2020年~2021年以降の人材紹介事業に起こる変化と課題・動向
2020年東京オリンピックの開催年以降には、ビジネスの様々な領域で大きな変化が起こると言われています。東京オリンピックに向けた企業の投資もひと段落し、これから現実に起こりうる問題を直視せざるを得ない状況がくるという見立てをしている人が多いです。
人材紹介事業者の方々も、この年以降の変化を恐れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。企業の採用の縮小による、売り手市場から買い手市場への変化など、その影響は計り知れません。
正確に未来を予想することは難しいという前提で、今後起きうる変化を予測し、最低限の準備をしておくことは必要です。本記事では、2020年以降に人材紹介事業に起こるであろう変化について、書いていきます。
人材紹介事業とは?
人材紹介事業とは求職者(個人)と求人者(企業)を仲介する事業です。採用の決定時に、求人者(企業)から所定の手数料を受け取るビジネスモデルです。
手数料の目安は、求職者(個人)の理論年収の30%~35%。2010年~2019年の9年間で市場規模が3倍以上に拡大しており、人材業界の中でも「最も収益性が高い」市場の1つです。
人材紹介会社の詳細なビジネスモデルなどについては、こちらの記事で解説しています。
2020年~2021年以降の人材紹介事業に起こる変化と課題・動向
人材紹介事業の人材の需給バランスが変化する
冒頭にも少し例をあげましたが、オリンピックが終了した後には景気に変動があるという予測が散見されます。東京オリンピックに向けて投資をしていた企業が、今後の見通しが不透明になる中で、投資を縮小する企業が多くなるのが理由です。それに伴い、長期的なリスクにもなりうる人材の採用を縮小するのではないかという見立てが多いのです。
そんな中、求職者側にも変化が起きると思われます。日本のビジネス界において一つの節目でもあるオリンピックが終わり、キャリアを見つめ直した結果、転職を考える求職者も増加するかもしれません。
そうなると、超売り手市場と言われている労働マーケットに需給バランスは大きく変化します。つまり、今まで求職者集客に苦労していた紹介会社が、求人開拓に苦労することになるかもしれないということです。これは、経営に与える影響だけでなく、人材紹介会社に勤めている従業員に求められるスキルも大きく変化することでしょう。
人材紹介事業のビジネスモデルが変化する
上記の需給バランスの変化によって、人材紹介事業のビジネスモデルにも変化が起きる可能生があります。今までは企業側から理論年収の35%をもらうというビジネスモデルが一般的でした。これは昔からある慣習に根付いたビジネスモデルといえ、この採用手数料に対する合理性をうまく言語化できる事業者の方も少ないのではないでしょうか。とはいえ、今までは求人企業が自社にマッチする求職者を獲得することが難しく、採用に課題を抱えている企業に対して、価値提供をすることで、上記の金額の合理性を担保していました。
しかし需給バランスが変わった時に、主な価値提供先が「採用に困っている求人企業」から「転職に困っている求職者」に変化する可能性があります。今でも求職者に価値提供をしているという意識をお持ちの事業者の方々もいらっしゃるかとは思います。しかし、価値提供の対価としてお金をもらっているのは求人企業のみです。これから大きな変化が起こると、求職者からキャリアコンサルティング費用として、費用を受け取る企業が増えて来てもおかしくありません。
どちらにせよ、各事業者が自社の提供価値を見直さざるを得ない時期が近づいて来ているかもしれません。
「信用」が人材紹介事業者の間の差を大きくする
今までは信用や評価などが可視化されておらず、求職者や求人企業が人材紹介会社を選択する際に、参考となる情報が少なかったという事実があります。しかし、職業安定法の改正により、各事業者がどのような実績をあげているかという情報が可視化されていくことが決定されており、今まで以上に、紹介会社が”選択されていく時代”が近づいています。
もちろん厚生労働省のデータだけでなく、エージェントに対する口コミや評判は、新しいササービスによって、どんどん可視化されていくでしょう。今までのように、スカウトサービスや求人掲載サービスを利用すれば、一定の集客を担保できる時代は終わりに近づき、今までの実績や満足度によって、より選択されていく時代がくることかもしれません。
組織から個人の時代へ
副業の解禁やフリーランスの増加などに代表される「個人の時代」と言われ始めて、様々な業界で組織から個人への影響力の転換が起きています。今後も「〇〇株式会社」にキャリア相談をする時代から、「〇〇さん個人」にキャリア相談する時代に変化していきます。
つまり、人材紹介事業者の中でもタレント化されたエージェントに、求人企業、求職者双方からの要望が集中していくことになります。そして今まで以上に、各エージェントが組織に所属するメリットがなくなっていき、個人単位で免許を取得して紹介事業を運営する事業者が増えていくでしょう。
人材紹介事業の将来性
最後に2020年~2021年以降の人材紹介事業の将来性と課題について考察していきます。
人材紹介事業は大まかには「人材の需給バランスが変化する中」で「タレント化されたエージェントに要望が集中しやすくなる」という傾向にあります。個人単位で免許を取得するエージェントが増加し、中小の人材紹介事業者が増加していくでしょう。
とはいえ中長期的には、人口ピラミッドの変化によって労働力人口の減少に人材業界は面します。つまり各事業者は、時代が変化しても一定のニーズがある「高度人材の育成」か、人口が増加傾向にある諸外国の人材をマッチングする「グローバル対応」。もしくは高齢者の活用へと徐々に舵を切っていく必要があるでしょう。
人材紹介マガジンを運営するZキャリア プラットフォームのセミナーでは、人材業界の将来性も踏まえたうえでのターゲット戦略などについて詳しく解説しています。ウェビナー形式で閲覧が可能なため、お気軽にご視聴ください。
まとめ
紹介事業者の経営者、そして紹介会社で働く個人、それぞれにこういった変化に対して、どう振る舞っていくのかというのが問われていく時代がすぐそこにやって来ています。
「こんな変化が起きるわけがない」という声も多数あるかもしれませんが、各業界ではこういった変化が既に起こっており、この流れは人材紹介にも流れてくる可能性は決して低くはありません。
この機会に、数年後の人材紹介ビジネスの変化に目を向けるきっかけになると幸いです。
下記記事が、法改正における変化について書いています。合わせてご参照ください。
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