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フルコミッション契約の人材紹介とは。名義貸しに該当する?法律違反?

    人材紹介会社がリクルーティングアドバイザーやキャリアコンサルタントと結ぶ「フルコミッション契約」について解説します。人材紹介業における「フルコミッション契約」は違法性が高く、成果報酬を組み込む場合にも固定給として「最低賃金」を保証することが現実的には必要となります。

    今回は、人材紹介会社がリクルーティングアドバイザーやキャリアコンサルタントと結ぶ「フルコミッション契約」について解説します。

    フルコミッション契約とは、一言で言えば「完全歩合制」のことです。キャリアアドバイザーらに対して歩合給を導入し、マッチング成立時に紹介手数料の一部を個々人の社員に還元する人材紹介会社は多く存在します。

    一方で、人材紹介業には「名義貸し」を禁ずる法律が存在します。よってフルコミッションによる業務委託契約で、キャリアコンサルタントを登用することは違法となります。

    では、歩合給を取り入れた契約形態で人材紹介業を運営するにはどのような手順を踏むと良いのでしょうか。

    1つ1つ見ていきましょう。

    人材紹介業における「フルコミッション契約」とは

    人材紹介業における「フルコミッション契約」とは、キャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーの完全歩合制のことです。

    求職者(個人)と求人者(法人)のマッチング成立時に、人材紹介会社への紹介手数料の一部がキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーに還元されるものです。

    後述するように、人材紹介会社の正社員の給与体系に歩合制を組み込むことそのものは違法ではありません。一方で、報酬を「完全歩合制」にすることは違法性が高いです。よって人材紹介会社の採用や給与体系に歩合制を採用する際には、慎重な制度の整備が必要です。

    「完全歩合制の営業マン」に近い契約形態

    フルコミッション契約は、いわゆる「完全歩合制の営業マン」に近い契約形態です。

    セールスに長けた営業職の人材は、固定給を受け取るよりも、営業成績に応じた成果報酬を受け取る方が収入が大きくなるケースが少なくありません。

    「完全歩合制の営業マン」には、2通りのパターンが存在します。

    1つ目は、固定給として最低賃金を保証したうえで、営業成績に応じた成果報酬を支払うもの。こちらのパターンは、厳密にはフルコミッション契約ではなく「固定給+出来高制」となります。

    2つ目は、正社員ではなく業務委託契約とした上で報酬のすべてを「成果報酬型」とするもの。

    なお人材紹介会社のキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーの給与に歩合制を取り入れる場合は、1つ目の「最低賃金を保証したうえでの歩合制」を採用する必要があります。

    詳細な理由は、記事の後半で解説します。

    フルコミッション契約の給与・待遇の相場

    フルコミッション契約の給与・待遇の相場は、おおよそ成果(粗利)の40%~60%程度が目安。

    人材紹介業の手数料相場については、こちらの記事で詳しくまとめています。

    理論年収500万円の人材のマッチング成立時の紹介手数料の目安は、およそ150万円前後。歩合制の報酬のパーセンテージを40%とした場合、60万円が歩合給の支払額となります。

    なお、詳細な相場は業種や企業によって大きく異なります。また固定給と歩合給の割合や、固定給のベースの額面をいくらにするかによっても、歩合給のパーセンテージは変化します。

    フルコミッション契約のメリット・デメリット

    finance

    フルコミッション契約のメリット・デメリットは以下の通りです。

    なお、人材紹介業におけるフルコミッション契約は厳密には「固定給+歩合制」の形を採用する必要があります。業務委託契約を前提とした完全歩合制は違法となるため、注意してください。

    【人材紹介会社にとってのメリット】固定費の削減

    人材紹介業の固定費の大半を占めるのは、人件費です。企業にとって人件費の削減手段は給与カットやリストラなどに限られ、いずれも労働者の強い反発が予測されるものです。

    その点、歩合制を取り入れることで営業成績が上がらない際の人件費の支出を抑えつつ、営業成績が好調な際には社員に渡す額面を大きくすることができます。

    【CA・RAにとってのメリット】収入の増加

    フルコミッション契約の相場について解説した箇所で触れた通り、理論年収500万円の人材のマッチング成立時に「粗利の40%の成果報酬額の支払い」という契約を結んでいた場合、60万円が還元されます。

    月に2名程度のマッチングが安定的に成立すれば、多くのビジネスパーソンの月収を大きく上回る収入を得られるでしょう。

    【人材紹介会社にとってのデメリット】法的リスク

    後述する通り、個人と業務委託契約を結んで人材紹介業を運営することは「名義貸し」に該当するリスクが大きいです。人材紹介業の名義貸しは、法律で禁止されています。

    つまり、人材紹介業の報酬体系に「歩合制」を取り入れるためには慎重な法的リスクの検討が必要です。制度を導入するまでに、自社の法務部や顧問弁護士の見解も入念に確認すべきでしょう。

    【CA・RAにとってのデメリット】固定給は減る

    キャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーにとっては、固定給は減少します。

    特に有効求人倍率が低迷している時期は、マッチングが思うように成立せず月収が大きく減ってしまうリスクがあります。

    フルコミッション契約による人材紹介業は「名義貸し」に該当する?

    フルコミッション契約とは「完全歩合制」を意味する言葉です。しかし、日本では地域ごとに「最低賃金」が定められており、正社員やアルバイトらを最低賃金を下回る給与で労働に従事させることは禁じられています。

    完全歩合制は「最低賃金を保証する」契約形態ではないため、正社員やアルバイトらに対する報酬形態としては違法です。

    そのため、フルコミッション契約を結ぶには「業務委託契約」を交わすことが前提となります。

    ただし、人材紹介業には「名義貸し」を禁じる法律があります。そして業務委託契約を交わしたリクルーティングアドバイザーやキャリアコンサルタントによる人材紹介は、名義貸しに該当します。

    名義貸しについては、以下の記事で詳しく解説しています。

    よって人材紹介業では、個人とフルコミッション契約を結ぶことは現実的に難しいです。

    人材紹介業でフルコミッション契約を活用して採用を行うには?

    人材紹介業は、マッチング成立時の見込み売上が大きな業種であることが大きな特徴。

    そして、フルコミッション契約の成果報酬額の相場は「粗利の40%~60%程度」であることが多いです。

    月々のマッチング成立数が安定している人材紹介会社であれば、企業にとってもキャリアコンサルタントらにとっても「歩合制」を取り入れた方が様々な点でメリットが大きいこともやはり事実でしょう。

    人材紹介業で歩合制を取り入れる場合は、フルコミッション契約ではなく「固定給+歩合給」にしたうえで固定給として最低賃金以上の額面を保証することが前提となります。

    なおかつ社会保険への加入も必須です。

    まとめ

    今回は、人材紹介業におけるフルコミッション契約について解説しました。
    業務委託でフルコミッション契約を個人と結ぶ企業は多いですが、人材紹介業では業務委託契約での外部人材の活用は「名義貸し」と見なされる法的リスクがあります。
    よって、歩合制を取り入れる場合は「固定給+歩合給」を前提としましょう。

    ※当サイトに掲載されている記事や情報に関しては、正確性や確実性、安全性、効果や効能などを保証するものではございません。

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