人材紹介会社の収益を拡大するメディア
  • facebookでシェア
  • この記事をツイート
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEでシェア
市場動向
市場動向

2020年~2021年以降の人材紹介事業に起こる変化と課題・動向

日本にとって変化の年になるであろう2020年。人材紹介に起こる変化について書きました。人材の需給バランスの変化だけでなく、信用や評価の可視化による「選択の時代」などについて触れています。

2020年東京オリンピックの開催年以降には、ビジネスの様々な領域で大きな変化が起こると言われています。東京オリンピックに向けた企業の投資もひと段落し、これから現実に起こりうる問題を直視せざるを得ない状況がくるという見立てをしている人が多いです。

人材紹介事業者の方々も、この年以降の変化を恐れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。企業の採用の縮小による、売り手市場から買い手市場への変化など、その影響は計り知れません。

正確に未来を予想することは難しいという前提で、今後起きうる変化を予測し、最低限の準備をしておくことは必要です。本記事では、2020年以降に人材紹介事業に起こるであろう変化について、書いていきます。

人材紹介事業とは?

office

人材紹介事業とは求職者(個人)と求人者(企業)を仲介する事業です。採用の決定時に、求人者(企業)から所定の手数料を受け取るビジネスモデルです。
手数料の目安は、求職者(個人)の理論年収の30%~35%。2010年~2019年の9年間で市場規模が3倍以上に拡大しており、人材業界の中でも「最も収益性が高い」市場の1つです。
人材紹介会社の詳細なビジネスモデルなどについては、こちらの記事で解説しています。

2020年~2021年以降の人材紹介事業に起こる変化と課題・動向

人材紹介事業の人材の需給バランスが変化する

人材需給バランス 変化

冒頭にも少し例をあげましたが、オリンピックが終了した後には景気に変動があるという予測が散見されます。東京オリンピックに向けて投資をしていた企業が、今後の見通しが不透明になる中で、投資を縮小する企業が多くなるのが理由です。それに伴い、長期的なリスクにもなりうる人材の採用を縮小するのではないかという見立てが多いのです。

そんな中、求職者側にも変化が起きると思われます。日本のビジネス界において一つの節目でもあるオリンピックが終わり、キャリアを見つめ直した結果、転職を考える求職者も増加するかもしれません。

そうなると、超売り手市場と言われている労働マーケットに需給バランスは大きく変化します。つまり、今まで求職者集客に苦労していた紹介会社が、求人開拓に苦労することになるかもしれないということです。これは、経営に与える影響だけでなく、人材紹介会社に勤めている従業員に求められるスキルも大きく変化することでしょう。

 

人材紹介事業のビジネスモデルが変化する

人材紹介 ビジネスモデル 変化

上記の需給バランスの変化によって、人材紹介事業のビジネスモデルにも変化が起きる可能生があります。今までは企業側から理論年収の35%をもらうというビジネスモデルが一般的でした。これは昔からある慣習に根付いたビジネスモデルといえ、この採用手数料に対する合理性をうまく言語化できる事業者の方も少ないのではないでしょうか。とはいえ、今までは求人企業が自社にマッチする求職者を獲得することが難しく、採用に課題を抱えている企業に対して、価値提供をすることで、上記の金額の合理性を担保していました。

しかし需給バランスが変わった時に、主な価値提供先が「採用に困っている求人企業」から「転職に困っている求職者」に変化する可能性があります。今でも求職者に価値提供をしているという意識をお持ちの事業者の方々もいらっしゃるかとは思います。しかし、価値提供の対価としてお金をもらっているのは求人企業のみです。これから大きな変化が起こると、求職者からキャリアコンサルティング費用として、費用を受け取る企業が増えて来てもおかしくありません。

どちらにせよ、各事業者が自社の提供価値を見直さざるを得ない時期が近づいて来ているかもしれません。

 

「信用」が人材紹介事業者の間の差を大きくする

人材紹介 信用 可視化

今までは信用や評価などが可視化されておらず、求職者や求人企業が人材紹介会社を選択する際に、参考となる情報が少なかったという事実があります。しかし、職業安定法の改正により、各事業者がどのような実績をあげているかという情報が可視化されていくことが決定されており、今まで以上に、紹介会社が”選択されていく時代”が近づいています。

もちろん厚生労働省のデータだけでなく、エージェントに対する口コミや評判は、新しいササービスによって、どんどん可視化されていくでしょう。今までのように、スカウトサービスや求人掲載サービスを利用すれば、一定の集客を担保できる時代は終わりに近づき、今までの実績や満足度によって、より選択されていく時代がくることかもしれません。

 

組織から個人の時代へ

人材紹介 個人の時代

副業の解禁やフリーランスの増加などに代表される「個人の時代」と言われ始めて、様々な業界で組織から個人への影響力の転換が起きています。今後も「〇〇株式会社」にキャリア相談をする時代から、「〇〇さん個人」にキャリア相談する時代に変化していきます。

つまり、人材紹介事業者の中でもタレント化されたエージェントに、求人企業、求職者双方からの要望が集中していくことになります。そして今まで以上に、各エージェントが組織に所属するメリットがなくなっていき、個人単位で免許を取得して紹介事業を運営する事業者が増えていくでしょう。

 

人材紹介事業の将来性

最後に2020年~2021年以降の人材紹介事業の将来性と課題について考察していきます。

人材紹介事業は大まかには「人材の需給バランスが変化する中」で「タレント化されたエージェントに要望が集中しやすくなる」という傾向にあります。個人単位で免許を取得するエージェントが増加し、中小の人材紹介事業者が増加していくでしょう。

とはいえ中長期的には、人口ピラミッドの変化によって労働力人口の減少に人材業界は面します。つまり各事業者は、時代が変化しても一定のニーズがある「高度人材の育成」か、人口が増加傾向にある諸外国の人材をマッチングする「グローバル対応」。もしくは高齢者の活用へと徐々に舵を切っていく必要があるでしょう。

人材紹介マガジンを運営するagent bankのセミナーでは、人材業界の将来性も踏まえたうえでのターゲット戦略などについて詳しく解説しています。ウェビナー形式で閲覧が可能なため、お気軽にご視聴ください。

セミナー情報はこちら

まとめ

紹介事業者の経営者、そして紹介会社で働く個人、それぞれにこういった変化に対して、どう振る舞っていくのかというのが問われていく時代がすぐそこにやって来ています。

「こんな変化が起きるわけがない」という声も多数あるかもしれませんが、各業界ではこういった変化が既に起こっており、この流れは人材紹介にも流れてくる可能性は決して低くはありません。

この機会に、数年後の人材紹介ビジネスの変化に目を向けるきっかけになると幸いです。

下記記事が、法改正における変化について書いています。合わせてご参照ください。


※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

今すぐメルマガを登録する

編集部では、人材紹介に関する様々な情報を無料で提供しています。お気軽にご登録ください!

市場動向
市場動向
【最新】「人材育成・能力開発」業界のビジネスモデルと将来性、マネタイズのポイント
市場動向
【最新】「人材育成・能力開発」業界のビジネスモデルと将来性、マネタイズのポイント
市場動向
【最新版】人材業界の市場規模・業界地図とコロナ以後の動向
人材業界の市場規模、業界地図やコロナ以後の動向を解説します。人材業界の市場規模は7兆128億円。ただし2020年度はコロナ渦の影響で市場の縮小が予測されます。紹介するデータを分析に役立ててください。
市場動向
【最新版】人材業界の市場規模・業界地図とコロナ以後の動向
人材業界の市場規模、業界地図やコロナ以後の動向を解説します。人材業界の市場規模は7兆128億円。ただし2020年度はコロナ渦の影響で市場の縮小が予測されます。紹介するデータを分析に役立ててください。
市場動向
人材紹介業の歴史まとめ – 「これまで」と「これから」や技術革新の可能性
市場動向
人材紹介業の歴史まとめ – 「これまで」と「これから」や技術革新の可能性
市場動向
人材紹介業/人材業界で上場している代表的な企業一覧【15選】
市場動向
人材紹介業/人材業界で上場している代表的な企業一覧【15選】
市場動向
ベトナム人をターゲットとした人材紹介の動向・市場環境・起業の方法まとめ
市場動向
ベトナム人をターゲットとした人材紹介の動向・市場環境・起業の方法まとめ
市場動向
【2021年6月最新】有効求人倍率は1.13倍 – 完全失業率も改善
市場動向
【2021年6月最新】有効求人倍率は1.13倍 – 完全失業率も改善
市場動向
【2021年5月最新】有効求人倍率は前月比から横ばいも回復傾向顕著な地域も増加
市場動向
【2021年5月最新】有効求人倍率は前月比から横ばいも回復傾向顕著な地域も増加
市場動向
儲かる業界と儲からない業界の違いは?伸びる業種の見分け方・ビジネスモデルの分析手法
儲かる業界(業種)と儲からない業界(業種)の違いや、これから伸びる業種の見分け方やビジネスモデルの分析手法について紹介します。 記事の後半では、儲かる業界(業種)の具体例や、起業・事業立ち上げの際の注意点も解説します。
市場動向
儲かる業界と儲からない業界の違いは?伸びる業種の見分け方・ビジネスモデルの分析手法
儲かる業界(業種)と儲からない業界(業種)の違いや、これから伸びる業種の見分け方やビジネスモデルの分析手法について紹介します。 記事の後半では、儲かる業界(業種)の具体例や、起業・事業立ち上げの際の注意点も解説します。
市場動向
【2021年4月最新】有効求人倍率は前月比わずかに下降も新規求人数は回復傾向
2021年4月の有効求人倍率は、前の月をわずかに下回るもほぼ横ばいの水準が継続。一方で企業の新規求人が緊急事態宣言が初めて発令された2020年4月と比較して15%増加するなど、各社の採用意欲が徐々に回復し始めてもいます。 今回は、2021年4月の最新数値を1つ1つ紐解いていきます。
市場動向
【2021年4月最新】有効求人倍率は前月比わずかに下降も新規求人数は回復傾向
2021年4月の有効求人倍率は、前の月をわずかに下回るもほぼ横ばいの水準が継続。一方で企業の新規求人が緊急事態宣言が初めて発令された2020年4月と比較して15%増加するなど、各社の採用意欲が徐々に回復し始めてもいます。 今回は、2021年4月の最新数値を1つ1つ紐解いていきます。
市場動向
【21年3月および令和2年度最新】令和2年度有効求人倍率は46年ぶり下落幅。3月有効求人倍率は横ばい
2021年3月の有効求人倍率は横ばいながらもかすかな改善傾向があります。 一方で、令和2年度平均の有効求人倍率は前年度比0.45ポイント低下の1.10と1974年度以来の下落幅。改めて新型コロナのによる、経済へのダメージの大きさが浮き彫りになった形です。2021年3月及び令和2年度平均の有効求人倍率を読み解きます。
市場動向
【21年3月および令和2年度最新】令和2年度有効求人倍率は46年ぶり下落幅。3月有効求人倍率は横ばい
2021年3月の有効求人倍率は横ばいながらもかすかな改善傾向があります。 一方で、令和2年度平均の有効求人倍率は前年度比0.45ポイント低下の1.10と1974年度以来の下落幅。改めて新型コロナのによる、経済へのダメージの大きさが浮き彫りになった形です。2021年3月及び令和2年度平均の有効求人倍率を読み解きます。