業職は、ITエンジニア職のように「目に見える成果物」がある仕事ではありません。士業のように免許制度がある仕事でもありません。
求職者の「営業職としてのスキル」を評価する指標は、実はやや曖昧になりやすい傾向があります。
とはいえ、曖昧な指標や評価基準に沿って求職者集めを行うと、求人者(企業)とのミスマッチが起きやすく「早期退職に伴う返金リスク」などが生まれてきます。
求職者をどのような基準に沿って、どのように評価し、マッチングを行うのかという基準値を自社の中で固めておく必要があるでしょう。
人材紹介業のビジネスモデルは、マッチング成立時に求人者(企業)から支払われる手数料。手数料の目安は、マッチングした人材の理論年収のおよそ3割です。
では営業人材の理論年収は、どれくらいが平均値でしょうか。
マイナビ転職の調べでは、営業職全般の平均年収は418万円。(※1)
そして、「メディカル営業」「海外営業」など専門性の高い分野に特化した営業職では平均年収が非常に大きく底上げされます。
営業職全般を広く扱い、なおかつペルソナを「未経験者」とした場合は平均年収は300万円台前半へと低下するでしょう。
営業職の人材紹介業を始める場合は、営業職の中でも「どの分野の営業職」の求人を中心に扱うか戦略設計が求められるでしょう。
ここからは営業分野の人材紹介の主なビジネスモデルを紹介します。
まずはハイクラス人材に特化した営業人材紹介です。
営業職は、扱う商材によっても非常に大きく年収に差があります。高年収層が多い分野には「メディカル営業」「金融営業」「海外営業」などが挙げられます。
たとえばMR・MSなどのメディカル営業では、5年程度の実務経験があり高い提案能力と正しい医療知識を備えた人材であれば、30代で年収600万円を目指すことも可能。
年収600万円以上の人材に絞った人材紹介を行うことで、一件のマッチング成立ごとの見込み売上はおよそ180万円〜が期待できます。
未経験者・フリーターなどに特化したマッチングです。
未経験者歓迎・経験不問の営業職の求人を出している企業に対して、人材のマッチングを提案します。
たとえば近年、注目されている実務未経験の営業人材には「アスリート人材」があります。元アスリートのセカンドキャリア支援として、営業職などへの転身をサポートする形です。
人材紹介会社にとっては「アスリートのセカンドキャリア支援」というブランディングが可能。
採用先企業にとっても、元アスリートが在籍しているという付加価値が生まれます。そしてアスリート当人にとっては、スムーズなキャリアチェンジが可能です。
先にも書いた「元アスリートのセカンドキャリア支援」など、未経験者層を対象とした人材紹介で行われることが多いのが「研修との一体型」によるマッチングです。
未経験の人材に対して、短期集中型で研修を実施。即戦力人材へと育成した上で、採用先企業へと紹介。
未経験・フリーターの人材紹介よりも、高めの年収ラインを設定してマッチングするものです。
ここからは営業分野の求職者・求人者それぞれの開拓方法を解説します。
まずは求職者の集め方。
基本的には「スカウトメール」「求人サイト掲載」「LP作成」など一般的な人材紹介でよく使用される集客手法がメインとなるでしょう。
一般的な求職者集客手法は、こちらの記事で解説しています。
ITエンジニアや医療・看護などと比較し、営業職は間口が広く、求職者にとっても「応募しやすい」求人案件です。そのためターゲットを強く絞り込むことをしないならばこれらの手法で求職者は集まる可能性が高いです。
一方で、年収や保有スキル、経歴などで応募者をフィルタリングしたい場合にはより高度な工夫が必要です。
たとえばハイクラス人材を中心に集めたい場合は、facebookやLinkedInなどSNSを活用した人材のリストアップとヘッドハンティングが必要になる可能性があります。
こちらの記事では、facebookやLinkedInなどSNSを活用してハイクラス人材の獲得を実現している人材紹介会社の事例を紹介しています。
営業分野の求人開拓は、幅広い企業をターゲットにすることができます。営業職はどの分野の企業も人材を必要としており、優れた営業人材が在籍しているか否かは自社の売上を左右するためです。
まずは人材紹介会社向けの求人データベースを活用し、求人数を担保。その上で、どのようなターゲットに対して法人営業を行うかリソースの分配を検討するのがおすすめです。
立ち上げ直後から求人数を確保できる人材紹介業向けのサービス「求人データベース」についてはこちらの記事で解説しています。
営業人材に特化した人材紹介の始め方について解説しました。自社の人材紹介事業の方向性の参考にしてください。
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