

人材紹介の業務内容には、人材データベースの検索や更新、また履歴書のデータ入力などRPA導入の余地がある業務もあります。
本ガイドでは人材紹介業でRPAを効果的に導入するためのポイントやツール例、業務例、要件定義の方法について解説します。
まず前提として、人材紹介業に特化したRPAツールはあまりありません。
一方、UiPathをはじめとするRPAツールはSalesforceなど人材関連のSaaSとの連携や、Excelなど汎用性の高いファイルの取り扱いにも優れています。つまり外部ツールやファイルと連携することで、RPAツールを人材紹介に活かすことができます。
主なRPAツールは以下の3つです。
世界最大規模のRPAツールで、日本でも多くの企業が導入しています。高い柔軟性や拡張性を持ち、様々な業務に対応できます。コミュニティ版は無料で利用できます。
日本発のRPAツールで、国内シェアNo.1を誇ります。日本語対応やサポート体制が充実しており、初心者でも安心して使えます。ライセンス料金は比較的安価です。
クラウド型のRPAツールで、インターネット環境さえあればどこからでも利用できます。導入や運用が簡単で低コストです。AIと連携することも可能です。
以下の業務は、人材紹介業でのRPA導入が特に効果的なものです。
1. 履歴書や職務経歴書のデータ入力や管理
2. 候補者や企業とのメールや電話での連絡
3. 面接日程や契約書の作成
4. 人材データベースの検索や更新
1つ1つより詳しく解説します。
RPAを利用して、履歴書や職務経歴書の情報を自動的にデータベースに入力・整理し、管理業務の効率化を図ることができます。
たとえばRPAを導入することで、履歴書をスキャンした画像やPDFなどから文字認識(OCR)を行い、必要な項目を抽出・登録することができます。また、重複や不備などのチェックも自動化できます。
RPAを用いて、候補者や企業との連絡業務を効率化することが可能です。RPAは、メール送受信や電話応対などの定型的なコミュニケーションを自動化することができます。例えば、面接日程の案内や確認、契約書の送付や受領確認などが挙げられます。
RPAを活用して、面接日程の調整や契約書の作成を自動化することで、業務の効率化と正確性向上を実現できます。候補者や企業から入力された希望日時などに基づいて最適な面接日程を提案したり、必要事項を入力するだけで契約書テンプレートに反映させたりすることができます。
人材データベースの検索や更新も、RPAを用いることで手間を減らし、迅速かつ正確な情報提供が可能となります。RPAは、複数システム間でデータ連携したり、あらかじめ設定した条件に合致する人材情報を抽出することができます。
人材紹介業では、求職者から履歴書や職務経歴書を受け取り、それらの情報をデータベースに登録する作業が発生します。この作業は手作業で行うと時間やコストがかかりますし、ミスも起こりやすいです。
そこでRPAによって、データベースへの登録業務を自動化することができます。RPA導入には以下のような要件定義が必要となります。
1.対象となる履歴書や職務経歴書のフォーマットを特定する
2.各項目のデータをOCR技術などを用いて正確に読み取り、データベースへの入力を自動化する
3.入力データの検証とエラー処理を行う
4.データ入力の進捗状況や結果を報告する
人材紹介業では、求職者に対してスカウトメールを通じて仕事の紹介や面接の誘導を行うこともあります。この作業もまた手作業で行うと時間やコストがかかりますし、効果的なメールを作成するのも難しいです。
よってスカウトメールのテンプレートを事前準備にしたうえで、RPAを導入することで効果的なメール送信を「自動化」できます。
スカウトメール業務へのRPA導入の要件定義例は以下のようなものです。
1.スカウトメールのテンプレートを用意し、個々の求職者に適切な情報を挿入できるようにする
2.送信先リストを自動的に生成し、重複や不適切な送信先を排除する
3.RPAシステムが送信履歴を記録し、追跡や分析が容易に行えるようにする
4.定期的なメンテナンスやアップデートが容易に実施できるシステム構成とする
5.個人情報保護法などの法規制を遵守し、セキュリティ面でも問題がないシステムを構築する
「スカウトメール送信へのRPA導入」など具体的な目標が決まったら、以下のステップに沿ってRPA導入を1つ1つ進めましょう。
なお「ツール選定」や「導入作業」がうまく進まない場合、担当者自身は「スカウトメール配信の◎◎の部分をRPAで自動化する」といった作業内容を理解できていても、周囲のメンバーや上司が目的を理解しきれていない可能性があります。周囲のサポートが無くては、導入は進まないものです。
この場合は何度でも「1.現状分析」「2.目標設定」に立ち戻り、周囲の理解を得ることを優先しましょう。
業務プロセスやワークフローを整理し、改善すべきポイントや自動化可能な作業を見つける
RPA技術で何を実現したいか明確にする。例えば、労働時間やコストの削減、品質や精度の向上、顧客満足度の向上など
目標に合った最適なツールを比較検討し、導入する。ツールにはさまざまな種類や特徴がありますので、自社のニーズや予算に応じて選択します。場合によってはSeleniumによるブラウザ自動操作などで十分というケースもあります
ツールの設定やカスタマイズ、社員への教育やフォローアップなどを行う。RPA導入は一朝一夕で終わるものではありません。継続的なサポートや改善が必要です。
ツールの使用状況や成果を定期的に分析し、改善策を考える。RPA導入後も業務環境や要件は変化します。そのため、常に効率性や有効性をチェックし、必要に応じて調整します
RPA導入により、人材紹介業におけるスカウトメールの作成や送信が半自動化されることで業務効率が向上します。要件定義にはテンプレートの利用、送信先リストの自動生成、送信履歴の記録、メンテナンスやアップデート、セキュリティ対策などが含まれます。
なお自社のどの業務にRPAを導入すべきか、判断が付かない場合は「自社業務の棚卸し」や「整理」が十分できていない可能性があります。こうした場合は、人材紹介マガジンを運営するagent bankにご相談ください。人材紹介会社の売上向上に向けた支援を随時提供しております。
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