

人材紹介業は近年、許認可取得の要件が緩和され続けています。人材領域の業種の中では免許取得がしやすく「起業しやすい」成長産業として、注目が集まっています。
人材ビジネスとしては緩い許認可取得基準が設けられていることから「個人でも副業として人材紹介業にチャレンジしてみたい」という方もいるのではないでしょうか。
今回は、人材紹介業は「副業」としても運営可能なのか考察していきます。
結論から言えば、人材紹介業は許認可取得基準をクリアできるならば個人事業主でも開業可能です。
そして、常駐可能な職業紹介責任者を選定することが可能ならば「副業での運営」も可能です。
デザイナーやプログラマー、アンケートモニターなど一般的にメジャーな「副業」と比較すると、副業を始めるまでのハードルは非常に高いです。
一方で、本業とは別に個人で運営する「小規模ビジネス」として考えると「売上高の大きさ」が大きな魅力です。副業ではなく「小規模ビジネス」という認識で、免許取得を目指すことをおすすめします。
人材紹介業は、個人事業主でも開業可能です。ただし法人での開業と同様に、人材紹介業の許認可要件を満たしたうえで免許を取得する必要があります。
個人事業主向けの、人材紹介業の許認可取得手順は以下の記事に詳しくまとめています。資産要件やオフィス要件など詳しい条件はこちらにて解説しているため、ぜひ参考にしてください。
資産要件やオフィス要件以外で「副業としての人材紹介業」について考える際にポイントとなるのは「職業紹介責任者の常駐」です。
後述しますが、高い確率で「自分自身とは別に常駐可能な職業紹介責任者」を選定する必要があるでしょう。
許認可取得のハードルこそあるものの、副業として人材紹介業を運営することに興味を抱く人は少なくありません。
人材紹介業が副業との相性が良いとみなされやすい代表的な理由は、以下の通りです。
従来は人材紹介業の許認可取得には、厳しいオフィス要件を満たす必要がありました。
しかし近年、オフィス要件は大きく緩和。特に届出時に「オンライン専業で人材紹介業を運営する」ことを申し出ている場合は、オフィスそのものは免許取得の要件を満たしていなくとも許認可が得られるケースが出始めています。
こちらの記事でも、オンライン専業の人材紹介業の許認可について解説しています。
オンライン専業の人材紹介業に免許が交付された例はまだ少ないのが実情のため、実際に免許申請を行う際には事前に厚生労働省の需給調整課に相談をすることもおすすめします。
とはいえ、オンライン専業ならば「オフィス要件をクリアしていなくても免許が取得できる」のは個人にとっては特にうれしいポイントです。
人材紹介業はシェアオフィスやレンタルオフィスでも、開業することが可能です。
「個室ブースの契約が必要」などいくつかの条件はあるものの、多くのケースでは賃貸事務所を契約するよりも初期投資が安価に抑えられるでしょう。
こちらの記事でオフィス要件をより詳しく解説しています。
人材業界の「主要3業種」と呼ばれるビジネスは、以下の3つです。
・人材派遣
・人材紹介
・再就職支援
この中で人材紹介は、許認可取得ハードルが低く「起業しやすい」業種に該当します。
たとえば人材派遣の許認可取得要件の1つ「基準資産額」は、2,000万円以上に設定されています。
人材紹介業の場合、基準資産額は最低500万円。免許取得に課せられる資産要件は4分の1です。
人材紹介業の手数料相場は、紹介した人材の理論年収の30%~35%です。
理論年収の算出方法はこちらで解説しています。
仮に理論年収が300万円の人材のマッチングが成立した場合、人材紹介会社の見込み売り上げは90万円~100万円前後です。
人件費や広告費などのランニングコストを差し引いても、副業ないしは小規模ビジネスの一件当たりの売り上げとしては非常に大きな部類に入るでしょう。
続いて、副業として人材紹介業を運営する際の注意点を紹介します。
人材紹介業は許認可取得の取得が必須です。免許無しで人材紹介を行うことは違法。
近年は「リファラル採用」が人気を博していますが、個人間の求人紹介で「謝礼の受け取り」が発生したとしましょう。
謝礼の発生が伴う求人紹介が反復的に行われていた場合、こうしたリファラル採用も「無免許の有料職業紹介」とみなされ、違法になる可能性があります。
個人事業主として免許取得を行う場合、最低500万円の基準資産額が求められます。
そして、個人の場合「個人の資産」と「法人の資産」を切り分けることはできません。よって個人名義のカーローンや住宅ローンなどがある場合、ローンの金額は全て負債とみなされます。
たとえば個人で住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローンの総額を差し引いたうえで「最低500万円」の資産額がある方は多くはないでしょう。
よって、個人名義の資産状況によっては法人立ち上げが必須になる可能性があります。
人材紹介業の立ち上げには「職業紹介責任者」の選任が必要です。
まず職業紹介責任者は「厚生労働省が定めた欠格事由に該当しない」人物である必要があります。なおかつ講習を受けたうえで、講習の受講証明書を取得することが求められます。
そして選任された職業紹介責任者は、人材紹介会社の事業所に常駐して「業務に選任できること」が必要です。
つまり「他社の正社員」や「他企業の代表取締役」など、客観的に見て「事業所に常駐できず、業務への選任が難しい」と考えられる人物は職業紹介責任者として不適格とみなされる可能性が極めて高いです。
「自身以外の人物を別途、職業紹介責任者に選任して事業所に常駐させること」を求められる可能性があるでしょう。
ここまで紹介してきた通り、人材紹介業は「副業」として考えると開業のハードルが低くはありません。
一方で、小規模ビジネスとして見なすとマッチング成立時の見込み売り上げが大きく利益率が高い業種であることも事実です。なおかつ人材業界の業種としては「基準資産額」などの要件も低めです。
人材紹介業の「副業」としての可能性を考察しました。
人材紹介業は「副業」として考えると、プログラマーやデザイナーといった一般的な副業よりも始めるためのハードルが高いです。
一方で、本業とは別に開業する「小規模ビジネス」として見なすと売上高の大きさが魅力です。
求められる基準資産額や職業紹介責任者の要件を満たすことができそうであれば、ぜひ地h業立ち上げにチャレンジしてみてください。
なお本サイト「人材紹介マガジン」を運営するagent bankでは、人材紹介業の免許取得サポートも随時行っています。許認可取得に不安点がある方は、お気軽にお問い合わせください。
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